【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ

文字の大きさ
25 / 40

25 巣篭もり中に終わってたらしい 2

しおりを挟む

「で、まあ尋問をして自白させて、証拠も揃えてあったからアイツらは全員牢屋の中で処罰を言い渡されるのを待っている状態なんだ。めでたしめでたし!」

そう締めくくって、この件は終わり、とアディスは話を終わらせてしまった。
こうなるともう何も言わないのを分かってる俺はさっさと気持ちを切り替えた。
別に復讐してやろうとか思ってないし、面倒臭いし。

ソレよりも気になるのはコッチ!

「じゃあ、次はアルヴァのお兄さんのこと教えてくれるんだよね?」
「・・・・・・ああ・・・・・・うん。そうだね・・・・・・何処から話そうか」

アディスにしては珍しくたっぷりと思案したあと、サイモンに視線を移す。

「サイモンは公爵家に仕えて長いんだよね?」
「そうでございますね。私は元々、ダスク公爵家の分家で執事として仕える家系の者で、人族ですが幸いにも魔力が多く成長が緩やかでしたので、執事長となってからすでに100年は経ちます」

そう言って軽くお辞儀をするサイモンに、アディスが真面目な顔で聞いた。

「では、ドーン公爵家の長子のエヴァルド殿の番いのことも知っているかな」
「はい、存じ上げております」
「・・・・・・父様?」

サイモンも俺もソレを聞く意味が分からず、首を傾げた。

「───エヴァルド殿の番いは、およそ100年前に魔物討伐中の怪我で亡くなっている」
「えっ! 知らなかった。アルヴァもドーン公爵夫妻も何も言ってなかったし」

そもそもお兄さんに会ったのは今日が初めてだし、所属が違くて王城でも接触する機会はなかったし。

「彼はそれ以来、自宅には帰っていないらしいし、私もこの前が初めてだったよ。ただ、会わなくても私は

んん? 初めましてなのによく知っている? どういうこと?
サイモンはこの時、ちょっと眉毛がピクッと動いた気がする。

何かあるの?

「・・・・・・セラータ、この世界では魂で繫がった番い同士の場合、死んだあとも生まれ変わって再び出逢い、番うことが出来ると言われているんだ」
「・・・・・・え? でも、何時何処に、それこそ種族だって生まれるまでどうなるか分からないでしょ? それに相手のことを覚えてないんじゃ・・・・・・?」

それとも、知らないだけで俺みたいな前世の記憶持ちがたくさんいるのか? もっとも俺はこの世界の住人じゃなかったけど。

「もちろん、普通は覚えていることはないだろう。・・・・・・だが、私は生まれたときから記憶があった」
「え!? ・・・・・・いや待って、ソレって今の話からすると、え? もしかしてもしかするの!?」

ソレってつまり───。

「エヴァルド殿の亡くなった番いは、私だ」

・・・・・・やっぱりー!

「この前の合同訓練のあと、近衛騎士団長のエヴァルド殿と会った。生まれてこのかた全くお互いの接点はなかったんだが、あのとき目が合って彼もすぐに気付いたらしい」

竜人ってそういうのすぐに感じとれるんだな。凄い。でもアルヴァは自覚するのにだいぶかかってたけど。人それぞれってヤツかな。

「実はあのあと私も魔力枯渇気味で倒れてね。結果的に彼に軽く魔力補給をされて・・・・・・目覚めてすぐに求婚されたんだが・・・・・・」

ええ!? アディス、やっぱり結構魔力使ってたんじゃん! そんな素振り見せなかったのに。
でもまあ、ちょうどよかった・・・・・・のかな?
それより求婚って・・・・・・。

「もももちろん、オッケーしたんだよね?」
「いや? 保留にして貰った」
「はああ!?」
「・・・・・・!?」

あっけらかんと言うアディスの言葉に俺は思わず叫び、サイモンは目を瞠った。

いやいや、過去とはいえ番いなんでしょ? でもってアディスの言い方だと今回は偶然にもその番いだった記憶があって、お互いちゃんと認識してるんだよね!?

じゃあ何で断ってんの!? ・・・・・・あれ? 待て、断ったんじゃなくて

「セラ、だからね。私の方の事情があるんだ。・・・・・・以前、セラが私に『父様が子作りすればいいでしょ』って言ったの覚えてる?」
「───ああ、うん。父様の血筋を残すならその方がいいでしょって言ったと思う」
「その時、私には縁のない話なんだ、と言ったのも覚えてる?」

覚えてる。寂しそうな、片想いしてるような切ない顔だったから。でもソレってこのせいだったんだね。

「・・・・・・うん。父様、アレって、自分がエヴァルドお兄さんの番いだったって分かってたからそう言ったんだね?」
「ああ、それも原因の一つかな。もう一つは、今世の私はダスク公爵家の一人息子だということだよ」

こういうとき、貴族っていうのは厄介だと思う。政略結婚とか、血を残すとかしがらみが多くて。

「その血を残すには誰かと婚姻しなくちゃいけないけど、エヴァルドは私に気付いていないし向こうもドーン家の後継者だからね。まあ婚姻は出来るだろうが・・・・・・」
「両家とも跡取り息子だから子供を残さなきゃいけない。けど竜人は子供が出来にくいんだっけ」

ドーン家はともかく、人族のダスク家は早いとこ跡継ぎが生まれないと困る。

「そう。お互いせめて一人ずつ跡取りの子供が必要だろう? でもそんなすぐに最低でも二人孕めるとは限らない。それに次男のアルヴァはまだ幼児だったし、セラもいなかったからね」

なるほど。そんなに前からアディスは色々と考えてたんだな。

「あ、でも今は俺がアルヴァと番ったから、えっと、もしかしてアルヴァがドーン公爵家を継いでエヴァルドお兄さんが父様に婿入りすれば、お互い血筋は残せる?」
「そうだね。たぶん今頃はエヴァルドがシヴィルにそう交渉中だろうね。・・・・・・まあ、断られることはないだろうけど」
「・・・・・・でもさ、アルヴァに公爵家当主が務まると思う?」

結構脳筋だよ?
そう思っていたのが分かったのか、アディスは苦笑した。

「そこはエヴァルドがシヴィルと一緒にサポートするだろうね。それに優秀なセラータがいるから大丈夫。アルヴァは堅物なだけでバカじゃないし、長命なんだからそのうち慣れるだろうさ。・・・・・・じゃないと困る」
「ははは・・・・・・」

気長に行くしかないかー。
でもその話が纏まったら、アディスは再びエヴァルドの番いになるんだね。

「あれ? でももう一度番うって出来るの?」

竜珠を飲んでからアレして咬んでって・・・・・・。

「ああ、竜珠の効果はずっと続いてるんだ。私の魂に馴染んで同化しているといえばいいのかな? だから生まれ変わって記憶がなくても惹かれあうらしい。だから中に精を出して貰って咬んで貰えば元通り番いになるよ」
「・・・・・・明け透けだね、父様」
「貴族だから当然閨教育は済ませてるし、何なら前世の記憶がバッチリだからね。今世では清いままだけど、精神的にはお爺さんだから!」

そうあっけらかんと笑うアディスにポカンとしつつ、俺はその閨教育って受けてないなと思った。

「セラにはすでにアルヴァがいたから、必要ないかなと思って。むっつりなアルヴァのことだ、どうせ懇切丁寧にネチっこく愛撫されて身体中開発されたんだろう?」

俺の考えを読んだらしいアディスにニヤリとそう言われて顔を真っ赤にする。

確かにアルヴァには無垢な身体を開発調教されたけどさぁ───!

色々と未経験で庶民な前世の記憶があるせいでめちゃくちゃ恥ずか死ぬ───!

真っ赤になってお茶を飲みながら落ち着くまで、アディスとサイモンが生暖かい目で見つめていたのに気付かない俺だった。





※次話はちょっとすぐに投稿できないかもしれません。お待ち下さい。
そろそろエンディングからの番外編になるかな・・・・・・?

しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

神子は再召喚される

田舎
BL
??×神子(召喚者)。 平凡な学生だった有田満は突然異世界に召喚されてしまう。そこでは軟禁に近い地獄のような生活を送り苦痛を強いられる日々だった。 そして平和になり元の世界に戻ったというのに―――― …。 受けはかなり可哀そうです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

追放系治癒術師は今日も無能

リラックス@ピロー
BL
「エディ、お前もうパーティ抜けろ」ある夜、幼馴染でパーティを組むイーノックは唐突にそう言った。剣術に優れているわけでも、秀でた魔術が使える訳でもない。治癒術師を名乗っているが、それも実力が伴わない半人前。完全にパーティのお荷物。そんな俺では共に旅が出来るわけも無く。 追放されたその日から、俺の生活は一変した。しかし一人街に降りた先で出会ったのは、かつて俺とイーノックがパーティを組むきっかけとなった冒険者、グレアムだった。

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

好きなだけじゃどうにもならないこともある。(譲れないのだからどうにかする)

かんだ
BL
魔法使いが存在する世界。 皇太子の攻めと学生時代から付き合っていた受けは、皇帝からの許しも得て攻めと結婚した。だが、魔法使いとしても次期皇帝としても天才的な攻めに、後継を望む周囲は多い。 好きなだけではどうにもならないと理解している受けは、攻めに後継を作ることを進言するしかなく…。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

処理中です...