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国王陛下と王太子 3
しおりを挟む近衛騎士達に続いて控えの間に向かう。
途中は人払いをしていたのか、人っ子ひとりいない。
静まり返った廊下をカツンと靴の音だけが響く。
暫くして他の近衛騎士が立つ扉の前に着いた。
「ご苦労」
「はっ」
側近のサンクス殿が声をかけ、警備中の近衛騎士が扉を開ける。
中に入ると、お茶やお菓子が用意されていた。
「準備が整い次第お呼び致しますので、こちらで少々お待ちください」
そういってサンクス殿は部屋を出て行った。
残された近衛騎士達は内側の扉の左右に立ち、侍従長がお茶を入れてくれた。
セバスも手伝っている。
「じゃあそれまではゆっくりしよう。ヒューズ、ルカを頼む」
「ルカ、疲れたろう。ソファに座ってお茶を頂こうか」
「はい、ヒューズ」
「ヒューズ、くれぐれも膝に乗せるんじゃないぞ」
ダグラスの発言に、扉で控えていた近衛騎士が一瞬ぎょっとした。
侍従長は辛うじて堪えたが、一瞬、目を見開いた。
「分かっている。せっかく綺麗に着飾ったのを乱してはいけないと堪えているのだ。すまない、ルカ。俺の隣で我慢してくれ」
「僕も我慢するよ。格好いいヒューズの衣装が皺になるのはイヤだもの」
そういって仲良く並んで座る二人は誰が見ても甘い雰囲気を醸し出している。
イライアスとダグラスは通常運転の二人にほっとしながらも、甘い空気にすでに胸焼け気味だった。
四人ともが紅茶を口に運び、ヒューズがヴェールを少し捲ってルカの口に一口大のケーキをフォークで差し出すと、躊躇なくあーんをするルカ。
コレも辺境伯家では日常茶飯事なので頓着しないが、近衛騎士と侍従長は表情を変えないように必死だった。
それを何度か繰り返し、ルカがケーキを一皿食べ終わった頃にノックがあり、準備が整ったと連絡が入ったので、再び移動することになった。
別の案内人と最初からいる近衛騎士二人について行く。
セバスは侍従長と共に控えの間で待つ。
「行ってきますね、セバス」
「行ってらっしゃいませ」
そういって軽く手を振るルカににっこり笑って見送るセバス。
姿が見えなくなると、侍従長がおそるおそる声をかけてきた。
「・・・その、セバス殿は、稀人様と仲がよろしいので・・・?」
「ええ。保護した当初からお世話をさせて頂いておりますので」
「・・・こんなことを聞くのは本来いけないと分かってはおりますが、稀人様はどのような方なのでしょう・・・?」
「---そうですね。この後色々と公表されるでしょうが、一言で申すならば、とてもお優しい方ですね。こんな老いぼれを『お爺さま』と慕って下さる、孫のような方です」
「・・・それは、羨ましいですな」
何となくほのぼのとしながら控えの間に入っていく二人を残った近衛騎士達は黙って見送ったが、内心、良いなあと思っていた。
一方、控えの間から謁見の間に移動した四人は気合いを入れ直した。
「さあて、準備は良いかな?」
「ええ」
「はい」
「もちろん」
お互い見合って頷く。
「ノースライナ辺境伯卿ノースライナ・イライアス様、ノースライナ・ヒューズ様、ノースライナ・ミドウ・ルカ様、ノースライナ・ダグラス様お着きにございます!」
案内人が名乗りを上げると、扉を警護する近衛騎士が重厚な造りの扉を開く。
イライアスを先頭に、ヒューズにエスコートされたルカ、その後ろをダグラスが続く。
足を踏み入れた途端にざわめきが起こった。
先程の名乗りで気付いた者もいるだろうが、それよりもやはりヴェールを被った渡り人が想像以上に小柄な事が影響しているだろうな。
ざわめきは陛下の御前に着いても収まる気配が無かった。
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