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番外編
竜王の突撃訪問!
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リノが初飛行をしてから数日後。
たまたま街の視察でヴァルツ不在の日。
その人は突然やって来た。
「お待ち下さい!」
「誰かヴァルツ様にご連絡して!」
「いけません、殿下がご不在でございます。これ以上は・・・!!」
何やら廊下の方で騒ぎがある。
ちょうど午後のお茶の時間で準備をしていた執事とメイドがピタリと動きを止めた。
「・・・何でしょう?」
「リノ様はそのままで。私が様子を見てまいります。お前はそのまま準備を続けて」
前半はリノに後半はメイドに向かって話して、執事が護衛の一人を連れてそっと部屋の外へ出て行った。
「・・・大丈夫かな?」
「ご心配には及びません。リノ様の護衛は皆、優秀ですから」
今日はヴァルツもいないしアルフさんもヴァルツについて行っちゃってるし・・・。
僕一人じゃ何も分からない。
『いいね、リノ。俺が邸にいないときは部屋から出ないで。閉じ込めたくはないんだけど危険な目に遭って欲しくないんだ。この部屋の中なら結界で安全だから』
『分かった。僕は部屋の中で過ごすから心配しないで。別に気にしないよ。だから安心してお仕事してきて』
僕は別にこの邸からでなくても問題ない。
元々帰る場所はないし、ずっと一人だったからヴァルツの重たい愛が逆に嬉しい。
だって、不要な僕をヴァルツだけが必要としてくれてるんだもの。
こんなこと思ってるって知ったら皆も引くかなあ・・・・・・。
ぽけーっとしていたら騒ぎの元が近付いて来たみたい。
執事の慌てた声がしたと同時に扉がバンって開いてビクッと飛び跳ねた。いや、比喩ではなく。
思わず飛んでメイドさんにしがみついちゃったよ!
「其方がヴァルツの番いか!」
「え?は、はい。リノと申します」
ビクビクしている僕を安心させるようにぎゅっと抱きしめてくれるメイドさんにお礼を言ってそっと向き直ると、どこかヴァルツに似た面影、というかそっくりな色彩。
「あの、ヴァルツ様のご家族の方ですか?」
「ああ、すまん。初めましてだな。ヴァルツの父親でシュルツと言う。息子の番いになってくれてありがとう。礼を言う」
「あのあの、とんでもないです! 僕の方こそ番いにして貰ってありがとうございます」
そう言ったら、ホッとした顔をした。
それに首を傾げると、シュルツ様は苦笑した。
「いや、聞いた話だと暴走して連れて来ちゃったって。しかも前例のない妖精族の子だっていうから心配で・・・。いくら顔を見せろって言っても会わせてもくれないし。無理矢理だったんじゃないかって」
ああ。この方は、自分の息子も僕のことも凄く心配してくれてたんだ。
嬉しいな。
「ご心配おかけしました。僕は僕の意思で番ってここにいるので大丈夫です。ヴァルツ様の事を愛しています」
そういってふふっと笑った。
「そうか。それを聞いて安心した。その笑顔が全てを物語っている。幸せなんだな?」
「ええ、とっても」
落ち着いたところで執事が声をかけた。
「竜王陛下、このまま帰られますか? それとも殿下が戻られるまでお茶に致しますか?」
「アイツはどうせすぐに戻るのだろうが、それまでお茶を貰おうか」
「畏まりました」
ササッとお茶が出されて、いつの間に?!と驚いていると、シュルツ様が僕に尋ねられた。
「リノは竜人の魂だったと聞いたが・・・」
「はい。孵らずに亡くなった記憶があります。この姿も僕が竜人だった魂の記憶で形作られたようで、そのせいで羽が2枚なんです。竜って翼は2枚でしょう?」
シュルツ様は何やら考えていたが、お茶を飲み終わる頃にヴァルツが戻ってきて部屋に乗り込んできた。
「陛下! 父上! 勝手に来るなとあれ程言ったではないですか」
「お前が何時までも隠しているからだろう」
「とにかく、お帰り下さい! 家臣が迷惑です!」
「はいはい。じゃあリノ、またな」
「え?あ、はい」
「もう来るな!」
はっはっは!
と笑いながら去って行く姿を呆然と見送ると、ヴァルツがギュッと抱きしめてきた。
「すまない。驚かせた」
「・・・びっくりしたけど、大丈夫だよ。それよりも仕事放り出して来ちゃった? ごめんね」
「アルフに任せてきたから心配ない」
その頃のアルフは・・・・・・。
「ヴァルツ様、貸し一つですよ!」
黒い笑みを零していた。
一方、陛下はリノの容姿について、少し心当たりがあった。
「もしかしたら・・・・・・」
確認するに越したことはないな・・・・・・。
密かに動いた。
たまたま街の視察でヴァルツ不在の日。
その人は突然やって来た。
「お待ち下さい!」
「誰かヴァルツ様にご連絡して!」
「いけません、殿下がご不在でございます。これ以上は・・・!!」
何やら廊下の方で騒ぎがある。
ちょうど午後のお茶の時間で準備をしていた執事とメイドがピタリと動きを止めた。
「・・・何でしょう?」
「リノ様はそのままで。私が様子を見てまいります。お前はそのまま準備を続けて」
前半はリノに後半はメイドに向かって話して、執事が護衛の一人を連れてそっと部屋の外へ出て行った。
「・・・大丈夫かな?」
「ご心配には及びません。リノ様の護衛は皆、優秀ですから」
今日はヴァルツもいないしアルフさんもヴァルツについて行っちゃってるし・・・。
僕一人じゃ何も分からない。
『いいね、リノ。俺が邸にいないときは部屋から出ないで。閉じ込めたくはないんだけど危険な目に遭って欲しくないんだ。この部屋の中なら結界で安全だから』
『分かった。僕は部屋の中で過ごすから心配しないで。別に気にしないよ。だから安心してお仕事してきて』
僕は別にこの邸からでなくても問題ない。
元々帰る場所はないし、ずっと一人だったからヴァルツの重たい愛が逆に嬉しい。
だって、不要な僕をヴァルツだけが必要としてくれてるんだもの。
こんなこと思ってるって知ったら皆も引くかなあ・・・・・・。
ぽけーっとしていたら騒ぎの元が近付いて来たみたい。
執事の慌てた声がしたと同時に扉がバンって開いてビクッと飛び跳ねた。いや、比喩ではなく。
思わず飛んでメイドさんにしがみついちゃったよ!
「其方がヴァルツの番いか!」
「え?は、はい。リノと申します」
ビクビクしている僕を安心させるようにぎゅっと抱きしめてくれるメイドさんにお礼を言ってそっと向き直ると、どこかヴァルツに似た面影、というかそっくりな色彩。
「あの、ヴァルツ様のご家族の方ですか?」
「ああ、すまん。初めましてだな。ヴァルツの父親でシュルツと言う。息子の番いになってくれてありがとう。礼を言う」
「あのあの、とんでもないです! 僕の方こそ番いにして貰ってありがとうございます」
そう言ったら、ホッとした顔をした。
それに首を傾げると、シュルツ様は苦笑した。
「いや、聞いた話だと暴走して連れて来ちゃったって。しかも前例のない妖精族の子だっていうから心配で・・・。いくら顔を見せろって言っても会わせてもくれないし。無理矢理だったんじゃないかって」
ああ。この方は、自分の息子も僕のことも凄く心配してくれてたんだ。
嬉しいな。
「ご心配おかけしました。僕は僕の意思で番ってここにいるので大丈夫です。ヴァルツ様の事を愛しています」
そういってふふっと笑った。
「そうか。それを聞いて安心した。その笑顔が全てを物語っている。幸せなんだな?」
「ええ、とっても」
落ち着いたところで執事が声をかけた。
「竜王陛下、このまま帰られますか? それとも殿下が戻られるまでお茶に致しますか?」
「アイツはどうせすぐに戻るのだろうが、それまでお茶を貰おうか」
「畏まりました」
ササッとお茶が出されて、いつの間に?!と驚いていると、シュルツ様が僕に尋ねられた。
「リノは竜人の魂だったと聞いたが・・・」
「はい。孵らずに亡くなった記憶があります。この姿も僕が竜人だった魂の記憶で形作られたようで、そのせいで羽が2枚なんです。竜って翼は2枚でしょう?」
シュルツ様は何やら考えていたが、お茶を飲み終わる頃にヴァルツが戻ってきて部屋に乗り込んできた。
「陛下! 父上! 勝手に来るなとあれ程言ったではないですか」
「お前が何時までも隠しているからだろう」
「とにかく、お帰り下さい! 家臣が迷惑です!」
「はいはい。じゃあリノ、またな」
「え?あ、はい」
「もう来るな!」
はっはっは!
と笑いながら去って行く姿を呆然と見送ると、ヴァルツがギュッと抱きしめてきた。
「すまない。驚かせた」
「・・・びっくりしたけど、大丈夫だよ。それよりも仕事放り出して来ちゃった? ごめんね」
「アルフに任せてきたから心配ない」
その頃のアルフは・・・・・・。
「ヴァルツ様、貸し一つですよ!」
黒い笑みを零していた。
一方、陛下はリノの容姿について、少し心当たりがあった。
「もしかしたら・・・・・・」
確認するに越したことはないな・・・・・・。
密かに動いた。
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