【完結】妖精は竜に抱かれて夢を見る

エウラ

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番外編

前世リノの両親(後)

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早速確認を取ろう、ということでヴァルツの邸に皆で移動してきた。

執事に確認をしたところ、中庭の四阿でちょうどお茶の時間だという。
それを聞いて先にヴァルツが話をしにいった。他の皆は一旦、応接室に入ってお茶を出して貰う。

「ドキドキするね」
「今まで生きてきてこんなに緊張したのは初めてだ」

ノルムとリコリスがこそこそ話していると、ヴァルツから言付けを貰ったメイドがやって来た。

「お会いになるそうです。四阿へどうぞ」

シュルツもリコリス達も緊張しながら中庭へ移動した。



「こちらです」

案内されて足を踏み入れると、多種多様な花が咲き乱れる中で虹色に光る2枚の羽が見えた。
後ろ姿が見える。腰までの真っ白な髪。
ちょうどリコリス達と同じ、白竜の鱗の色だ。
羽の虹色は二人の瞳の色。
白竜の中でも珍しい瞳だ。この瞳は滅多にいない。

何気なく振り向いた妖精族の子の瞳は、紛れもない虹色で。

お互いの目が合った瞬間、どちらともなくかけだしていた。

周りは邪魔をする事なく、そっと見守った。
弱冠一名、ムスッとしているリノの番いヴァルツがいるが。

「リノが大切なら黙って見守ってやれ。どうせこの後のフォローはお前しか出来ないのだから、な?」
「分かってますけど、それとこれとは別です」

・・・竜人の独占欲は凄いからなあ。



かけだしていた3人は、何をいうでもなくぎゅうっと抱き合った。
自然と涙が零れる。

「・・・リノ、リノ・・・!」
「っはい、リノです。あの、僕の父様と母様ですか?」
「ああ、俺がリコリスで父だ。こっちが・・・」
「母のノルムだよ。ああ、本当に・・・奇跡だ」
「僕も、僕も会えて嬉しい」

そうして暫く抱き合っていたが、ヴァルツ達に促されて四阿へ戻り、お茶会の続きをしながら色々な事を話した。

夕方になり、また会う約束をしてリコリス達と別れた。

3人とも幸せな顔をしていた。

「よかった。リコリス達の事はずっと気になっていたんだ。卵を失ってから、表面上はいつも通りだが内心ではずっと悲しんでいた。今回の事は本当に奇跡だと思ったよ」
「そうだったんですね。僕もヴァルツさんと番いになってなかったらと思うと、奇跡って本当にあるんだなと思います。陛下もヴァルツさんもありがとうございます」
「うん、じゃあ、私の事も父様って呼んで」
「はいはい、父上はもう帰って下さい」

そう言いつつリノにこっそり言う。
リノは小さく頷いて。

「あの、父様、お仕事頑張ってくださいね」
「うん、頑張る!」

そういってバタバタと帰って行った。

「・・・あれでよかったの?(言われた通りに言っただけだけど)」
「バッチリ」

チョロいな、竜王陛下。
アルフが内心で思いながらヴァルツに声をかける。

「ヴァルツ様もお仕事残ってますよ」
「今日はいいだろう!」
「駄目です」
「・・・ヴァルツ、夜の為に頑張って終わらせてくれると嬉しいな」

リノが照れながら上目遣いでをした。

「ぐはっ、わ、分かった! 頑張るから待ってて、リノ!」

執務室に走って行ったヴァルツを見て、やっぱりチョロいなと思うアルフだった。

「アルフさんに言われたように言ったけど、よかったのかな?」

意味が良く分かってないリノだった。

その日の夜、リノはヴァルツにめちゃくちゃ愛されて翌日はベッドの住人となった。
当然、ヴァルツは侍医とアルフに散々お小言を貰っていた。





自分達の邸に帰ってきたリコリス達は、今日の出逢いに感謝していた。

竜王陛下シュルツに急に呼び出され、亡くした卵の事を聞かれたときは苛立ったが、その後に続いた話にまさかと言う気持ちで。

引き合わされた『リノ』を一目見た瞬間に、あの子だと、間違いようもなく分かった。

リノも分かったようで、やはり魂は俺達の子なんだなと。

どんな形であれ俺達の元に帰ってきた。

「よかったな、ノルム」
「うん、うん。これからは何時でも会える」

幸せを噛みしめて、二人は久し振りに盛り上がり、何度も愛し合った。


その後、久し振りに卵が宿るのだが、それはまた別の話・・・。

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