【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

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第一章 フォレスター編

意外と高スペックだった件

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皆様お待たせしました。
アルカスです。

あれから一週間。無事に目が覚めました!

・・・ええ、一週間かかりました。
俺の魔力の器は相当デカかったようです。
満タンになるのに一週間って・・・。

魔力回復(極大)仕事してねえの?
え? 馴染むのに一週間・・・?

今後は何時でも魔力回復(極大)が仕事するから、秒で回復するって?

凄いな。そんなスペックは求めちゃいないんだが・・・。



最初の2日は寝っぱなしで、残りの5日は時たま覚醒してたと思う。
うん、あんまり記憶にないけど、なんかクラビスに甲斐甲斐しく世話をされてた気がする。

その証拠に、クラビスの笑顔がものすっごくキラキラしい。
めっちゃ満足って顔してんだよ。

・・・あの時の俺、一体どんなだったんだよ?
怖くて誰にも聞けねえ・・・。

チラッ。

邸中の皆が目を逸らす。

そんでもって母さんは慈愛の目で、クロウ兄ちゃんは諦めたような目で見る。

ちなみに、父さんとクレイン兄ちゃん達は仕事のため早々に引き上げたそうです。

「フェイ?」
「知らぬが仏」
唯一弄ってきそうな人に水を向ければ、真顔で間髪を入れず返ってきた返事に早々に諦めた。



閑話休題。

そんな訳で、魔力が満タンな俺に魔法を教えてくれるのがフェイとウィステリア。

元々フェイが魔法の先生だったけど、なんか俺の魔力量が桁違いで、暴走したら止められる気がしないと、急遽ウィステリアも参戦したそうです。

スミマセン。地味に高スペックだった。

魔力の循環は毎日やりましょうって事で、寝る前にぐーるぐるやってる。
体が慣れたのか、意識しなくても出来るようになってきたので、次にいくよって事で。

「そういえば、生活魔法って使ったことない」
という俺のひと言に真っ先に反応したのはクラビスだった。
「使わなくていいよ。俺が全てやってあげるから」

・・・・・・発言がヤンデレっぽいんだが。

他の2人を見ると、そっと目を逸らす。

・・・・・・やぶへび? 魔の一週間てやつ?!

「・・・・・・聞くな。触れるな」
フェイがぽそっと言うので、お口チャック。
俺は空気を読める子!

「じゃあ、何を教えてくれるの?」
「そうだねえ・・・」
「とりあえず初級からだけど、ここじゃちょっと危険かな?」
「うん?」
危険なのか? 初級なのに?
そんな事が顔に出てたんだろう。フェイが呆れたように言った。
「自分の魔力量を把握しような? 暴発したら、フォレスター領が一瞬で消えるからな? 何なら周辺の領も地図から消えるからな?」
「へ?」

想像してみよう・・・・・・。

・・・・・・うん。

うん?!

「はああっ?! まじ?!」
「まじ」
至極真面目な顔でフェイが言い切った。

「・・・・・・マジかあ・・・。やべえ、吐きそう」
プレッシャーが・・・。
こういう時こそ状態異常無効化仕事して!!

「アルカス、存分に吐いていいぞ。俺が全て後始末するから」
ソコ(クラビス)!! すげえいい笑顔で言うな!
ビビって吐き気止まったわ!
そんでもって、ソコ! 当然のようにツボるんじゃねえよ。
もういっそのこと笑え。堪えきれてねえよ! 中途半端が地味にダメージくらうんだが?!

「で?! 結局どうすんの」
「冒険者ギルドの鍛錬場を使うのだよ」
ウィステリアがほのほの微笑みながら言う。
「ソコなら大丈夫って事?」
「ああ、そうだね。万が一を考慮して、ガッツリ結界を組んでる」
クラビスが教えてくれた。

「まあ、でも本気で暴走したらあの結界でも無理だね」
「だから頑張って制御してね?」
皆、冗談ぽく言うけど、ガチなんでしょ?!
目が笑ってないよ!

・・・・・・うん。死ぬ気でガンバリマス。

思わず棒読みした。




そうこうしているうちに冒険者ギルドに到着。

先に、この前討伐したホーンラビットを買い取りに出す。
ギルドカードに討伐したモノや数が勝手に記録されて、受付の魔導具で確認出来るんだそう。
さすが魔法のある世界。あっちの世界でプログラムされるような事は魔法の謎な力で解決、と。

常時依頼の討伐や薬草採取は直接買い取りカウンターでみて貰うそうだ。ふんふん。

いざ!

・・・って、クラビスに持ってて貰ったんだっけ?
寝てたからついこの間の気がしてるけど、一週間以上前なんだよな?

「コレだよ、はい」
わたわたしてるうちにクラビスが出してくれた。

「そういえば、こういうのって誰かの獲物を自分のだって言って出しても分からないんじゃ?」
「いいところに気付いたな。ギルドカードに討伐記録が残るから、それで討伐したかわかるって言ったろ? 死んだヤツに傷を付けても討伐したとは記録されないから気が付く」
フェイが教えてくれた。

「後は、鑑定魔法や魔導具で判定も出来る。不正は出来ない」
クラビスが追加で教えてくれた。なるほど。

んじゃ、改めて。
「ギルドカードです。よろしくお願いします!」
そう言ってカードを出した。
カードを見たカウンターのおじさんは、ピクッと片眉をあげたが、さすが冒険者ギルドの職員。
すぐさま表情を戻して対応してくれた。

あざす!

「ホーンラビットは角も毛皮も肉も買い取れるが、どうする?」
おじさんが聞いてきた。チラッとクラビスを見ると、好きにしていいとの返事。
「じゃあ全部買い取りでお願いします」
「ヨシ、じゃあ、角も毛皮も肉の状態もいいから、角が銅貨5、毛皮と肉が銀貨1ずつ、全部で銀貨2と銅貨5だな」
「妥当だな」
フェイがそう言うと、おじさんがニヤリと笑った。
「お前さん達の前でヘンなマネなんか出来ねえよ」
「だよねぇ」
そう言うフェイさん。その顔、他には見せられない黒い笑顔でコワいです。

「そうそう。そのギルドカードにキャッシュ機能がついてて、報酬はカードに入れておけるし、引き出しも出来る。支払いもカードで出来るようになってるから」
「えっ! ナニソレ便利!」
「魔力で登録してあるだろ? 他人が成りすまして使えないようになってるから安心だよ」
「へえ~、凄いね、異世界の防犯対策」
安心だよ!

そして初めての報酬を入れて貰った。

「ふへへ」
「なに気持ち悪い笑い方してんの」
フェイに突っ込まれるが気にならない。だって・・・。
「(手伝って貰ったけど)こっちで初めて自分で稼いだお金なんだもん!」
「まあ、確かにそうだな」
「向こうではバイト、えと、時給いくらとかって仕事をかけもちして生活してたから。『働かざる者食うべからず』って言葉があって、こっちで何もしないで生活してるの、心苦しかったんだ」

だから嬉しい。
頑張って稼ぐぞってモチベーション上がる。

「そんなこと。苦労した分甘えて欲しいのに・・・。俺が一生養ってやるよ?」

クラビスがいい笑顔でコワいです!

「違うの! 俺はクラビスと対等でいたいの! 何なら俺の方が好きだって言いたいの!!」
「・・・アルカス!!」

ギュッと抱き合いそうになった所で。

「はいはい、ソコまで!」

フェイに止められてハッとする。
ここ、冒険者ギルド!
おじさんもいる!
ウィステリアは好々爺な顔している!

うわーっ!!

「チッ」
「ソコ、舌打ちしない!」
「面白えなお前ら。また来いよ」
「失礼しました」
「が、頑張ってまた来ます!」
「おう」

そんな会話をしてその場を離れた。

その後ろ姿を見ながら、買い取りカウンターのおじさん、もといサブギルドマスターのギルバートがしみじみと呟いた。

「話には聞いてたが、本当に小さくて可愛らしい。アレで19ってんだから、領主様達や、ましてやクラビスには嫁ってんだから過保護にもなろうってもんだぜ」

4人はこの後、鍛錬場に向かうはず。
俺も様子を見に行くかな。

「おいお前ら。後は任せた」
「了解です! サブギルマス」

さっき感じた魔力は凄まじい圧だった。
本人は自覚がないんだろうが、目一杯圧縮したような濃厚なヤツ。

やべえ。
さてさて、どうなることやら。






















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