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16 油断大敵
しおりを挟むそんなこんなで一週間が経ち、精霊王も日替わりで遊びに来てシュルツと自己紹介?顔合わせ?をして、ホッと気が抜けたのが良くなかったのか・・・・・・。
「・・・本当に大丈夫か?」
「平気平気。何時ものことだもん。それよりもシュルツも用があるんでしょ?」
「・・・・・・だが」
「もー、精霊達もいるから心配要らないってば」
今朝は早くからシュルツが冒険者ギルドに用があるとかで、僕の世話を焼いた後に出かける予定になっていたのだが・・・。
イツキの『大丈夫』という言葉にシュルツが『心配だ』と反論して、その言い合いが終わらないのだ。
確かにこの4年間、精霊達との引き篭もり生活をしていたのだから問題は無いのだろうが・・・。
過保護なシュルツはオカンのように口を酸っぱくして言い聞かせる。
「良いか、絶対に森の外に出るな。知らない人を見たらすぐに逃げ・・・るのは無理だから、精霊王でもいいから助けを呼べ! 分かったな?」
「分かってるよ! 足が遅いのは自覚してるから。あと、精霊さん一人、シュルツに付けるから、何かあったら連絡をしてね。意識の共有をしてるらしくて、僕にもすぐに伝わるから」
「・・・分かった。じゃあ、行って来る。用事が済んだらすぐに戻るから」
「うん。行ってらっしゃい」
めちゃくちゃ心配そうな顔で飛び立っていったシュルツ。
実は昨夜、今回行く冒険者ギルドの場所を聞いてみたんだけど・・・。
森のすぐそば、といっても歩いて行くと半日かかるっていう街だって言われたけど、そもそもこの森以外を知らないからピンと来なくて、シュルツに地図を見せて貰った。
おおざっぱだけど、これでも精巧な方なんだって。
方角を教えて貰って、地図を頭にインプット。
するとナヴィがもっと精緻な、3Dみたいな地図を目の前に映し出してくれてびっくり。
でも自分以外には見えてなかった模様。
シュルツがヘンな目で僕を見てたけどスルーした。
歩いて行くと半日だけど、シュルツは竜体になって翔べるから片道一時間もかからないって言ってた。
さすがだね!
そんなこんなでシュルツが出かけた後、久しぶりに自分で洗濯物を外に干して、お弁当を持ってから森に入っていった。
ちなみにお弁当は毎日シュルツが手作りしてくれてる。
・・・凄すぎてスパダリって言葉が浮かんだよね。
ルンルン気分で今日は何時もと違う、初めて行く方向に歩いて行った。
『イツキ、一人で大丈夫?』
『コッチはほったらかされていたから、あんまり良くないよ?』
『竜の人がいるときの方が良いんじゃない?』
「え、そう? そんなに悪いの?」
そう言われれば、ちょっと鬱蒼としていて薄暗い。
魔素も澱んで気持ちの良いモノではない感じがした。
『こんなところは、アレが発生しやすいんだよ』
「・・・アレ?って・・・」
何、と聞こうとして、突然目の前がぼやけた。
いや、半透明のナニかが樹希に覆い被さってきたのだ。
「───っ?!」
なになになに───?!
パニックになった樹希が藻掻くと、ねっちょりしていて絡み付く半透明の---スライム。
───ええ?! スライムってこんな、ねちょねちょしていてくにゅくにゅしてるの?!
あのゲームみたいにぴょんぴょん跳ねる最弱のヤツじゃないのぉ?!
『イツキ、火を出して!』
『魔法、火を使って! そしたら離れるから』
『小さい火だよ! 大きいと、森、火事になっちゃう!』
───ふええええっ!!
ふぁいあー!!
ネバネバに覆われて話せないから、頭の中で詠唱すると、ポンッと出た火に驚いたのか、ずりゅずりゅと離れていった。
『今のうち!』
『走って!!』
『アレ、大きい。今のイツキのポンコツ具合だと倒すの時間かかる』
「うう、酷いなあ! 確かに僕はポンコツだけどさ───っ?!」
慌てて方向を確認せずに走ったせいで、崖に気付かなかった。
ガクンと踏み込んだ足が浮いて、その勢いのままゴロゴロと転がっていく。
『イツキ!!』
『イツキ───?!』
『大変大変!!』
精霊達が焦って喚いてる声が遠くなっていき、転がる勢いのまま、どうやら滝になっていた場所にドボンと落ちたらしい。
「───っ?!」
マズい・・・僕は、泳げないんだった・・・。
水の精霊王・・・オンディ・・・・・・助けて・・・・・・。
シュルツ・・・・・・助けて・・・・・・。
沈みゆくそのままに、樹希は意識を失った・・・。
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