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17 危機一髪
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※視点が色々変わります。
水底に沈んでいく樹希を周りにいた水の精霊達が取り囲んで水を弾いていく。
そのお陰で呼吸は確保できたが、その前にかなり水を飲んでしまっていた為に意識がない。
『イツキ、しっかりせい!』
水の精霊王であるオンディがイツキを抱え上げて水面に浮かび上がる。
側の砂利の上に横にして胸をグッと押すと、けぽっと水を吐き出した。
『・・・っ、ヨシ、呼吸はあるな? しかしこういうときの手当てが我らには分からん。ひとまずロッジに運ぼう。・・・・・・竜の子には?』
『今伝えた』
『すぐに来るって』
『めちゃくちゃ焦ってた』
『───であろうな・・・。こんなのが番いでは心安まらぬであろうよ』
やれやれと良いながら、迅速に運ぶ。
精霊王のみならず、精霊は皆、浮かんで翔べるからこういうときは楽で良い。
ドライアド達も避けてくれるしな。
そしてロッジに着くと、リビングのラグの上に下ろして、風の精霊王のヴィントを呼ぶ。
『何だ、どうした水の───ぅおい! どうしたんだ、イツキ?!』
『説明は後で。早く乾かしてくれ』
『え、俺より火のが良いんじゃね?』
『呼んだか? 風の』
『ああ、イフリート、イツキを乾かして暖めてやって。俺だと逆に冷えるから』
『状況がよく分からんが、了解した。ほれ、イツキ。ほんわかと温かいであろう?』
そう言って暖かい炎でドライヤーのようにずぶ濡れの全身を乾かす。
『ほら、乾いたぞ。この後はどうするんだ?』
『我らも分からんのでな、今、竜の子を呼んでいる。もうじき来るはずじゃ』
───ほら。
オンディがそう言って庭先を差せば、今まさに着いたばかりの竜の子・・・シュルツが慌ててロッジに入ってきた。
「───っ精霊王殿、イツキは・・・っ?!」
『ひとまず濡れた服は乾いたが、後が分からん。竜の子、頼む』
「・・・・・・はぁ、どういう事でこうなったのかは後でお聞きします。ありがとうございます。とりあえずベッドに連れて行きましょう」
はーっと深く息を吐いて、そっとイツキを抱え上げて移動する。
その間に光の精霊王ルキアが呼ばれて、ベッドに横たわる傷だらけのイツキを治癒。
その後、シュルツがイツキの服を寝衣に着替えさせて、掛布をかけてから話を聞いた。
『ごめんなさい、護れなくて』
『イツキ、何時もと違うとこに行っちゃって』
『荒れてて、魔素がどんよりしてるとこ』
『アレがいたの。おっきいの』
『だばーっておそってきて、イツキが火で追い払ったの』
『急いで逃げたら、崖に落ちた』
『そのまま水にドボンって』
『イツキ、泳げないから・・・』
『そこで我が呼ばれて、急いで引き揚げて、さっきの状況だな』
精霊達の言葉に水の精霊王オンディが補足をしてくれた。
「・・・つまり、スライムに襲われて川に落ちたと言うことかな?」
アレとはスライムだろう。
澱んだ魔素を好み、その魔素を糧に大きくなる。
ネバネバでドロドロで物理攻撃が効きにくい。
火の魔法で焼き払うか、氷魔法で凍らせるくらいしか有効な手段が無い。
森の中では暗黙の了解で、基本的に攻撃用の火魔法は禁止されている。
火事になったら手が付けられないからだ。
イツキもその辺りはちゃんと分かっていたようで、最小の火魔法で驚かせて、離れたのは良かったが・・・。
「───ドジっ子が本領発揮しちゃったんだな・・・・・・」
『・・・・・・イツキが世話をかけるな、スマン』
精霊王達を始め、その場の精霊達にも憐憫の目で見られて居たたまれないシュルツだった。
とりあえず様子見ということで、精霊王達は何かあれば呼べと去って行った。
そしてシュルツは途中で放り出してきてしまったギルドマスターに通信を入れた。
先ほどまでいた、精霊の森の側の街・イーストの冒険者ギルドの長だ。
ここ数年・・・イツキが【管理者】になってから暫くして魔物の被害が減ってきて、最初に不審に思ったのが森に一番近いこのイーストの街のギルマスだった。
先の指名依頼でシュルツが【管理者】の事を確認し、あまつさえ同居していると公爵家経由でこのギルマスに連絡があった為、様子を窺おうと呼び出しをしたのだが・・・・・・。
そんな矢先にシュルツに付いてきた精霊経由でイツキの危機を伝えられ、焦って飛び出して行ったシュルツに呆然とするギルマス。
遅れて、もしかして自分の呼び出しのせいで【管理者】に何かあったのでは?・・・・・・という考えに至り・・・。
顔を真っ青にさせて暫く放心し、力無くソファに座っていたのだったが、どのくらい経ったのか、シュルツから通信が入ったと職員が伝えに来てはっとした。
「シュルツ! 【管理者】殿は無事か?!」
『───はい、ひとまず大丈夫です。スミマセン、飛び出して帰ってしまって・・・』
「いや、良いんだ。こちらこそスマン。お前さんを呼んでしまったから、何かあったのだろう?」
『・・・・・・まあ、そう、ですかね。いや、うーん・・・かなり鈍くさい子なので、ちょっと足を踏み外して滝壺に落ちたようで・・・』
───ん? 聞き間違いかな?
「・・・鈍くさい? 滝壺に落ちた? ・・・・・・エルフなんだよな?」
『───ハイエルフですね。でも運動神経はどこかに置いてきたようで・・・・・・その辺の人族の幼児並みですよ』
「───それが本当なら、確かにお前さんが付いてないと危険だな・・・」
『・・・本当ですよ。早く番って閉じ込め───いえ、何でもありません。とりあえずまだ意識が戻らないので様子見ですが、数日はそちらに行けそうもありません』
「イヤ良いんだ、そっちを優先してくれ。すまなかった」
『いえ、では失礼します』
そう言ってシュルツとの通信を切ってから反芻して・・・。
「───さっき、早く番ってって言ってなかったか?」
思わず漏らすと、側で控えていた職員も頷いた。
「仰ってましたね。・・・おそらくですが、【管理者】殿がシュルツ様の番いなのでしょう。それならばあの慌てようも納得ですね」
「・・・・・・いやあ、鈍くさいエルフって事に衝撃を受けて、サラッと流しちまったが・・・気になるなあ、【管理者】イツキ殿・・・どんなエルフなんだろうな」
あのシュルツがあんな風に取り乱すって事に驚いた。
「その内、会えると良いねえ」
ほっこりしながらそう言うギルマスに職員も微笑んだ。
水底に沈んでいく樹希を周りにいた水の精霊達が取り囲んで水を弾いていく。
そのお陰で呼吸は確保できたが、その前にかなり水を飲んでしまっていた為に意識がない。
『イツキ、しっかりせい!』
水の精霊王であるオンディがイツキを抱え上げて水面に浮かび上がる。
側の砂利の上に横にして胸をグッと押すと、けぽっと水を吐き出した。
『・・・っ、ヨシ、呼吸はあるな? しかしこういうときの手当てが我らには分からん。ひとまずロッジに運ぼう。・・・・・・竜の子には?』
『今伝えた』
『すぐに来るって』
『めちゃくちゃ焦ってた』
『───であろうな・・・。こんなのが番いでは心安まらぬであろうよ』
やれやれと良いながら、迅速に運ぶ。
精霊王のみならず、精霊は皆、浮かんで翔べるからこういうときは楽で良い。
ドライアド達も避けてくれるしな。
そしてロッジに着くと、リビングのラグの上に下ろして、風の精霊王のヴィントを呼ぶ。
『何だ、どうした水の───ぅおい! どうしたんだ、イツキ?!』
『説明は後で。早く乾かしてくれ』
『え、俺より火のが良いんじゃね?』
『呼んだか? 風の』
『ああ、イフリート、イツキを乾かして暖めてやって。俺だと逆に冷えるから』
『状況がよく分からんが、了解した。ほれ、イツキ。ほんわかと温かいであろう?』
そう言って暖かい炎でドライヤーのようにずぶ濡れの全身を乾かす。
『ほら、乾いたぞ。この後はどうするんだ?』
『我らも分からんのでな、今、竜の子を呼んでいる。もうじき来るはずじゃ』
───ほら。
オンディがそう言って庭先を差せば、今まさに着いたばかりの竜の子・・・シュルツが慌ててロッジに入ってきた。
「───っ精霊王殿、イツキは・・・っ?!」
『ひとまず濡れた服は乾いたが、後が分からん。竜の子、頼む』
「・・・・・・はぁ、どういう事でこうなったのかは後でお聞きします。ありがとうございます。とりあえずベッドに連れて行きましょう」
はーっと深く息を吐いて、そっとイツキを抱え上げて移動する。
その間に光の精霊王ルキアが呼ばれて、ベッドに横たわる傷だらけのイツキを治癒。
その後、シュルツがイツキの服を寝衣に着替えさせて、掛布をかけてから話を聞いた。
『ごめんなさい、護れなくて』
『イツキ、何時もと違うとこに行っちゃって』
『荒れてて、魔素がどんよりしてるとこ』
『アレがいたの。おっきいの』
『だばーっておそってきて、イツキが火で追い払ったの』
『急いで逃げたら、崖に落ちた』
『そのまま水にドボンって』
『イツキ、泳げないから・・・』
『そこで我が呼ばれて、急いで引き揚げて、さっきの状況だな』
精霊達の言葉に水の精霊王オンディが補足をしてくれた。
「・・・つまり、スライムに襲われて川に落ちたと言うことかな?」
アレとはスライムだろう。
澱んだ魔素を好み、その魔素を糧に大きくなる。
ネバネバでドロドロで物理攻撃が効きにくい。
火の魔法で焼き払うか、氷魔法で凍らせるくらいしか有効な手段が無い。
森の中では暗黙の了解で、基本的に攻撃用の火魔法は禁止されている。
火事になったら手が付けられないからだ。
イツキもその辺りはちゃんと分かっていたようで、最小の火魔法で驚かせて、離れたのは良かったが・・・。
「───ドジっ子が本領発揮しちゃったんだな・・・・・・」
『・・・・・・イツキが世話をかけるな、スマン』
精霊王達を始め、その場の精霊達にも憐憫の目で見られて居たたまれないシュルツだった。
とりあえず様子見ということで、精霊王達は何かあれば呼べと去って行った。
そしてシュルツは途中で放り出してきてしまったギルドマスターに通信を入れた。
先ほどまでいた、精霊の森の側の街・イーストの冒険者ギルドの長だ。
ここ数年・・・イツキが【管理者】になってから暫くして魔物の被害が減ってきて、最初に不審に思ったのが森に一番近いこのイーストの街のギルマスだった。
先の指名依頼でシュルツが【管理者】の事を確認し、あまつさえ同居していると公爵家経由でこのギルマスに連絡があった為、様子を窺おうと呼び出しをしたのだが・・・・・・。
そんな矢先にシュルツに付いてきた精霊経由でイツキの危機を伝えられ、焦って飛び出して行ったシュルツに呆然とするギルマス。
遅れて、もしかして自分の呼び出しのせいで【管理者】に何かあったのでは?・・・・・・という考えに至り・・・。
顔を真っ青にさせて暫く放心し、力無くソファに座っていたのだったが、どのくらい経ったのか、シュルツから通信が入ったと職員が伝えに来てはっとした。
「シュルツ! 【管理者】殿は無事か?!」
『───はい、ひとまず大丈夫です。スミマセン、飛び出して帰ってしまって・・・』
「いや、良いんだ。こちらこそスマン。お前さんを呼んでしまったから、何かあったのだろう?」
『・・・・・・まあ、そう、ですかね。いや、うーん・・・かなり鈍くさい子なので、ちょっと足を踏み外して滝壺に落ちたようで・・・』
───ん? 聞き間違いかな?
「・・・鈍くさい? 滝壺に落ちた? ・・・・・・エルフなんだよな?」
『───ハイエルフですね。でも運動神経はどこかに置いてきたようで・・・・・・その辺の人族の幼児並みですよ』
「───それが本当なら、確かにお前さんが付いてないと危険だな・・・」
『・・・本当ですよ。早く番って閉じ込め───いえ、何でもありません。とりあえずまだ意識が戻らないので様子見ですが、数日はそちらに行けそうもありません』
「イヤ良いんだ、そっちを優先してくれ。すまなかった」
『いえ、では失礼します』
そう言ってシュルツとの通信を切ってから反芻して・・・。
「───さっき、早く番ってって言ってなかったか?」
思わず漏らすと、側で控えていた職員も頷いた。
「仰ってましたね。・・・おそらくですが、【管理者】殿がシュルツ様の番いなのでしょう。それならばあの慌てようも納得ですね」
「・・・・・・いやあ、鈍くさいエルフって事に衝撃を受けて、サラッと流しちまったが・・・気になるなあ、【管理者】イツキ殿・・・どんなエルフなんだろうな」
あのシュルツがあんな風に取り乱すって事に驚いた。
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ほっこりしながらそう言うギルマスに職員も微笑んだ。
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