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63 お茶会の準備 2(sideアウトクラトル&ドレイク)
しおりを挟む「---はあ?! 宰相が休暇?! このクソ忙しいときに?!」
ここは竜帝国の皇帝陛下の執務室。
響き渡った陛下の声に思わず耳を塞ぐ側近と近衛騎士達。
「大体、あの騒ぎの事後処理でクッソ忙しいのに宰相補佐が番いを見つけて、アレからずっと休んでるだろ! 仕方ないけど、仕方ないけど! 番いの為にって認めてるから! おかげで死ぬほどクソ忙しいんだけど!!」
執務室の椅子にどっかり座って両手で顔を覆っている陛下。
チラリと見えるこめかみに青筋が立ってましたね。
・・・・・・ええ、お気持ちは分かります。
分かりますが・・・・・・。
「・・・陛下、お言葉が乱れております」
「うっせーな! ンな事どーでも良いんだよ! 大体、なんでこんな中途半端な時期に纏まった休暇申請なんてすんだよ、ア゛ア゛?!」
執務机をバシッと叩いて今度は八つ当たりですか。
「・・・うっわー、ガラ悪・・・。いえ、ちゃんと申請書読んで下さいってば。一応、御子息様の番い様方との御茶会の為ですって書いてあるでしょ」
面倒臭くなって、側近のドレイクが投げやりになった。
「あーあー、番いの子達と御茶会ねー良いよなー! ウラヤマシイよなー! ちくしょう、そんな暇ねえよなー俺も番い欲しーなー!」
『いーだろー羨ましいだろー! 忙しいのは分かってるけどな。だが休みは貰う!!』
「---は?!」
バタンと開いた執務室の扉から聞こえたのは、懐かしい声・・・というか念話で。
思わず執務室にいた全員がソレに注視した。
『よっ! この間振り!!』
「陛下、休暇申請の受理をお願いしに来ましたよ」
ソコにいたのは、左手をあげる真っ白ウサギのぬいぐるみノインとゼクスだった。
「---ちょっと待て。何でウサギのぬいぐるみが話してる。しかも声が何か昔、散々聞いたシュヴァルツ公爵夫人なんですけど?! どゆこと---っ?!」
固まっていた中でいち早く反応した陛下がパニックになっている。
周りで混乱してるヒトがいると、冷静になるよね。
おかげでドレイクや近衛騎士達は落ち着きを取り戻した。
「・・・宰相殿、ついに話すようにまでなったんですね?」
「ええ。愛しい奥様が帰ってきました。コレもイツキのおかげですよ」
「・・・そのイツキ殿の要望で今回、御茶会を開くそうで」
「ええ。何も我が儘を言わないイツキの頼みですから。ギルミアも了承してくれましたし」
そう穏やかに言うゼクスは、何かに取り憑かれたように一年中がむしゃらに仕事をしていた時には見られない笑顔で、本当にかつての様子を取り戻したようだった。
「---ですってよ、陛下。宰相殿、もうずっと休みなんて取ってないんですから、良いじゃないですか。私達も手を貸しますから」
ドレイクがそう言うと、渋い顔をしながらも「諾」と応えたアウトクラトル。
ソレに良い笑顔(に感じられる声)で応えたのはノインで・・・。
『何だーざんねーん! もっと渋ったらボクがアレコレとお・は・な・ししてあげようと思ってたのになー!!』
そう言って手足をババッと動かした。
「---ひぇっ?!」
「・・・あっぶな・・・アウル、あと少し遅かったらぼろ雑巾だったよ」
アウトクラトルが思わず情けない悲鳴を上げて、ドレイクはつい敬語が外れた。
近衛騎士達も黙って、蒼白い顔で首をブンブン振っている。
「だって。残念だったね、ノイン」
『じゃあさ、後で騎士団の訓練に混ーぜーてーくーれー! 身体動かしたい! 鈍るー!!』
「いや中身、綿だよな?! 本体ぬいぐるみだろ?! 筋肉じゃないよな?!」
思わずツッコむアウトクラトル。
うん。
鈍るって何・・・って私も思った。言わんけど。
そもそも単なるぬいぐるみにあの強度は普通に無い。
ドレイクも澄ました顔の裏でそんなことを思っていた。
だって、景緑国の時、一人無双してたんでしょ?
ゼクス殿やアハト殿、果ては当人であるシュルツ殿でさえ添え物扱いだったとか・・・。
恐ろしいな、さすが前騎士団総長・・・。
一騎当千、最凶の破壊神の名は伊達じゃ無い。
「『じゃあ、休暇の日程の調整よろしく。最速でね』」
和やかに執務室を去って行った二人を見送り、漸く空気が軽くなったのを感じた。
それとなく威圧していた前騎士団総長殿・・・。
恐ろしい。
「---敵に回さないで済んで良かったですね、陛下」
「---全くだ。容赦ないったら・・・。はあ、ドレイク。宰相の仕事の調整、頼むわ・・・」
「畏まりました」
---ソレから数日後、アウトクラトルの元に今度はシュヴァルツ公爵家から正式にノインの騎士団訓練への参加要請があり、速攻で受理された。
「断って死にたくない」
皇帝陛下のお言葉とは思えないヘタレな発言をしていたそうな。
※皇帝陛下の名前、久しぶりな上に長くて間違えてました。
もし誤字があったら報告お願いします。
アウトクラトルを最後のル→スにしてたので修正したんですが・・・。
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