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73 イツキの本領発揮
しおりを挟む樹希の機嫌も直って暫く経った頃、精霊達が樹希の周りをチカチカ光りながら言った。
『ねーね、このお家の庭に祝福して?』
「祝福?」
『そーそ、ココってあの森からだいぶ離れてるからさあ、精霊、あんまりいないの』
『でも、イツキがお祈りしたらここもあの森みたいに棲みやすくなるんだよー』
『そうするとせ-れー、きほうだい?』
「・・・、来放題?って事? アレかな? 千客万来みたいな?」
精霊達の言葉に受け答えをしているイツキの話を聞いていると、よく分からない単語が出て来た。
「・・・・・・せんきゃく、ばん・・・?」
「んえ? ああ、次々に止まらないほどやって来るって事かな?」
「ふうん・・・精霊が集まるって事か?」
「そうらしい。・・・うーん、父様ー?」
やるにしてもこの家の主に許可を取らないと。
「なんだい?」
向こうのテーブルからわざわざやって来てくれた父様に確認する樹希。
「この家に祝福・・・ええと、精霊の森のようにお祈りというか浄化というか、しても大丈夫?」
「それは別に構わんが・・・というか是非お願いしたいが・・・・・・良いのかい?」
ゼクスが心配になって逆に樹希に聞いてきたので軽い感じで応えた。
「うん、全然問題ないです! 良かったね、許可が下りたよ」
『『『『やった---!!』』』』
精霊達は大はしゃぎ。
仲間が増えることが嬉しいのだろう。
『ココに精霊達が集えば、イツキも嬉しいだろうな』
『そうだな』
精霊王達も頷いている。
「じゃあ、善は急げ! ・・・・・・っと」
「イツキは歩かなくて良い」
シュルツの膝から下りようとしてずっこけて、シュルツの太い腕で支えられた。
「むう・・・・・・ありがとう。でもこんなんだから足腰が弱って余計に躓くんだからね! ほどほどに、だよ!!」
そう言いながら結局シュルツの腕の中。
「---ええと、父様、このお家のシンボルツリー的なのは何処かにあるかな?」
「ああ、それならば・・・・・・」
ゼクスに尋ねると一点を指差した。
「この木、そんなに大きく見えないだろうけど、私が生まれたときに植えられた木なんだそうだ」
「---ああ、確かにけっこうなお歳で・・・え? 父様、この木と同い年なの?! わっか・・・見た目とっても若いんだね!」
「ふふふ、そういって貰えると嬉しいな」
ニコニコと笑うゼクスに寄り添うようにさわさわと葉っぱが揺れた。
「---うん、この子を中心に祈ります。シュルツ、下ろしてくれる?」
「ああ、気を付けて」
「・・・もー、過保護過ぎ!!」
そう言って笑うと、慎重に歩いてその木の幹にそっと触れる。
---うん。
とても清々しい魔力に満ち溢れている。
「・・・・・・何時も大切にして貰ってるんだね。うん。貴方を中心に浄化をします。よろしくね」
そう言うと、幹に手を添えたまま、目を閉じて樹希は静かに祈りはじめる。
すると樹希を中心に、ぶわっと清浄な魔力が広がっていく。
キラキラした魔力だ。
「---以前も見たが、凄いな」
シュルツが呟く。
ゼクスをはじめ、アウルもノインも、使用人達やこの場にはいない騎士達も、全てが洗い流されたような気分だった。
「---これを、イツキは4年前から毎日のように、あの精霊の森で一人で行ってきたのか」
「---きれい」
アハトとギルミアも思わず呟いた。
「精霊達もいたけどね」
祈り終えた樹希がそう言ってシュルツに向き直して一歩踏み出す・・・と、予想通り転けたのでシュルツは慌てて支えた。
「ごごごごめん・・・!」
「---まあ、いつも通りだな」
『綺麗だったのにー』
『締まらないねえ』
『でもこれがイツキ』
『何時ものイツキー』
シュルツの言葉を引き継ぐように精霊達が笑って言った。
爽やかな風がふわりと辺りを包んだ。
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