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男性なんてこりごり
しおりを挟むバルビオ家から、三日で慰謝料を全額支払われました。
お金がギリギリだったのか、足りなくなったのかわかりませんが、長子サミュエル様に爵位を譲渡されて領都へ帰られました。
譲位されれば、王家から慰労金と祝い金が贈られます。
父の話では、婚約が白紙になったその足で手続きに向かったようです。
「皆様、これでお別れなのですね」
「ええ、私たちは平民。そちらの皆様は貴族。立場が違ってしまうのですもの」
「それでも、心はひとつに繋がっていますわ」
「ええ!」
「そうですわ」
こうして会えるのは今日で最後。
私たちは貴族と平民に分かたれる。
「でも、皆さま。私にはあまり会いに来ないでくださいね」
「え⁉︎」
「そんな……」
「皆さま、私は薬局勤務ですわよ」
涙を浮かべて悲しむ親友たちに意地悪くそういうと、一瞬固まったあとに「やっだあ~」「それもそうよねえ」と笑い出した。
「私、薬局の研究室が与えられたの。私室が一緒にあって、すでに荷物は持ち込んできたわ」
「あ……婚約は白紙になったのよね」
「理由は、聞いてもいいかしら」
「…………お恥ずかしい話なんですけどね」
お相手はソウレ伯爵家のボウレイ様だと伝えると、誰もが絶句する。
「それは……無理ですわね」
「ええ。ですがマルセル様の母親が婚約の白紙に反対で。結局調停人をたてました。それでもしつこくて、父が縁を切ることで終わったわ」
「大変だったわね」
「それって絶対、ランガ様の稼ぎが目当てですわよね」
「貴族が平民の稼ぎをあてにするなって話でしょ?」
私がそういうと全員がウンウンと頷く。
「それでマルセル様はいま?」
「ボウレイ様と遠い世界に旅立ったわ」
「あらあら」
周囲を見回すと、私以外にも婚約を白紙に戻された子息令嬢がそこかしこにいらっしゃられるようです。
その人たちからも似た話が聞こえてきます。
「ランガ嬢」
そう声をかけられて振り向くとクラスメイトだった男子学生たち。
「一緒に踊っていただけませんか?」
「すみませんがお断りです」
そう言って親友たちとまた会話を楽しむ。
断った中に王子もいたが、貴族に留まる気はないから。
私には親友との時間が大事。
このパーティーが終わったら、私たちは繋いだ手を離すのだから。
それに『卒業パーティー』は私たちが貴族社会からの卒業を意味している。
だから、貴族に残る彼らと思い出をつくる気はない。
とうぶんは男性なんてこりごり。
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