さよなら。大好きなひと【完結】

春の小径

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ええ、迷惑だったわ

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「ランガさん、会議の時間です」
「はーい、ありがとうございまーす」

私は卒業式の翌朝には研究室に入った。
貴族籍はパーティー直後に抜いていたが、父の強い希望で出発を翌朝にしたのだ。

「同じ王都にいるじゃないですか。それに籍を抜いても親子の繋がりは続くのですよ」

平民になった貴族と接触できないのは家族以外の王族や貴族たち。
そして、彼らが平民になっても接触は許されない。
同じ職場に入っても、声すらかけられないのだ。
それを破れば、厳しい罰則が待ち構えている。
……にも関わらず、会議の場にパーティーでダンスを断った王子がいた。

こいつのせいで、卒業直後に家を出たのだ。
平民になると言った私に「だったら俺の愛人になれ」と言ったのだ。
その予防に婚約者としてマルセル様が選ばれた。
その後もしつこくしつこく。
執念というより呪いのようにしつこく寄ってきた。

これは父に伝えたほうがいい。
そう思った私は、会議まで時間があったため一旦会議室を出た。


「ランガさん、会議はどうしたの?」
「それが、会議が始まるまで時間があったから事務室まで発注書を持っていたんだけど。そこで急ぎの出張調剤依頼が入ってて。会議は後で書類を貰えばいいけど、急ぎの調剤は後回しにできないでしょう?」

実はこれ幸いということで、調合のメンバーに加わっていたのだ。
学園で異臭ガスが発生。
それに慌てた学生が窓を開けるという初歩的なミスを犯したため、ガスが広がってしまった。
本来なら密閉して部屋から避難しなくてはならなかった。
外に拡散させたガスは薄まったが、それを吸った生徒たちが多くて学園で用意されていた調剤では間に合わなくなって薬局に緊急で調剤依頼がきたらしい。

「なんなのよ、それ」
「貴族法に触れたからよ」
「貴族法って……」
「接触禁止法。だから貴族が通う学園で事故が起きたのよ」

そう、貴族法で定められたことに王子が破ったのが原因だ。
今回みたいに、元貴族が仕事として貴族と接触するのは認められている。

「じゃあ、あの王子が?」
「ええ、私にまとわりついてきて迷惑だったわ」

私が会議前に出て行ったまま戻らないということで、勝手に研究室に入ろうとした。
しかし、研究棟には許可のない者は入れない。
それはもちろん王子であってもだ。
さらに私が緊急出動したと聞いた王子は、私の部屋で待つと言い出した。

「私たちは親が引き裂いた悲恋の恋人なんだ!」

そこで、私の話を聞いた王家が慌ててにきた。
正確には『事故に心当たりがある』ということで学園長に王子の暴挙を伝えた。
学園長から王城へ報告。
王子を引き離さないと被害は大きくなる。
放置し続ければ、死者のでる事故が起きる。
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