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平民は服の派手さでしか判明できない
しおりを挟む卒業後の王子の暴挙はこれで二度目。
前回は私が薬局に入局した当日の昼に「ランガ嬢を迎えにきた」と実家に乗り込んだそうだ。
家族にいないと言われても「隠したんだろう!」と暴れたらしい。
そのときに王家は罰を与えなかった。
その結果が、薬局に乗りこみ騒ぎたてるという騒動。
さらに貴族法は魔導具が管理する。
会議室の一件のように直接な接点はなくても、貴族の学園で事故が起きて被害者が出ることとなった。
死者が出なかったのは、私が逃げ出したからだ。
王家は前回も慰謝料を出さなかった。
その負債が、学園の爆発事故の責任追及と薬局での暴挙に王子の奇行の発覚。
「王子の奇行を王家が許した」
「王子に貴族令嬢を生け贄に差し出そうとした」
「知ってるか? あの王子、目をつけた令嬢を誘拐しに乗り込んだんだぜ」
「結婚式場を押さえて、白のタキシードを着て行ったそうだぞ」
「平民になった令嬢の居場所を突き止めて乗り込んだって。さらに不在だと分かったら、扉を壊して中へはいりベッドの上で裸で待っていようとしたらしいぞ」
「うっへえ……。その王子、もういらなくねえ?」
「……そうだな、いらねえよな」
「王子、いらねえよな」
人々の声が王家に届くまで時間はかからなかった。
薬局から連れ戻した王子は自室にて大人しく謹慎して……いなかった。
抜け出した王子は、殺気だっていた平民たちから隠れるように裏通りを薬局へと向かった。
しかし平民は王族の顔など知らない。
城から手を振るだけの奴という認識だ。
「あの中央にいるのが国王か?」
「隣で笑ってるのが王妃か?」
「あー、あの背が高いのが次の国王か?」
遠目で顔まで見えるわけではない。
着ている服で判断するだけだ。
「「「顔はわからんな」」」
「とりあえず、手を振っとくか」
「とりあえず、叫んでおくか」
直接顔を見られる貴族とは違う。
『国王ご一家の絵姿』を配られても、ただの壁の飾り。
下手すれば、夫婦喧嘩で開けた内壁の穴を隠すために貼られただけの場合もある。
もう一度言おう、平民は服の派手さでしか判明できないのである。
国王たちが王子の不在がわかったときには、すでに王子の存在は表舞台から永久降板していた。
裏通りを上等な服を着て通れば『襲ってください』と言っているようなものだ。
お望み通り追い剥ぎに身ぐるみはがされ、ボウレイ様の愛人たちに囲われた。
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