さよなら。大好きなひと【完結】

春の小径

文字の大きさ
5 / 6

平民は服の派手さでしか判明できない

しおりを挟む

卒業後の王子の暴挙はこれで二度目。
前回は私が薬局に入局した当日の昼に「ランガ嬢を迎えにきた」と実家に乗り込んだそうだ。
家族にいないと言われても「隠したんだろう!」と暴れたらしい。
そのときに王家は罰を与えなかった。
その結果が、薬局に乗りこみ騒ぎたてるという騒動。
さらに貴族法は魔導具が管理する。
会議室の一件のように直接な接点はなくても、貴族の学園で事故が起きて被害者が出ることとなった。
死者が出なかったのは、私が逃げ出したからだ。
王家は前回も慰謝料を出さなかった。
その負債が、学園の爆発事故の責任追及と薬局での暴挙に王子の奇行の発覚。

「王子の奇行を王家が許した」
「王子に貴族令嬢を生け贄に差し出そうとした」
「知ってるか? あの王子、目をつけた令嬢を誘拐しに乗り込んだんだぜ」
「結婚式場を押さえて、白のタキシードを着て行ったそうだぞ」
「平民になった令嬢の居場所を突き止めて乗り込んだって。さらに不在だと分かったら、扉を壊して中へはいりベッドの上で裸で待っていようとしたらしいぞ」
「うっへえ……。その王子、もういらなくねえ?」
「……そうだな、いらねえよな」
「王子、いらねえよな」

人々の声が王家に届くまで時間はかからなかった。
薬局から連れ戻した王子は自室にて大人しく謹慎して……いなかった。
抜け出した王子は、殺気だっていた平民たちから隠れるように裏通りを薬局へと向かった。
しかし平民は王族の顔など知らない。
城から手を振るだけの奴という認識だ。

「あの中央にいるのが国王か?」
「隣で笑ってるのが王妃か?」
「あー、あの背が高いのが次の国王か?」

遠目で顔まで見えるわけではない。
着ている服で判断するだけだ。

「「「顔はわからんな」」」
「とりあえず、手を振っとくか」
「とりあえず、叫んでおくか」

直接顔を見られる貴族とは違う。
『国王ご一家の絵姿』を配られても、ただの壁の飾り。
下手すれば、夫婦喧嘩で開けた内壁の穴を隠すために貼られただけの場合もある。

もう一度言おう、平民はでしか判明できないのである。

国王たちが王子の不在がわかったときには、すでに王子の存在は表舞台から永久降板していた。
裏通りを上等な服を着て通れば『襲ってください』と言っているようなものだ。
お望み通り追い剥ぎに身ぐるみはがされ、に囲われた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ざまぁをご所望でしょうか?

はなまる
恋愛
「ざまぁをご所望でしょうか?」  悪役令嬢 ルナシオンに 転生してしまった私は、魔女ラブリナを 頼ることにしたところ、そう 質問された。  このままでは私は、 乙女ゲームの展開通りに 第2王子 クリシュマルドから 婚約破棄を言い渡されて、 公開処刑にさらされてしまう。  私は、こくりと 頷いた。 「はい!」 「では、 そのための魔法をかけてあげよう」  まさかこの魔法のせいで、あんなことになるとは思わなかった。 「ざまぁをご所望でしょうか?」  あの頃に戻れるなら私はこう答えるだろう。 「いいえ」  と。  私は選択肢を間違ってしまったのだ。  だから私は、今度こそ・・・・・・! * 今までの作品と違って残酷描写があります。 苦手な方はご注意ください。  一応 、バッドエンド にはしないつもりです。    

【完結】それがわたしの生き方

彩華(あやはな)
恋愛
わたしの母は男爵令嬢。父は国王陛下。 わたしは国のために生きている。 そんなわたしでも、幸せになっていいですか?

勘違いって恐ろしい

りりん
恋愛
都合のいい勘違いって怖いですねー

彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している

基本二度寝
恋愛
おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。 王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。 彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。 しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。 侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。 とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。 平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。 それが、運命だと信じている。 …穏便に済めば、大事にならないかもしれない。 会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。 侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。

乙女ゲームの世界だと知っていても

竹本 芳生
恋愛
悪役令嬢に生まれましたがそれが何だと言うのです。

これも愛のカタチ《完結》

アーエル
恋愛
愛のカタチは人それぞれ しかしその方法はあっていますか? 5話完結 他社でも公開

魔女の祝福

あきづきみなと
恋愛
王子は婚約式に臨んで高揚していた。 長く婚約を結んでいた、鼻持ちならない公爵令嬢を婚約破棄で追い出して迎えた、可憐で愛らしい新しい婚約者を披露する、その喜びに満ち、輝ける将来を確信して。 予約投稿で5/12完結します

【完結】あなたの愛が欲しくて・・・

彩華(あやはな)
恋愛
失った愛ー。馬車が揺れるー。 あたしは1番欲しい物がある。それは、あなたの愛ー。 その為にわたしはーする。 4話完結です。

処理中です...