逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説

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3 北の王国の、美しい王様

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振り返ると、長身に上品な正装を纏った男性が立っています。それがこの国を統べる国王でした。

キリアン・ランドルフ・エクト・ウィンター。
リュカの――セラの夫となるアルファです。

リュカは驚きました。
陰気な暴君だと聞いていたキリアンの様子は、想像とはまるで違っていました。輝く金髪に、明るい緑色の瞳は初夏の木漏れ日のように煌めいています。知的ですっきりとした顔立ちに、力強い表情。陰気なところがまるでありません。

花が育たない北国の王様、というイメージから勝手な人物像が独り歩きしていたようです。

「我が国に花が咲かなくなったのは、二十二年前。私が生まれた年からです」

キリアンが話します。

キリアンが生まれた日、魔女がやって来て、「この赤子が成人したら私の夫として寄越せ」、と要求しました。
キリアンの父母である当時の国王夫婦は「愛する我が子を魔女にはやれぬ」とこれを跳ね付けましたが、その報復として呪いをかけられ、この国には花が育たなくなったのです。

「両親は亡くなりましたが、私はこの呪いをどうにか解きたいのです。呪いにかかるまではこの国は年中花盛りだったそうですから」

魔女の呪いを破るため、神子として強い力を持つセラを妃としたいと考えたのだそうです。
神子が妃になれば、呪いが解けるかもしれない。
キリアンはリュカに、小さな白い花を差し出しました。一重咲きの五枚の花弁。ステラリリーと呼ばれる花だそうです。

「わあ…可愛い花ですね」

リュカが思わず笑顔で受け取ると、キリアンは何故か少し驚いた顔をしたように思います。何度か瞬きをして、そして微笑しました。

「我が国で育つのは唯一、この小さな花だけです。あまりにも素朴な花なので魔女の呪いから逃れたのでしょう」

そして、

「あなたの胸を飾るに必要な薔薇は、私が責任を持って用意します。早馬を使い、外国から輸入致します。神子であるあなたに求婚した以上、決して不自由はさせません」

王様はこんなにもハンサムで、そして誠実な人であるようです。神子の特権である薔薇のことまでちゃんと責任を持ってくれるというのです。しかも、バースはアルファでとても優れた人です。
そうか、だったら、セラは逃げる必要はなかったのに。

自分が身代わりになる必要はなかったんだな…安堵しながら、ちょっと寂しい気持ちになるリュカです。

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