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第一章・無自覚編〜出遭い
子爵による唐突な昼食の誘い〜ルド視点〜(11/24追加)
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ルドは馬車に乗って城の近くにある有名料理店に連れて行かれた。外観は豪華な造りで、まず庶民は入れない、客を選ぶ店。
馬車から降りたルドは若い店員に丁寧ながらも冷たい態度で個室へ案内された。
そこでは、しっかり脂肪を蓄えているオンディビエラ子爵が油たっぷりの肉の塊を食べている。
(……共食いか?)
ぼんやりと失礼なことを考えていると、オンディビエラ子爵が声をかけてきた。
「やあ、ようこそ。緊張していないで、ここに座りたまえ」
相変わらずの態度。ルドは内心でため息を吐きながら椅子に腰を下ろした。そこに給仕がメニューを差し出す。
しかし、ルドは受け取ることなく質問をした。
「今日のおすすめは?」
「鴨肉のソテーと子羊の炙り焼きになります」
「それなら、鴨肉のソテーを一つ。あと、それに合うサラダとスープをお願いします」
慣れた様子で注文するルドにオンディビエラ子爵が驚いて手を止める。
「飲み物はいかがいたしましょう?」
「デラウェイ産の水で」
ルドの注文にオンディビエラ子爵が思わずむせた。デラウェイ産の水といえば良質な湧き水で有名。
だが場所が遠く、湧き出ている量も少ないため手に入りにくい。そもそも、ここのメニューにはない。
庶民の若造が虚勢を張るために知っている高級な水の名前を言っただけ、と判断したオンディビエラ子爵は笑いながら言った。
「その水は、ここでは取り扱ってな……」
オンディビエラ子爵が否定する前に、何かに気がついた給仕が慌てて頭を下げる。
「かしこまりました」
給仕がメニューを持って急いで下がる。
この出来事にオンディビエラ子爵が違和感を覚えた。普通ならメニューにない料理や飲み物は絶対に受けない。それなのに、なぜルドの注文は受けたのか。
考え込むオンディビエラ子爵にルドは訊ねた。
「で、私に何の話があるのですか?」
オンディビエラ子爵が我に返り、態度を大きくする。
「そうそう。クリスティアヌス様について大事な話があってな」
「師匠について?」
「そうだ。そもそも君は治療師に何が必要か知っているかい?」
「必要なもの?」
話が見えないルドが眉間にシワを寄せる。そこに前菜のサラダとスープが運ばれてきた。前菜とはいえ、普段はこんなに早く出てこない。
オンディビエラ子爵が給仕に疑問の視線を向ける。
そこにルドが質問の答えを言った。
「治療魔法ですか?」
給仕に気をとられていたオンディビエラ子爵が慌てて視線をルドに戻す。
「そ、そうだ。そして、治療師が治療魔法を使うには神の加護がいる。逆に言えば神の加護がなければ治療魔法は使えない」
そんなことは言われなくても知っている。いや、身をもって体験している。治癒の神の加護がない自分は、クリスの指にできた小さな切り傷さえ治せなかった。
「それで?」
「つまり神の加護がないものは治療師にはなれない。治療師の資格がないということだ」
そこに鴨肉のソテーが運ばれてきた。高慢な態度で説明しているオンディビエラ子爵を遮るようにルドの前に鴨肉のソテーが置かれる。
これも、考えられない早さだった。明らかにルドの料理を優先して作り、運んでいる。
だが、ルドはこれが当たり前のように料理を受け入れ、フォークとナイフを手に持った。
鴨肉は力を入れなくても切れ、焼き加減は申し分なく、肉の旨味もある。だが、ルドはなにか物足りなさを感じた。
ルドは物足りなさの原因を考えながら、オンディビエラ子爵に質問をする。
「で、それが師匠とどういう関係があるのですか?」
給仕が下がったところで、オンディビエラ子爵がルドに耳打ちをするような小声で言った。
「小耳に挟んだのだが、クリスティアヌス様は神の加護がないそうだ」
「は?」
ありえない言葉に、思わずルドの口から間抜けな声が出ていた。
しかし、顔はどうにか無表情を維持。そのまま興味がなさそうに食事をする。
ルドの反応をいまいちのように感じたオンディビエラ子爵が話を続けた。
「もし、クリスティアヌス様に神の加護がないことが治療院に知られたら、どうなる? 治療師の資格剥奪に、神の加護がないのに治療をしたことによる偽証罪。他にも複数の罪状が出るだろうな」
どこか嬉しそうに話すオンディビエラ子爵。その顔面を殴りたい衝動を押さえながらルドは訊ねた。
「ですが、クリス様は実際に治療をされています」
「そう。神の加護がないのに何故、治療ができるのか。それは……」
オンディビエラ子爵がもったいぶるようにわざと言葉を止めた。
馬車から降りたルドは若い店員に丁寧ながらも冷たい態度で個室へ案内された。
そこでは、しっかり脂肪を蓄えているオンディビエラ子爵が油たっぷりの肉の塊を食べている。
(……共食いか?)
ぼんやりと失礼なことを考えていると、オンディビエラ子爵が声をかけてきた。
「やあ、ようこそ。緊張していないで、ここに座りたまえ」
相変わらずの態度。ルドは内心でため息を吐きながら椅子に腰を下ろした。そこに給仕がメニューを差し出す。
しかし、ルドは受け取ることなく質問をした。
「今日のおすすめは?」
「鴨肉のソテーと子羊の炙り焼きになります」
「それなら、鴨肉のソテーを一つ。あと、それに合うサラダとスープをお願いします」
慣れた様子で注文するルドにオンディビエラ子爵が驚いて手を止める。
「飲み物はいかがいたしましょう?」
「デラウェイ産の水で」
ルドの注文にオンディビエラ子爵が思わずむせた。デラウェイ産の水といえば良質な湧き水で有名。
だが場所が遠く、湧き出ている量も少ないため手に入りにくい。そもそも、ここのメニューにはない。
庶民の若造が虚勢を張るために知っている高級な水の名前を言っただけ、と判断したオンディビエラ子爵は笑いながら言った。
「その水は、ここでは取り扱ってな……」
オンディビエラ子爵が否定する前に、何かに気がついた給仕が慌てて頭を下げる。
「かしこまりました」
給仕がメニューを持って急いで下がる。
この出来事にオンディビエラ子爵が違和感を覚えた。普通ならメニューにない料理や飲み物は絶対に受けない。それなのに、なぜルドの注文は受けたのか。
考え込むオンディビエラ子爵にルドは訊ねた。
「で、私に何の話があるのですか?」
オンディビエラ子爵が我に返り、態度を大きくする。
「そうそう。クリスティアヌス様について大事な話があってな」
「師匠について?」
「そうだ。そもそも君は治療師に何が必要か知っているかい?」
「必要なもの?」
話が見えないルドが眉間にシワを寄せる。そこに前菜のサラダとスープが運ばれてきた。前菜とはいえ、普段はこんなに早く出てこない。
オンディビエラ子爵が給仕に疑問の視線を向ける。
そこにルドが質問の答えを言った。
「治療魔法ですか?」
給仕に気をとられていたオンディビエラ子爵が慌てて視線をルドに戻す。
「そ、そうだ。そして、治療師が治療魔法を使うには神の加護がいる。逆に言えば神の加護がなければ治療魔法は使えない」
そんなことは言われなくても知っている。いや、身をもって体験している。治癒の神の加護がない自分は、クリスの指にできた小さな切り傷さえ治せなかった。
「それで?」
「つまり神の加護がないものは治療師にはなれない。治療師の資格がないということだ」
そこに鴨肉のソテーが運ばれてきた。高慢な態度で説明しているオンディビエラ子爵を遮るようにルドの前に鴨肉のソテーが置かれる。
これも、考えられない早さだった。明らかにルドの料理を優先して作り、運んでいる。
だが、ルドはこれが当たり前のように料理を受け入れ、フォークとナイフを手に持った。
鴨肉は力を入れなくても切れ、焼き加減は申し分なく、肉の旨味もある。だが、ルドはなにか物足りなさを感じた。
ルドは物足りなさの原因を考えながら、オンディビエラ子爵に質問をする。
「で、それが師匠とどういう関係があるのですか?」
給仕が下がったところで、オンディビエラ子爵がルドに耳打ちをするような小声で言った。
「小耳に挟んだのだが、クリスティアヌス様は神の加護がないそうだ」
「は?」
ありえない言葉に、思わずルドの口から間抜けな声が出ていた。
しかし、顔はどうにか無表情を維持。そのまま興味がなさそうに食事をする。
ルドの反応をいまいちのように感じたオンディビエラ子爵が話を続けた。
「もし、クリスティアヌス様に神の加護がないことが治療院に知られたら、どうなる? 治療師の資格剥奪に、神の加護がないのに治療をしたことによる偽証罪。他にも複数の罪状が出るだろうな」
どこか嬉しそうに話すオンディビエラ子爵。その顔面を殴りたい衝動を押さえながらルドは訊ねた。
「ですが、クリス様は実際に治療をされています」
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オンディビエラ子爵がもったいぶるようにわざと言葉を止めた。
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