78 / 243
クリスの女装と誘拐と
ルドによる精神的な崩壊〜ルド視点〜
しおりを挟む
ルドは困惑していた。
やっと見つけた城内の一室。もう少しで手が届く、と思ったらクリスが目の前から消えた。
その後はセルシティが人手を総動員して街中の捜索と情報収集。同時にカリストがクリスの影を追跡。
その結果、この倉庫にたどり着き、関係者の名前からベレンの執事であるジャコモの名が上がった。もともとオンディビエラ子爵と接触があり要注意人物になっていたらしい。
急いで倉庫に踏み込むと、予想通りクリスがいた。ただ、その姿は無傷とは言えず、両手を後ろで拘束され、金色の髪は乱れ、白いドレスは汚れ、頬は痛々しく腫れている。
その姿に、ルドは自分の中で何かが切れる音を聞いた。
そこから記憶がない。
気が付いた時には、目の前で自分の剣が刺さったクリスがいた。
クリスの腹から背中まで突き抜けた剣が、後ろ手に繋がれた手枷の鎖まで貫いている。
「し、しょ……う?」
ルドの言葉が虚しく響く。
凍りついた空気の中でカタカタと震える音が大きくなる。今にも剣を手放しそうなルドにアウルスが叫んだ。
「ルド! 絶対に剣を放すな! 今、剣が抜けたら出血するぞ!」
「あ、あぁ……」
ルドは真っ青な顔で自分が持っている剣を見つめた。
剣を通してクリスの脈動が伝わる。
手に力が入らない。全身が震え、その振動で剣の柄が今にも手から零れ落ちそうになる。
周りで誰かが叫んでいるが、言葉として頭に入らない。何も理解できない。理解したくない。
純白のドレスが真紅に染まっていく。
ナニで染まっているのか? 考えたくない。見たくない。
逃げるように目を閉じたところで、頬に何かが触れた。
「そんな情けない顔をするな」
思わぬ声にルドが顔を上げる。そこには両手で自分の頬に触れているクリスがいた。
手枷の鎖が斬れ、自由になった両手で、クリスが琥珀の瞳に溢れる涙を拭う。
「おまえは、いつも笑っていろ」
「師匠……」
「カハッ」
クリスが口から血を吐き、手が落ちた。脱力して倒れかけたクリスの体を後ろからアンドレが支える。
「師匠! 師匠!?」
今にも剣を引きそうなルドの手をカリストが抑えた。
「ここで剣ヲ抜いたら、傷口かラ大量に出血してクリス様が死にマす! アンドレ! クリス様の体ヲゆっくり床に寝※せて下さ□」
「わ※っタ」
アンドレがカリストの動きを見ながら剣が抜けないようにゆっくりとクリスを床に寝かせる。
アウルスが大声で叫んだ。
「ウルバヌス! ★◎△※◇を○うだけ#□★◎は残って×るカ!?」
「あ※△す!」
「剣ヲ※□◆◎くト*〇時に★◎△※◇を〇ケろ!」
「は□!」
次々とアウルスが指示を出すがルドは動かない。アウルスがルドに怒鳴った。
「ルド! 聞いて□るノ※!?」
自分の名前を呼ばれたような気がしたが、言葉の意味が解らない。声は聞こえているが、雑音にしか聞こえない。
焦点が合わない目で愕然としたまま動かないルドに代わり、カリストが答える。
「私が☆マす。合図ヲお願※しまス」
「わ□った!」
ルドは周囲の喧騒が遠い世界のように感じた。まるで自分だけが世界から隔絶され、違う世界に放り込まれたような、見えない壁に囲まれたような。
周囲にいる人が必死に何かをしているが、それが誰なのか、何をしているのか解らない。
しばらくして、誰かが自分の体を動かしたが、それがどういうことなのか、自分がどうなっているのか、まったく解らない。
目は開いているのに、見えているのに。声や音は耳から聞こえているのに。口は動いて息をしているのに。理解することを脳が拒絶した。
※※※※クリス視点※※※※
クリスは意識が遠退いていくのを感じていた。手を動かし、自分の傷を治療をしようとするが力が入らない。周囲の声が遠くなる。
(早く治療をしないと……間に合わなくな、る……私は、ここまで……か?)
途切れていく意識の中で誰かに呼ばれた。
「……ィアナ……ティアナ」
古い記憶にある懐かしい名前。この名で自分を呼ぶ人は、もういない。
「ティアナ!」
微かに聞こえた声に振り返ると、金髪の女性が乱暴に手を引いて走り出した。
「急いで走って! 時間がないわ!」
『第三居住区封鎖。第八通路閉鎖します。その場にいる人は直ちに避難を……』
うるさい音が響く中、引きずられるように走る。女性の腰にも届かないほど背が低いため、足もそのぶん短い。
「こっちよ! 早く!」
廊下の先で初老の金髪の女性が手招きをしている。二人が部屋に入ると、分厚い扉を引いて閉めようとしたが、重くて扉が動かない。金髪の女性も初老の女性と一緒に扉を引くが、扉はビクともしない。
そこで初老の女性が外に出て、全体重をかけて背中で扉を押した。
「先生! こちらへ!」
金髪の女性が閉じ始めた扉の隙間から手を伸ばす。初老の女性が少しだけ振り返って微笑んだ。
「ここは任せて。行きなさい」
「せんせ……」
ドオォォォーン!
いきなり現れた炎と爆風が扉を押し閉めた。
「先生!?」
『第五通路閉鎖。第六通路も閉鎖します。直ちに避難を……』
攻めたてるような避難アナウンス。金髪の女性が右手で顔を拭い、再び手を握って走り出した。時々地面が揺れてこけそうになるが、そのたびに金髪の女性に引っ張り上げられる。
しばらく走り、息もできないぐらい苦しくなったところで、金髪の女性が足を止めた。壁にある窓からは火の海になった部屋の光景。
「そんな……ここもダメなんて……」
そこに擦れた声が聞こえてきた。
『……き……える? 聞こえる? 第二ゲートに……そこなら、ま……パリン! ドォォォン……』
「制御室まで!? もう、ここは……」
「どうしたの?」
声をかけると、金髪の女性が初めて顔を向けた。その目には涙があふれている。
「どこか痛いの? ケガをしたの?」
「そうじゃないの。行きましょう。まだ、望みはある」
金髪の女性が強く手を握って走り出した。大きな音と振動が近づいているのが分かる。怖いという気持ちに押され、ひたすら走った。
「待って」
金髪の女性に言われて止まる。そのまま俯いて息を整えていると壁の一部が開いた。
「良かった。ここはまだ生きてる」
薄暗い部屋に金髪の女性の声が響く。
「そこに座って。念のために、定期的に整備していてよかったわ」
言われるまま椅子に座ると、頭の上から足先までグニョグニョとした物で覆われた。
金髪の女性が椅子の隣にある机で作業を始める。
「緊急事態! 緊急事態! 緊急脱出者、一名を射出する。至急受け入れてほしい」
『……こちら空中庭園。なにがあった?』
「隕石が衝突して中央制御装置が壊れた。ここも長くは持たない」
大きな爆発音が響く。金髪の女性は通信を止め、椅子に付いた装置を操作した。
「いい? どこも触ったらダメよ。大丈夫、寝ている間に着くから」
「どこに?」
質問に対して、金髪の女性が抱きしめた。
「私たち大人は無理だけど……幼いあなたなら、きっと適応できる」
そう言うと金髪の女性は顔を離した。深緑の瞳が悲し気に揺れる。
「生きて……私たちが存在した証を残して」
言葉が終わると同時に壁に包まれ、真っ暗になった。
「え!? なに!? 開けて! ねぇ!」
慌てていると椅子が揺れ、全身が押しつぶされるような力を感じて、私はそのまま眠った。
(私は簡単には死ねない。そして、助けないといけない。だから……)
やっと見つけた城内の一室。もう少しで手が届く、と思ったらクリスが目の前から消えた。
その後はセルシティが人手を総動員して街中の捜索と情報収集。同時にカリストがクリスの影を追跡。
その結果、この倉庫にたどり着き、関係者の名前からベレンの執事であるジャコモの名が上がった。もともとオンディビエラ子爵と接触があり要注意人物になっていたらしい。
急いで倉庫に踏み込むと、予想通りクリスがいた。ただ、その姿は無傷とは言えず、両手を後ろで拘束され、金色の髪は乱れ、白いドレスは汚れ、頬は痛々しく腫れている。
その姿に、ルドは自分の中で何かが切れる音を聞いた。
そこから記憶がない。
気が付いた時には、目の前で自分の剣が刺さったクリスがいた。
クリスの腹から背中まで突き抜けた剣が、後ろ手に繋がれた手枷の鎖まで貫いている。
「し、しょ……う?」
ルドの言葉が虚しく響く。
凍りついた空気の中でカタカタと震える音が大きくなる。今にも剣を手放しそうなルドにアウルスが叫んだ。
「ルド! 絶対に剣を放すな! 今、剣が抜けたら出血するぞ!」
「あ、あぁ……」
ルドは真っ青な顔で自分が持っている剣を見つめた。
剣を通してクリスの脈動が伝わる。
手に力が入らない。全身が震え、その振動で剣の柄が今にも手から零れ落ちそうになる。
周りで誰かが叫んでいるが、言葉として頭に入らない。何も理解できない。理解したくない。
純白のドレスが真紅に染まっていく。
ナニで染まっているのか? 考えたくない。見たくない。
逃げるように目を閉じたところで、頬に何かが触れた。
「そんな情けない顔をするな」
思わぬ声にルドが顔を上げる。そこには両手で自分の頬に触れているクリスがいた。
手枷の鎖が斬れ、自由になった両手で、クリスが琥珀の瞳に溢れる涙を拭う。
「おまえは、いつも笑っていろ」
「師匠……」
「カハッ」
クリスが口から血を吐き、手が落ちた。脱力して倒れかけたクリスの体を後ろからアンドレが支える。
「師匠! 師匠!?」
今にも剣を引きそうなルドの手をカリストが抑えた。
「ここで剣ヲ抜いたら、傷口かラ大量に出血してクリス様が死にマす! アンドレ! クリス様の体ヲゆっくり床に寝※せて下さ□」
「わ※っタ」
アンドレがカリストの動きを見ながら剣が抜けないようにゆっくりとクリスを床に寝かせる。
アウルスが大声で叫んだ。
「ウルバヌス! ★◎△※◇を○うだけ#□★◎は残って×るカ!?」
「あ※△す!」
「剣ヲ※□◆◎くト*〇時に★◎△※◇を〇ケろ!」
「は□!」
次々とアウルスが指示を出すがルドは動かない。アウルスがルドに怒鳴った。
「ルド! 聞いて□るノ※!?」
自分の名前を呼ばれたような気がしたが、言葉の意味が解らない。声は聞こえているが、雑音にしか聞こえない。
焦点が合わない目で愕然としたまま動かないルドに代わり、カリストが答える。
「私が☆マす。合図ヲお願※しまス」
「わ□った!」
ルドは周囲の喧騒が遠い世界のように感じた。まるで自分だけが世界から隔絶され、違う世界に放り込まれたような、見えない壁に囲まれたような。
周囲にいる人が必死に何かをしているが、それが誰なのか、何をしているのか解らない。
しばらくして、誰かが自分の体を動かしたが、それがどういうことなのか、自分がどうなっているのか、まったく解らない。
目は開いているのに、見えているのに。声や音は耳から聞こえているのに。口は動いて息をしているのに。理解することを脳が拒絶した。
※※※※クリス視点※※※※
クリスは意識が遠退いていくのを感じていた。手を動かし、自分の傷を治療をしようとするが力が入らない。周囲の声が遠くなる。
(早く治療をしないと……間に合わなくな、る……私は、ここまで……か?)
途切れていく意識の中で誰かに呼ばれた。
「……ィアナ……ティアナ」
古い記憶にある懐かしい名前。この名で自分を呼ぶ人は、もういない。
「ティアナ!」
微かに聞こえた声に振り返ると、金髪の女性が乱暴に手を引いて走り出した。
「急いで走って! 時間がないわ!」
『第三居住区封鎖。第八通路閉鎖します。その場にいる人は直ちに避難を……』
うるさい音が響く中、引きずられるように走る。女性の腰にも届かないほど背が低いため、足もそのぶん短い。
「こっちよ! 早く!」
廊下の先で初老の金髪の女性が手招きをしている。二人が部屋に入ると、分厚い扉を引いて閉めようとしたが、重くて扉が動かない。金髪の女性も初老の女性と一緒に扉を引くが、扉はビクともしない。
そこで初老の女性が外に出て、全体重をかけて背中で扉を押した。
「先生! こちらへ!」
金髪の女性が閉じ始めた扉の隙間から手を伸ばす。初老の女性が少しだけ振り返って微笑んだ。
「ここは任せて。行きなさい」
「せんせ……」
ドオォォォーン!
いきなり現れた炎と爆風が扉を押し閉めた。
「先生!?」
『第五通路閉鎖。第六通路も閉鎖します。直ちに避難を……』
攻めたてるような避難アナウンス。金髪の女性が右手で顔を拭い、再び手を握って走り出した。時々地面が揺れてこけそうになるが、そのたびに金髪の女性に引っ張り上げられる。
しばらく走り、息もできないぐらい苦しくなったところで、金髪の女性が足を止めた。壁にある窓からは火の海になった部屋の光景。
「そんな……ここもダメなんて……」
そこに擦れた声が聞こえてきた。
『……き……える? 聞こえる? 第二ゲートに……そこなら、ま……パリン! ドォォォン……』
「制御室まで!? もう、ここは……」
「どうしたの?」
声をかけると、金髪の女性が初めて顔を向けた。その目には涙があふれている。
「どこか痛いの? ケガをしたの?」
「そうじゃないの。行きましょう。まだ、望みはある」
金髪の女性が強く手を握って走り出した。大きな音と振動が近づいているのが分かる。怖いという気持ちに押され、ひたすら走った。
「待って」
金髪の女性に言われて止まる。そのまま俯いて息を整えていると壁の一部が開いた。
「良かった。ここはまだ生きてる」
薄暗い部屋に金髪の女性の声が響く。
「そこに座って。念のために、定期的に整備していてよかったわ」
言われるまま椅子に座ると、頭の上から足先までグニョグニョとした物で覆われた。
金髪の女性が椅子の隣にある机で作業を始める。
「緊急事態! 緊急事態! 緊急脱出者、一名を射出する。至急受け入れてほしい」
『……こちら空中庭園。なにがあった?』
「隕石が衝突して中央制御装置が壊れた。ここも長くは持たない」
大きな爆発音が響く。金髪の女性は通信を止め、椅子に付いた装置を操作した。
「いい? どこも触ったらダメよ。大丈夫、寝ている間に着くから」
「どこに?」
質問に対して、金髪の女性が抱きしめた。
「私たち大人は無理だけど……幼いあなたなら、きっと適応できる」
そう言うと金髪の女性は顔を離した。深緑の瞳が悲し気に揺れる。
「生きて……私たちが存在した証を残して」
言葉が終わると同時に壁に包まれ、真っ暗になった。
「え!? なに!? 開けて! ねぇ!」
慌てていると椅子が揺れ、全身が押しつぶされるような力を感じて、私はそのまま眠った。
(私は簡単には死ねない。そして、助けないといけない。だから……)
6
あなたにおすすめの小説
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる