7 / 7
これから始まる二人の物語
しおりを挟む
「ランツェ!」
ここにいないはずの声が響いた。
「……まさか」
オレは空耳かと思いつつも振り返った。
すると、そこにいたのは見たことがない騎士服を身に纏ったシルトだった。
金髪が艷やかに輝き、翡翠の瞳が太陽のように煌めく。白い肌は微かに色づき、気力に満ちている。
それは人形になる前の隊長の姿そのものだった。
ドンッ。
全身の力が抜けたオレは王を玉座の隣の床に落とした。
足元で王が小さく唸るが気にならない。
信じられない光景にオレは無意識に足を踏み出していた。
「なぜ……」
シルトの背後には同じ服を着た騎士が控えており、他にも続々と兵が集まっていた。
その状況に王の顔がほころぶ。
「同盟国からの援軍が到着したのか! 早く、こいつを捕まえろ!」
その声にシルトが颯爽と足を踏み出した。
「勘違いしないでいただきたい。我々は民を解放に来ました」
思わぬ言葉に王が呟く。
「……民を、解放?」
「はい。腐った支配者から民を解放するために」
ここで気づいたように王が叫ぶ。
「まさか、同盟国からの援軍ではなく解放軍か!?」
肯定するように美麗な顔が金髪を揺らしながら微笑む。
「城は我々が包囲しました。白旗をあげてください」
~⁜~⁜~
王を含め、一族と汚職にまみれていた貴族たちが革命軍に連行されていく。
だが、それよりオレは目の前の光景が信じられず呆然としていた。
「……どう、して」
こぼれた言葉に美麗な顔がフッと笑う。
「おまえの浅い考えなど、お見通しだ」
当然のように話す隊長にオレは声が震えないように力を入れた。
「すべて、知っていたのですか?」
オレが王の兄の子であったことも、民の不満を利用して腐敗した王と貴族、すべてを消そうとしていたことも。
そんなオレの計画を把握していたうえでオレに抱かれ、壊れた人形になったフリをしていたのか。
オレの疑問に答えることなく隊長がとぼけるように軽く首を傾げた。
「さあな。だが、玉座が爆発すると同時に私がいた部屋も爆発するのは、さすがにやり過ぎだ」
その発言にオレは笑った。
「全部知っていたんじゃないですか」
「さぁ、どうかな? それより、これからが大変だぞ」
「え?」
「モノは壊すより作る方が大変だ」
その言葉にオレは目を伏せた。
「オレは消えます。やっと腐った連中が消えたのに、その血を引くヤツがいるのは……っ!?」
オレの手に温もりが触れた。
白い手がしっかりとオレの手を握りしめている。
その真意がわからず、戸惑いながら顔をあげると、ずっと名を呼ばれたかった愛おしい顔がそこにあった。
「ランツェ、おまえは私の部下だろ? 血など関係ない」
その言葉に視界が歪む。
隊長は皆に平等だった。だから、少しでも特別になりたくて、無理やり抱いて自分だけのモノにしようとした。そして、すべてを消して終わらせようとした。
そんなオレの醜い感情も包み込むように隊長がふわりと笑う。
「それと、部下以上の関係になりたいなら、これから作ることだな」
すべてを見通す翡翠の瞳がオレだけを映した。
ここにいないはずの声が響いた。
「……まさか」
オレは空耳かと思いつつも振り返った。
すると、そこにいたのは見たことがない騎士服を身に纏ったシルトだった。
金髪が艷やかに輝き、翡翠の瞳が太陽のように煌めく。白い肌は微かに色づき、気力に満ちている。
それは人形になる前の隊長の姿そのものだった。
ドンッ。
全身の力が抜けたオレは王を玉座の隣の床に落とした。
足元で王が小さく唸るが気にならない。
信じられない光景にオレは無意識に足を踏み出していた。
「なぜ……」
シルトの背後には同じ服を着た騎士が控えており、他にも続々と兵が集まっていた。
その状況に王の顔がほころぶ。
「同盟国からの援軍が到着したのか! 早く、こいつを捕まえろ!」
その声にシルトが颯爽と足を踏み出した。
「勘違いしないでいただきたい。我々は民を解放に来ました」
思わぬ言葉に王が呟く。
「……民を、解放?」
「はい。腐った支配者から民を解放するために」
ここで気づいたように王が叫ぶ。
「まさか、同盟国からの援軍ではなく解放軍か!?」
肯定するように美麗な顔が金髪を揺らしながら微笑む。
「城は我々が包囲しました。白旗をあげてください」
~⁜~⁜~
王を含め、一族と汚職にまみれていた貴族たちが革命軍に連行されていく。
だが、それよりオレは目の前の光景が信じられず呆然としていた。
「……どう、して」
こぼれた言葉に美麗な顔がフッと笑う。
「おまえの浅い考えなど、お見通しだ」
当然のように話す隊長にオレは声が震えないように力を入れた。
「すべて、知っていたのですか?」
オレが王の兄の子であったことも、民の不満を利用して腐敗した王と貴族、すべてを消そうとしていたことも。
そんなオレの計画を把握していたうえでオレに抱かれ、壊れた人形になったフリをしていたのか。
オレの疑問に答えることなく隊長がとぼけるように軽く首を傾げた。
「さあな。だが、玉座が爆発すると同時に私がいた部屋も爆発するのは、さすがにやり過ぎだ」
その発言にオレは笑った。
「全部知っていたんじゃないですか」
「さぁ、どうかな? それより、これからが大変だぞ」
「え?」
「モノは壊すより作る方が大変だ」
その言葉にオレは目を伏せた。
「オレは消えます。やっと腐った連中が消えたのに、その血を引くヤツがいるのは……っ!?」
オレの手に温もりが触れた。
白い手がしっかりとオレの手を握りしめている。
その真意がわからず、戸惑いながら顔をあげると、ずっと名を呼ばれたかった愛おしい顔がそこにあった。
「ランツェ、おまえは私の部下だろ? 血など関係ない」
その言葉に視界が歪む。
隊長は皆に平等だった。だから、少しでも特別になりたくて、無理やり抱いて自分だけのモノにしようとした。そして、すべてを消して終わらせようとした。
そんなオレの醜い感情も包み込むように隊長がふわりと笑う。
「それと、部下以上の関係になりたいなら、これから作ることだな」
すべてを見通す翡翠の瞳がオレだけを映した。
15
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?
こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…
伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き
メグエム
BL
伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ハッピーエンドで良かったです~!
え、ランツェもシルトもカッコ良いんですが!?
私はどちらを推せばいいんですか!?
gay sm にはまっている、マゾ野郎っす!ご主人様の快楽の為なら、緊縛され無抵抗な姿でご奉仕致します!この作品のような世界にとても憧れてしまいます。フェラのまんま口中へ、ションベンやザ~汁を注がれ、無理やり飲まされたい!惨めな格好で責められ悶えるところをスマホで撮られたいっす!作者のかた、そんなオレとリアルしてくださいませんか?!マゾのじゅんやより!