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『おまえの声は心地良いな』
子どもにしてはマセた言葉遣いだと思った。
だが、その子どもは出会ったとたん、ずっと抱えていた虚無感を打ち消した。自分より少し年上の子ども。ずっと失くしていた半身に会えたような、こうして隣にいることが当たり前のような安堵感。
同時に声を褒められたことが嬉しくて、そこから自分の声に自信を持ち、宝物となった。
そんな亮の虚無感を埋めた子どもは、その言葉とともに心の楔となって残り続けた――――――
~※~
柔らかな陽射しが室内を照らす。
「……朝、か?」
いつもと違う全身を包む温もりと、いつもと違う枕の感触に違和感を覚えながら亮は瞼をあけた。
「なんか、久しぶりに熟睡したな……」
スヤスヤと気持ちよさそうに寝るシュラーフェンを見ていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
ただ、どれだけベッドのマットを変えても、どれだけ枕を変えても、ここまで心地よく眠れたことはなかった。
「やっぱり豪華なベッドと枕だと違うんやな」
そう呟きながら顔を動かすと、すぐ真横には厚い胸板。そして、頭の下には逞しい腕があり……
「!?!?!?!?!?!?」
声にならない叫びとともに亮の体が硬直した。
少し視線をあげればスヤスヤと眠る眉目秀麗な美男。白銀の髪が閉じられた瞼の上をサラリと流れる。形が良い唇は薄っすらと開き、白い歯が覗く。
(はぁ、こんな間近で見ても美形は美形なんやなぁ。しかも、睫毛がごっつぅ長いし。うわっ、睫毛まで白銀でキラキラやん……って、現実逃避してる場合やあらへん!)
抱き枕のように抱きしめられているが、このままというわけにはいかない。
どうにか抜け出そうと動くが逆に強く抱きしめられる始末。
(このバカ力が! どないせぇっつうねん!)
ただ、不思議なことに嫌悪感はない。
それどころか、ずっとポッカリと空いていた穴が少しだけ満たされたような安堵感がある。何をしても、誰といても満たされたことがないのに。
(なんで……)
そこにふわりと甘い花のような香りがした。安眠のために用意をしたラベンダーとは違う、甘くて、もっと嗅ぎたくなるような匂い。
その匂いの元を探すように視線をあげると、瞼が動いてアイスブルーの瞳が薄っすらと覗いていた。
ただ、まだ寝ぼけているらしく、ぼんやりとしていて焦点があっていない。
それでも、亮と目があった瞬間、ふわりと柔らかい笑みが浮かんだ。
これまでの冷淡な無表情との落差にドキリと胸が跳ねる。
(な、なんや、そんな顔もできるんやん!)
あわあわする気持ちを誤魔化すように心の中でツッコミをしていると、逞しい腕がギュッと亮を抱きしめた。
「え? えぇ!?」
パニックになっていると、スヤスヤと気持ちよさそうな寝息が耳にかかった。
そのことに、亮の中で何かがプチンと切れる。
「なんで、二度寝するんや! ええ加減、起きや! 朝やで!」
その声でようやく亮を抱きしめていた腕の力が緩んだ。
「……あぁ、朝か……………………朝だと!?」
それまで微睡んでいたアイスブルーの瞳に力が入り、ガバッと上半身が起き上がる。それから、白銀の髪を振り乱しながらキョロキョロと室内を見回した後、朝日が差し込む窓を見て動きを止めた。
「……本当に、朝なのか。夜中に目覚めることなく、朝まで眠れたとは」
呆然としたままシュラーフェンが呟く。
その様子に体を起こした亮がフフンと胸を張って腰に手を当てた。
「オレの寝かしつけが上手くいったってことで、ええかな?」
「あぁ」
シュラーフェンは頷いたものの、信じられないとばかりに目を見開いたまま硬直している。
その様子に亮は思わず吹き出した。
「まあ、しっかり寝られたなら良かったな」
「……本当に驚きだ。還る前に昨日したことを紙に書いて残してほしいのだが、いいか?」
シュラーフェンのしおらしい様子に翡翠の目が丸くなる。
「別にええけど……なんか変なもんでも喰ったか?」
「普段とは違う口にしたものと言えば、おまえが淹れたハーブティーぐらいだが?」
「いや、真面目に答えんでええから」
反射的にツッコミを入れた亮がはぁ、とため息を吐く。
その様子にコテンと白銀の髪が揺れた。
「どうした、何か問題があるのか? 報酬なら用意するが」
「そうじゃなくて、昨日の偉そうな態度! 最初っから今みたいな態度なら快く協力してやったのに!」
その訴えにアイスブルーの瞳がスッと逃げた。
「いや、まさか、ここまで効果があると思わなくてな」
どこかバツが悪そうな顔。まるで悪戯をした子どもが怒られたような表情に亮はプッと吹き出した。
「まあ、ええわ。ちゃんと昨日したことは全部紙に書いてやるから。それにしても、よく効いたんやなぁ。しかも、起きたら抱きしめられとるし。誰と間違えたんが知らんけど、美人のお姉ちゃんじゃなくて、すまんかったなぁ」
実際はかなり恥ずかしかったのだが、そのことを誤魔化すように軽く話していく。
すると、アイスブルーの瞳がチラリと亮を見たあと、サッと逃げるように顔を背けた。
「……間違えたつもりはない」
「へ?」
ボソッと聞こえた声。
どうゆうことや!? と確認する前に咳払いをしたシュラーフェンが亮と正面から向きあうように姿勢を変えた。その顔は初めて会った時と同じ無表情。
「朝食を準備させる。食べ終わってから書き残せ」
「い、いや、朝飯はいらんから、先に紙とペンだけ貸してや」
「……朝は食べないのか?」
シュラーフェンが少しだけ眉間のシワを深くする。
その様子に亮は慌てて手を横に振った。
「朝はその、スープとか軽いもんで済ますんや。パンとか米だと、ずっと胃にもたれて気持ち悪いんや」
本当は経口栄養ゼリーなのだが、ゼリーがこの世界にあるか分からないのでスープということにした。
そんな亮の説明にアイスブルーの瞳が鋭くなり、太い腕が伸びる。
「そんな食事だからこんなに細いのか。もう少しまともなものを喰え。すぐに倒れるぞ」
そう言いながら大きな手が細い腰に触れた。
「っ!?」
驚く亮を無視してシュラーフェンが腰を挟むように両手で掴み、そのまま確認するようにサワサワと手を動かしていく。
「細すぎだろ。女でもここまで細いのは、なかなかいないぞ」
服の上から触られているのに太い指の感触が伝わる。自分の手よりもずっと大きく、しっかりした手。
しかも、アイスブルーの瞳がまじまじと真剣な表情で自分の腰を観察している。
その真っ直ぐな眼差しに亮の胸がドキドキと早鐘を打ち始めた。
(な、なんや!? いままでだって他のヤツに触られたことぐらいあるのに、その時と全然違う!?)
誰がどれだけ近くに来ても、触られても何も感じなかった。むしろ、嫌悪感の方が強かったかもしれない。
それなのにシュラーフェンは違う。
くすぐったいような、気持ちいいような、どこか嬉しい感じさえする。それどころか、もっと近くに、体を寄せて温もりと匂いを……
(って、オレは何を考えとんねん!)
亮は傾きかけた思考を振り切るように怒鳴った。
「いつまで人の腰を触ってるんや! 同性でもセクハラやで、セクハラ!」
その言葉にスッと手が離れる。
「セクハラとは何だ?」
キョトンとしたシュラーフェンの顔に亮が額を押さえて俯いた。
「すぐに処刑とか言う世界にセクハラなんて概念ないわな。すまんかった、忘れてくれ」
すると、先程まで好き放題に腰を触っていた手が亮の右手を掴んだ。
「いや、教えてくれ。もし不愉快な気持ちにさせたなら、謝る。すまない」
無表情なのに、どこか必死な様相で迫るシュラーフェン。
その姿に圧倒されつつ亮は自分が掴まれている手首を指さした。
「勝手に人の体に触るなっていうことや」
その指摘にパッと手が離れる。
「そういうことか。悪かった」
そう言うとシュラーフェンはベッドから立ち上がり宝石のように輝く机の引き出しから紙とペンを出した。
「これを自由に使うといい。私は身支度をしてくる」
サッと白銀の髪をなびかせて部屋から出て行く。
パタン、とドアが閉まったところで亮はベッドの上に座ったまま盛大にため息と肩を落とした。
「なんやねん……ごっつぅ調子が狂うんやけど」
とはいえ、このままこの世界にいるわけにもいかない。
さっさと元の世界に戻ってやることをやらねば。
「今日が日曜日でよかったわ」
立ち上がった亮は座るのを躊躇うほど煌びやかな椅子に座り、準備された紙とペンを見た。
「……なんか、意外としっかりしているな」
てっきりゴワゴワの紙にインクをペン先につけて書くタイプのペンだと思っていたが、机の上に置かれたのはサラッとした薄い紙にインクが入ったペンだった。
「魔法とかでこういうところの文明は進んでいるのかもしれへんな」
そう納得した亮は寝かしつけの方法と注意点を書いていった。
子どもにしてはマセた言葉遣いだと思った。
だが、その子どもは出会ったとたん、ずっと抱えていた虚無感を打ち消した。自分より少し年上の子ども。ずっと失くしていた半身に会えたような、こうして隣にいることが当たり前のような安堵感。
同時に声を褒められたことが嬉しくて、そこから自分の声に自信を持ち、宝物となった。
そんな亮の虚無感を埋めた子どもは、その言葉とともに心の楔となって残り続けた――――――
~※~
柔らかな陽射しが室内を照らす。
「……朝、か?」
いつもと違う全身を包む温もりと、いつもと違う枕の感触に違和感を覚えながら亮は瞼をあけた。
「なんか、久しぶりに熟睡したな……」
スヤスヤと気持ちよさそうに寝るシュラーフェンを見ていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
ただ、どれだけベッドのマットを変えても、どれだけ枕を変えても、ここまで心地よく眠れたことはなかった。
「やっぱり豪華なベッドと枕だと違うんやな」
そう呟きながら顔を動かすと、すぐ真横には厚い胸板。そして、頭の下には逞しい腕があり……
「!?!?!?!?!?!?」
声にならない叫びとともに亮の体が硬直した。
少し視線をあげればスヤスヤと眠る眉目秀麗な美男。白銀の髪が閉じられた瞼の上をサラリと流れる。形が良い唇は薄っすらと開き、白い歯が覗く。
(はぁ、こんな間近で見ても美形は美形なんやなぁ。しかも、睫毛がごっつぅ長いし。うわっ、睫毛まで白銀でキラキラやん……って、現実逃避してる場合やあらへん!)
抱き枕のように抱きしめられているが、このままというわけにはいかない。
どうにか抜け出そうと動くが逆に強く抱きしめられる始末。
(このバカ力が! どないせぇっつうねん!)
ただ、不思議なことに嫌悪感はない。
それどころか、ずっとポッカリと空いていた穴が少しだけ満たされたような安堵感がある。何をしても、誰といても満たされたことがないのに。
(なんで……)
そこにふわりと甘い花のような香りがした。安眠のために用意をしたラベンダーとは違う、甘くて、もっと嗅ぎたくなるような匂い。
その匂いの元を探すように視線をあげると、瞼が動いてアイスブルーの瞳が薄っすらと覗いていた。
ただ、まだ寝ぼけているらしく、ぼんやりとしていて焦点があっていない。
それでも、亮と目があった瞬間、ふわりと柔らかい笑みが浮かんだ。
これまでの冷淡な無表情との落差にドキリと胸が跳ねる。
(な、なんや、そんな顔もできるんやん!)
あわあわする気持ちを誤魔化すように心の中でツッコミをしていると、逞しい腕がギュッと亮を抱きしめた。
「え? えぇ!?」
パニックになっていると、スヤスヤと気持ちよさそうな寝息が耳にかかった。
そのことに、亮の中で何かがプチンと切れる。
「なんで、二度寝するんや! ええ加減、起きや! 朝やで!」
その声でようやく亮を抱きしめていた腕の力が緩んだ。
「……あぁ、朝か……………………朝だと!?」
それまで微睡んでいたアイスブルーの瞳に力が入り、ガバッと上半身が起き上がる。それから、白銀の髪を振り乱しながらキョロキョロと室内を見回した後、朝日が差し込む窓を見て動きを止めた。
「……本当に、朝なのか。夜中に目覚めることなく、朝まで眠れたとは」
呆然としたままシュラーフェンが呟く。
その様子に体を起こした亮がフフンと胸を張って腰に手を当てた。
「オレの寝かしつけが上手くいったってことで、ええかな?」
「あぁ」
シュラーフェンは頷いたものの、信じられないとばかりに目を見開いたまま硬直している。
その様子に亮は思わず吹き出した。
「まあ、しっかり寝られたなら良かったな」
「……本当に驚きだ。還る前に昨日したことを紙に書いて残してほしいのだが、いいか?」
シュラーフェンのしおらしい様子に翡翠の目が丸くなる。
「別にええけど……なんか変なもんでも喰ったか?」
「普段とは違う口にしたものと言えば、おまえが淹れたハーブティーぐらいだが?」
「いや、真面目に答えんでええから」
反射的にツッコミを入れた亮がはぁ、とため息を吐く。
その様子にコテンと白銀の髪が揺れた。
「どうした、何か問題があるのか? 報酬なら用意するが」
「そうじゃなくて、昨日の偉そうな態度! 最初っから今みたいな態度なら快く協力してやったのに!」
その訴えにアイスブルーの瞳がスッと逃げた。
「いや、まさか、ここまで効果があると思わなくてな」
どこかバツが悪そうな顔。まるで悪戯をした子どもが怒られたような表情に亮はプッと吹き出した。
「まあ、ええわ。ちゃんと昨日したことは全部紙に書いてやるから。それにしても、よく効いたんやなぁ。しかも、起きたら抱きしめられとるし。誰と間違えたんが知らんけど、美人のお姉ちゃんじゃなくて、すまんかったなぁ」
実際はかなり恥ずかしかったのだが、そのことを誤魔化すように軽く話していく。
すると、アイスブルーの瞳がチラリと亮を見たあと、サッと逃げるように顔を背けた。
「……間違えたつもりはない」
「へ?」
ボソッと聞こえた声。
どうゆうことや!? と確認する前に咳払いをしたシュラーフェンが亮と正面から向きあうように姿勢を変えた。その顔は初めて会った時と同じ無表情。
「朝食を準備させる。食べ終わってから書き残せ」
「い、いや、朝飯はいらんから、先に紙とペンだけ貸してや」
「……朝は食べないのか?」
シュラーフェンが少しだけ眉間のシワを深くする。
その様子に亮は慌てて手を横に振った。
「朝はその、スープとか軽いもんで済ますんや。パンとか米だと、ずっと胃にもたれて気持ち悪いんや」
本当は経口栄養ゼリーなのだが、ゼリーがこの世界にあるか分からないのでスープということにした。
そんな亮の説明にアイスブルーの瞳が鋭くなり、太い腕が伸びる。
「そんな食事だからこんなに細いのか。もう少しまともなものを喰え。すぐに倒れるぞ」
そう言いながら大きな手が細い腰に触れた。
「っ!?」
驚く亮を無視してシュラーフェンが腰を挟むように両手で掴み、そのまま確認するようにサワサワと手を動かしていく。
「細すぎだろ。女でもここまで細いのは、なかなかいないぞ」
服の上から触られているのに太い指の感触が伝わる。自分の手よりもずっと大きく、しっかりした手。
しかも、アイスブルーの瞳がまじまじと真剣な表情で自分の腰を観察している。
その真っ直ぐな眼差しに亮の胸がドキドキと早鐘を打ち始めた。
(な、なんや!? いままでだって他のヤツに触られたことぐらいあるのに、その時と全然違う!?)
誰がどれだけ近くに来ても、触られても何も感じなかった。むしろ、嫌悪感の方が強かったかもしれない。
それなのにシュラーフェンは違う。
くすぐったいような、気持ちいいような、どこか嬉しい感じさえする。それどころか、もっと近くに、体を寄せて温もりと匂いを……
(って、オレは何を考えとんねん!)
亮は傾きかけた思考を振り切るように怒鳴った。
「いつまで人の腰を触ってるんや! 同性でもセクハラやで、セクハラ!」
その言葉にスッと手が離れる。
「セクハラとは何だ?」
キョトンとしたシュラーフェンの顔に亮が額を押さえて俯いた。
「すぐに処刑とか言う世界にセクハラなんて概念ないわな。すまんかった、忘れてくれ」
すると、先程まで好き放題に腰を触っていた手が亮の右手を掴んだ。
「いや、教えてくれ。もし不愉快な気持ちにさせたなら、謝る。すまない」
無表情なのに、どこか必死な様相で迫るシュラーフェン。
その姿に圧倒されつつ亮は自分が掴まれている手首を指さした。
「勝手に人の体に触るなっていうことや」
その指摘にパッと手が離れる。
「そういうことか。悪かった」
そう言うとシュラーフェンはベッドから立ち上がり宝石のように輝く机の引き出しから紙とペンを出した。
「これを自由に使うといい。私は身支度をしてくる」
サッと白銀の髪をなびかせて部屋から出て行く。
パタン、とドアが閉まったところで亮はベッドの上に座ったまま盛大にため息と肩を落とした。
「なんやねん……ごっつぅ調子が狂うんやけど」
とはいえ、このままこの世界にいるわけにもいかない。
さっさと元の世界に戻ってやることをやらねば。
「今日が日曜日でよかったわ」
立ち上がった亮は座るのを躊躇うほど煌びやかな椅子に座り、準備された紙とペンを見た。
「……なんか、意外としっかりしているな」
てっきりゴワゴワの紙にインクをペン先につけて書くタイプのペンだと思っていたが、机の上に置かれたのはサラッとした薄い紙にインクが入ったペンだった。
「魔法とかでこういうところの文明は進んでいるのかもしれへんな」
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