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第十一話 ファスティアの実力
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「私の名前は、ファスティア・マーベルグラインと言います。 現在はCランクで…階級は帝級魔導士です。」
「「「はぁ~? 帝級魔導士だとぉ⁉︎」」」
帝級魔導士とランクを付けられた時は、冒険者ギルドに加入する際の魔力鑑定で判定されたものだった。
レントグレマール王国全体に結界を張っていた時でさぇこんな状態なので、結界を解除して元の魔力量に戻ったらどれ程まで階級が上がるんだろう?
まぁ、大騒ぎになる事は間違いないはずだから、次のギルドカード更新時まで内緒にしておこう。
「あの魔物の素材を持って来たくらいだから、並の魔導士ではないとは思っていたが…まさか帝級かよ!」
「しかしよぉ…帝級程の称号がある奴が、何でCランク止まりなんだ?」
「私は実績がそれほど多くはないですからね…」
レントグレマール王国では、王宮で暮らしていた為に日帰りで出来る依頼しか受けて来なかった。
数日間泊まり掛けの依頼でも受けていれば…もっと上位のランクになっていたと思う。
「それにしても、俺達よりランクが高いとはな…」
「高いのはランクだけで実績は少ないと言いましたよね? 別に気にしなくても平気ですよ。」
「そうか…なら、明日から早速依頼をこなしに目的地に行くが良いか?」
「その前に、私の役割はどういたしましょうか?」
「…そうだな、得意な属性は何がある?」
「私は全属性使えますけど…」
「あーうん、支援魔法を中心にサポートする役目を頼めるか?」
「その方が良いですね、下手に攻撃魔法を放つとレベル上げにも支障が出ますから…」
それから2時間後に酒場での食事はお開きになった。
私は宿を探そうとしたらドレクスが贔屓にしている宿屋があり、ドレクス達はメナスと別々の部屋を取っていた。
メナスは女の子という理由なので部屋を別に分けられていたのだけど、私がメナスと同じ部屋に泊まる事を知ると、メナスは物凄く喜んでいたようだった。
私とメナスは同じ年で、メナスは強面の父親の所為で周りに同じ年の子と交流が無いという話だったので、明日に差支えが無い様に寝るまで話をしてから休む事にした。
翌日…宿屋の食堂で私とメナスはドレクス達と合流した。
食事が終わってから王国の外に出て、依頼の場所であるレクスルート大草原に足を運んだ。
「今回の獲物はグランドシープだ!」
「体長が5m位の巨大な羊ですよね?」
「攻撃を仕掛けなければ大人しいという話なのだが…?」
「おい、ドレクス! 前方から砂煙を巻き上げながらグランドシープが走って来ているぞ!」
「は? グランドシープは本来群れで行動する奴じゃないんだが…?」
ドレクス達は装備を整えると、斥候のフレクスが集団の脇にいるグランドシープに矢を放った。
本来ならこの方法で誘う事が出来るはずなのだったが、グランドシープの群れは矢が当たったにも関わらず…こちらに気にする様子が無く一目散に走って行った。
「なんだ? まるで…何かから逃げるかのような勢いで走り去っていったな!」
「おい! どうやら…あれから逃げているみたいだぞ‼」
レドナースが煙の方向に指を差すと、砂煙の中に巨大な姿が見え始めた。
そして砂煙が晴れて姿を現したのは…巨大なブルードラゴンだった。
「ちっ…ブルードラゴンかよ‼」
「だが幸いにも俺達の方を向いている訳では無いから、後退してやり過ごすぞ‼」
私達はゆっくりと交代しながら下がって行った。
だけど、メナスがうっかり木の枝を踏んで音を出してしまった為に…ブルードラゴンはその音に気が付いて視線がこちらに向けられた。
「最悪だ…」
「これでは逃げられねぇな! ファスティア、メナスを頼む…俺達はお前らを逃がす為に時間を掛けるからな‼」
ドレクス達を見ると冷や汗を流しながら武器を持って威嚇をしていた。
グランドシープを相手に出来るくらいだから、大型の魔物との戦闘は何度もしていたのだろうけど…流石にドラゴンともなると話は違って来るみたい。
ドレクス達の顔を見ると、覚悟をした表情をしていた。
メナスもそれを悟ったのか、ドレクス達の元に向かおうと走り出したのを私は止めた。
「放して! このままじゃパパが…」
ドレクスはメナスの言葉に親指を立てて合図を送った。
それがどういう意味なのかは分からなかったけど、メナスはその合図の意味を理解している様だった。
メナスは泣き崩れた姿を見ると、それは私にも伝わって来た。
最初に会った時は凶悪な顔をした者達だと思っていた。
だけど顔が恐いというだけで、ドレクス達は娘思いの立派な者達だった。
そんなドレクス達を無駄に死なせたくない!
「大丈夫よ、メナス…ドレクス達は私が助けるから!」
私はそう言ってメナスに結界を張ってからドレクス達の前に出た。
「ファスティア、俺達が食い止めると言っただろ! お前はメナスを連れてさっさと逃げろ‼」
「そんな事を言って…ドレクス達は死ぬ気でしょ?」
「流石にドラゴン相手では分が悪いしな…」
私は地面に手を付けると…
「樹魔法…スパイクバインド!」
地面から無数に生えた棘の付いた太いツタがブルードラゴンを絡めて地面に伏せさせた。
「氷魔法…アイシクルレイン!」
次に空中に出現した無数の巨大な氷柱をブルードラゴン目掛けて放つと、ブルードラゴンは体中に貫かれて叫び声を上げていた。
ブルードラゴンは私を睨むとブレスを放って来た。
「風魔法…エアリエルシールド!」
私の前に出現した巨大な風の盾がブレスを弾いた。
ブルードラゴンは信じられないといった表情で私を見た。
「苦しま無い様にしてあげるね、雷魔法…ライトニングバースト!」
空に暗雲が集まると、そこから巨大な雷の柱がブルードラゴンに降り注いだ。
するとブルードラゴンは、断末魔の叫びを上げながら倒れたのだった。
私は振り返りながらドレクス達を見ると、ドレクス達は呆気にとらわれていた。
「これでもう大丈夫よ! ごめんね、ドレクス達の思いを無駄にしてしまって…」
私は笑顔で答えると、ドレクス達は無言で頷いているだけだった。
依頼の魔物の討伐では無かったけど、ドラゴン相手なら仕方がないよね?
あとはギルドがどう納得するかだけど…?
「「「はぁ~? 帝級魔導士だとぉ⁉︎」」」
帝級魔導士とランクを付けられた時は、冒険者ギルドに加入する際の魔力鑑定で判定されたものだった。
レントグレマール王国全体に結界を張っていた時でさぇこんな状態なので、結界を解除して元の魔力量に戻ったらどれ程まで階級が上がるんだろう?
まぁ、大騒ぎになる事は間違いないはずだから、次のギルドカード更新時まで内緒にしておこう。
「あの魔物の素材を持って来たくらいだから、並の魔導士ではないとは思っていたが…まさか帝級かよ!」
「しかしよぉ…帝級程の称号がある奴が、何でCランク止まりなんだ?」
「私は実績がそれほど多くはないですからね…」
レントグレマール王国では、王宮で暮らしていた為に日帰りで出来る依頼しか受けて来なかった。
数日間泊まり掛けの依頼でも受けていれば…もっと上位のランクになっていたと思う。
「それにしても、俺達よりランクが高いとはな…」
「高いのはランクだけで実績は少ないと言いましたよね? 別に気にしなくても平気ですよ。」
「そうか…なら、明日から早速依頼をこなしに目的地に行くが良いか?」
「その前に、私の役割はどういたしましょうか?」
「…そうだな、得意な属性は何がある?」
「私は全属性使えますけど…」
「あーうん、支援魔法を中心にサポートする役目を頼めるか?」
「その方が良いですね、下手に攻撃魔法を放つとレベル上げにも支障が出ますから…」
それから2時間後に酒場での食事はお開きになった。
私は宿を探そうとしたらドレクスが贔屓にしている宿屋があり、ドレクス達はメナスと別々の部屋を取っていた。
メナスは女の子という理由なので部屋を別に分けられていたのだけど、私がメナスと同じ部屋に泊まる事を知ると、メナスは物凄く喜んでいたようだった。
私とメナスは同じ年で、メナスは強面の父親の所為で周りに同じ年の子と交流が無いという話だったので、明日に差支えが無い様に寝るまで話をしてから休む事にした。
翌日…宿屋の食堂で私とメナスはドレクス達と合流した。
食事が終わってから王国の外に出て、依頼の場所であるレクスルート大草原に足を運んだ。
「今回の獲物はグランドシープだ!」
「体長が5m位の巨大な羊ですよね?」
「攻撃を仕掛けなければ大人しいという話なのだが…?」
「おい、ドレクス! 前方から砂煙を巻き上げながらグランドシープが走って来ているぞ!」
「は? グランドシープは本来群れで行動する奴じゃないんだが…?」
ドレクス達は装備を整えると、斥候のフレクスが集団の脇にいるグランドシープに矢を放った。
本来ならこの方法で誘う事が出来るはずなのだったが、グランドシープの群れは矢が当たったにも関わらず…こちらに気にする様子が無く一目散に走って行った。
「なんだ? まるで…何かから逃げるかのような勢いで走り去っていったな!」
「おい! どうやら…あれから逃げているみたいだぞ‼」
レドナースが煙の方向に指を差すと、砂煙の中に巨大な姿が見え始めた。
そして砂煙が晴れて姿を現したのは…巨大なブルードラゴンだった。
「ちっ…ブルードラゴンかよ‼」
「だが幸いにも俺達の方を向いている訳では無いから、後退してやり過ごすぞ‼」
私達はゆっくりと交代しながら下がって行った。
だけど、メナスがうっかり木の枝を踏んで音を出してしまった為に…ブルードラゴンはその音に気が付いて視線がこちらに向けられた。
「最悪だ…」
「これでは逃げられねぇな! ファスティア、メナスを頼む…俺達はお前らを逃がす為に時間を掛けるからな‼」
ドレクス達を見ると冷や汗を流しながら武器を持って威嚇をしていた。
グランドシープを相手に出来るくらいだから、大型の魔物との戦闘は何度もしていたのだろうけど…流石にドラゴンともなると話は違って来るみたい。
ドレクス達の顔を見ると、覚悟をした表情をしていた。
メナスもそれを悟ったのか、ドレクス達の元に向かおうと走り出したのを私は止めた。
「放して! このままじゃパパが…」
ドレクスはメナスの言葉に親指を立てて合図を送った。
それがどういう意味なのかは分からなかったけど、メナスはその合図の意味を理解している様だった。
メナスは泣き崩れた姿を見ると、それは私にも伝わって来た。
最初に会った時は凶悪な顔をした者達だと思っていた。
だけど顔が恐いというだけで、ドレクス達は娘思いの立派な者達だった。
そんなドレクス達を無駄に死なせたくない!
「大丈夫よ、メナス…ドレクス達は私が助けるから!」
私はそう言ってメナスに結界を張ってからドレクス達の前に出た。
「ファスティア、俺達が食い止めると言っただろ! お前はメナスを連れてさっさと逃げろ‼」
「そんな事を言って…ドレクス達は死ぬ気でしょ?」
「流石にドラゴン相手では分が悪いしな…」
私は地面に手を付けると…
「樹魔法…スパイクバインド!」
地面から無数に生えた棘の付いた太いツタがブルードラゴンを絡めて地面に伏せさせた。
「氷魔法…アイシクルレイン!」
次に空中に出現した無数の巨大な氷柱をブルードラゴン目掛けて放つと、ブルードラゴンは体中に貫かれて叫び声を上げていた。
ブルードラゴンは私を睨むとブレスを放って来た。
「風魔法…エアリエルシールド!」
私の前に出現した巨大な風の盾がブレスを弾いた。
ブルードラゴンは信じられないといった表情で私を見た。
「苦しま無い様にしてあげるね、雷魔法…ライトニングバースト!」
空に暗雲が集まると、そこから巨大な雷の柱がブルードラゴンに降り注いだ。
するとブルードラゴンは、断末魔の叫びを上げながら倒れたのだった。
私は振り返りながらドレクス達を見ると、ドレクス達は呆気にとらわれていた。
「これでもう大丈夫よ! ごめんね、ドレクス達の思いを無駄にしてしまって…」
私は笑顔で答えると、ドレクス達は無言で頷いているだけだった。
依頼の魔物の討伐では無かったけど、ドラゴン相手なら仕方がないよね?
あとはギルドがどう納得するかだけど…?
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