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序章
プロローグ
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『セリア! 僕の生涯の伴侶になっておくれ‼︎』
私…セリアは、本日…私が経営している雑貨店のお店の前で…常連客のロバートから告白をされました。
私はロバートに対して、深々とお辞儀をして丁重にお断りを告げました。
するとロバートは、肩を落として、泣きながらその場を走り去って行きました。
ロバートは、良くお店を訪ねてくる常連さんの1人で、年齢も近く…気さくに会話を出来る方です。
ですが、私はロバートの事は、仲の良い友達としか思ってはおらず…特別な感情を抱いた事はありませんでした。
…というよりも、そもそも…恋愛について、全くと言って良いほどに知識はありません。
何故にそんな事になっているか…は、転身する前の世界での話をした方が良いですね。
~~~~~転身前の世界:日本~~~~~
享年15歳。
私…笹薙 芹亜は、長きにわたる闘病生活により、この世を去る事になりました。
病名は、凄く長ったらしい病名ですが、ざっくり言うと重症感染症と言う部類に入る物らしいです。
私は生まれつき身体が弱く、ちょっとした事でウィルスを移されて、昏睡状態に陥ったり…皮膚が物凄く薄くて、ちょっとぶつけただけで簡単に出血をしたりします。
その為に、殆どが寝たきりの生活を強制されていて、学校にも行けずに友達も居ない。
院内を歩き回る事ですら、看護師の付き添いで車椅子移動という感じでした。
そんな私ですが、日々の暇つぶしと言えば…姉や妹に差し入れしてくれるタブレットでの動画鑑賞や、小説やコミックス鑑賞…それ以外と言えば、病院内の図書室から借りられる医学書という感じでした。
「学校の勉強ですか? 勿論、終わらせた後にですよ。」
生まれ付き…こんな身体で生まれてしまった私には、病院以外での生活が分かりません。
家には姉と妹と同じ様に部屋が与えられているそうですが、私は家に帰った事が無い為に確認のしようがありません。
学校も同じで、病院のベッドの上でタブレットによるオンライン授業を受けていました。
受けたところで、世に出る事が出来るか分からない私にとっては、意味がある事かどうかは分かりません。
でも、最低限の知識や知識を身に付ける…という意味では、これらの勉学は役に立つ事かもしれません。
知識が広がれば、読める字や意味も分かりますからね。
…と、かっこいい事を言っておりますが、実は…そういった事をしていないと暇なのです。
私の移動範囲は極端に短いです。
主にベッドの上での生活で完結しており、近くにある棚や机から物を取るときに上半身を起こす…位しかありません。
その為に、身体が疲労するという事があまりなくて、眠気が来る事があまりありません。
そういった時の時間の潰し方としては、勉強や読書は大変有効なのです。
「まぁ、最初に医学書を読んだ所でちんぷんかんぷんでしたけど…」
私が医学書で読んでいた項目は、主に薬学に関する物でした。
だって、手術内容や手順を読んだ所で、私が執刀なんて出来るわけではないので意味が無いです。
人体設計図…なんて物は、生まれてから嫌というほどに見て来ました。
私の身体の状態や構造を、担当医に暗記出来るくらいに覚えさせられましたから。
そこで、医学書のどの項目なら面白く読む事ができるか?
そう考えてから、薬品や薬学についての項目に目が行きました。
何でそんな所に興味を持ったか?
それは、もしかしたら、私の身体を改善する薬があるかも知れない…と思ったからでした。
ううん、そんな物は存在しないことくらい分かりきっています。
私よりも長く時間を費やして、医学に携わる為に勉強をして来た方々ですら、未だにその解決法の糸口すら掴めていないのに、その半分の時間すら費やせていない小娘の私が調べた所で、解決策なんか見つかる筈がありません。
「ファンタジーの世界に存在する、万能薬と言われるエリクサーとかだったら、私の病も完治出来るのかなぁ?」
な~んて、実際にそんな薬があったとしても、私に配分される可能性は億が一にもありませんよね。
全ての人類に行き渡る程の薬の数があるとかなら可能性はありますが、希少で品数が無い薬なんて、権力者や裕福な人の手に渡ってしまい、庶民である私の手に届く事はないはずですから。
無駄かも知れませんが、薬学は暇を潰すのには持って来いな勉強になりました。
それから数日間は、暇を持て余す事はなかったのですが…?
その日…世界にとんでもない感染症が猛威を振るいました。
その病名は、「コビット19」…俗にいう、新型コ○ナウィルスという物でした。
病院内では、厳戒態勢が発動し…防護服などに身を包んだ医師や看護師が対処に当たっていました。
私のいる病室も、感染症を防ぐ為に作られた無菌室だったのですが…
そんな完全防備されている無菌室ですら、何処からか人にくっついて来た所為で私に感染し…そこで私は短過ぎる生涯の幕を閉じたのでした。
「防護服に身を包むんで、消毒を徹底している看護師さんですら感染する位なのに…免疫力の無い私だったらひとたまりもないわよねぇ?」
この…ウィルスによる感染の所為で、私の死後…身体は家族の元に変える事が出来ず、家族と会う事も許されずに火葬場に行き、私の身体は灰となりました。
これは、感染した方々は皆同じ対応をされたそうです。
私は、私の遺影を見ながら泣いて悲しんでいる家族の姿を見取ってから、私は天に引っ張られる様にこの世を去りました。
どうか…来世では、贅沢を言いませんので、まともな身体で生活を送れます様に。
私はそんな事を願いながら、深い眠りに………「………さい。」、「……なさい。」
「ん?」
「………なさい!」
私は、誰からかの声で目を開けました。
転生したにしては、随分早いですね?
……と思ったのですが、どうやら違うみたいです。
「やっと目を覚ましましたか、芹亜…」
「あれ、私は……?」
私は目を開けると、雲の上にいて…目の前には、以前に図鑑で見たパルテノン神殿の様な荘厳な佇まいの建物がありました。
その中には、沢山の人達が慌ただしく動いていました。
そして、その中の1人である…金髪のソバージュで碧眼の少女がおりました。
年齢的には、同じ歳くらいかなぁ?
「うふふ…嬉しい事を言ってくれているけど、実際の年齢は…貴女よりもずっと上よ。」
「………という事は、もしかして神様ですか?」
「もしかしなくても、神様です。 改めまして…私は管理神統括の女神リーチェと申します………と紹介をしてみましたが、芹亜…貴女は随分と冷静に対処をするのですね? 普通の人間はこの場所では、酷く取り乱すというのに…」
「あ~~~………私は、身体が非常に弱くて、いつ死んでもおかしく無いと小さい頃から言われて来ましたので、常に覚悟をしていたのです。 なので、今更取り乱すという事は…」
私に面等向かって、いつ死んでもおかしく無いと言っていたのは…意地の悪い、叔母さんとその息子かな。
母の姉なんだけど、結構仲が悪くて…「あの子に保険金を掛ければ、どうせ長くは生きられないんだから、あ…私もお金を少し出すから、あの子が死んだら分前を寄越しなさいよ!」と、私の目の前で話すとんでもない人だった。
そんな感じなので、その息子も性格は終わっていて…私を見る度に「ガリガリ!」とか、「それでも女か?」と、酷い言葉を浴びさせられました。
「酷い人間たちねぇ…」
「あれ? 記憶の中で思い出していたのに…」
「私達…神はね、相手の考えている事や記憶を覗くことが出来るの。 なので、芹亜が考えるだけで会話は可能なのよ。」
…だからか、神殿内には沢山の人々…いえ、恐らく神様達でしょうね。
その神様達が、一切言葉を発しないのは…?
「………そういえば、リーチェ様……私はどうしてこの場に?」
「えーっと………思ったよりも聞くのが遅かったわね? ここに来た人の中では、真っ先にその質問を投げかけて来る子が多かったんだけど。」
「そうだったのですねぇ? 私の身体は、いつ死んでもおかしくは無い……とは思っていても、まさか本当に死んだという実感が湧かなくて…お医者様からは、個人差があるが…人は死ぬ時に、物凄く苦しんで死ぬ場合と、眠る様に死ぬ場合があると言われていたので。 それが思ったよりも苦しまなかったので、死んだという実感がまだ湧かなくて…」
まぁ、ネットドラマの演出なのかも知れないけど…?
病院のベッドでこれから死ぬという人達が、凄まじい断末魔を上げて死んだり、口から大量の血を吐いて死んだりしている姿を見ると、絶対に楽な死に方では無いよね?
…と思えてしょうがないのです。
まぁ、死ぬという演技の演出をするには、とにかく派手な演出が必要なのでしょうけど?
私は、あの演技を見ていると…?
死ぬ時は、どうか安らかに死ねます様に…と、願わずにはいられなかった。
「雲の上の神殿に、心を読む神を目の前にしても?」
「…あ、そう言われると実感が湧きました。」
「うんうん………でね、芹亜には…私が管理する世界に行って欲しいと思っているのよ。」
「リーチェ様が管理する世界…という事は、地球では無いのですよね?」
「えぇ、そうね。 私が管理する世界は、地球と非常に良く似た世界で…その世界に行くには、私達が許可した場合でしか赴けない様になっているの。」
「………という事は、異世界転生になるのかな?」
ファンタジー小説とかにある、今流行りの異世界転生物!
まさか、私が体験するとは思わなかったわ。
「ごめん、芹亜…正確に言うと、異世界転生では無いの。」
「なら、異世界転移ですか?」
「まぁ…転移と言えば転移なんだけど。」
…何だろう、物凄く歯切れの悪い回答だわ。
異世界転生ではなく、かと言って…異世界転移という訳でも無い?
「芹亜は、転身という言葉は聞いた事がある?」
「転身……?」
転生は、生まれ変わって人生を謳歌する物。
転移は、今のままの姿で異世界に渡る事……なんだけど、物語によっては、何かのギフトを授けられると聞いたけど、転身というのは聞いた事がないなぁ?
「転身というにはね、基本的には転移とあまり変わりはないんだけど…芹亜の身体では、異世界を生き抜くには、非常に脆い身体なのよ。 なので、転身という…見た目の姿は同じだけど、身体の中を…簡単にいうと変身ね。 変身をさせて、肉体を一般人レベルに変化をさせてから、異世界で暮らして欲しいと思っているのよ。」
「なるほど、転身とはそういう意味でしたか。」
転身とは良く言ったものですね。
確かに、私の貧弱な身体では…異世界を生き抜くには、相当辛いでしょうね。
なんせ、一般の女性と比べても…かなりな虚弱体質ですからねぇ。
ただ、転身…という技術を用いても、私の身体は異世界で生き抜いていけるのでしょうか?
「勿論、芹亜には転身による身体強化以外に、幾つかのギフトを与えようと思っているの。」
「ギフト? チート的な要素の…」
「あ、爆発系の魔法で無双をする…という物ではないわ。 芹亜には、異世界で…100種類の物を生み出して欲しいのよ。」
「生み出す………ですか? そうなると、私のギフトは錬金術とかになるのかな?」
まぁ、私の様な虚弱体質が魔王を討伐する…なんていう任務を与えられる訳では無いので、爆発系の魔法で無双…という事はないでしょう。
だとすると…生み出すとなると、クラフト技術関連になるのかな?
でも、私は生まれてこのかた…工具類とかは、一切持った事がない。
ちょっと引っ掛けただけで血が止まらなくなるからなぁ、工具類は一切持たせてはくれなかった。
「芹亜が望むなら、別に錬金術でも良いけどね。」
「私が望むなら…って、リーチェ様、ギフトは幾つ下さるのですか?」
「多くを渡しても良い…と思ったのですが、芹亜のキャパシティ上の問題で…始めに渡せるのは三つとなっているの。 それから物作りを少しずつやって行って、レベルを上がる毎に増やして行っても良いと思っているの。 レベルが上がれば、芹亜のキャパシティも増える様になるシステムだからね。」
初めは三つかぁ?
異世界小説物で取得出来る数が有限の場合の定番と言えば、鑑定魔法・収納魔法・生活魔法になるんだけど、三つと決まっているという事は、仮に生活魔法を選んでも…複数の種類が一度に貰えるとは思えないね?
…となると、最初に貰えるギフトは何が良いんだろう。
私は自分の手を見た。
転身という事により、自分の身体は生まれ変わる程の肉体を得るという話だけど、それはどこまで何だろう?
アマゾネスみたいな、屈強な女戦士並み…とは、どう見ても考え難い。
だとすると…?
「リーチェ様、決まりました。 三つのギフトの始めは、回復魔法と浄化魔法と清掃魔法にして欲しいです。」
「物を創り出す…錬金術が無い理由は?」
「レベルが上がれば、いずれ取得する…というのであれば、最初から欲しいとは思いません。 確かに、やれる事は数多くの事が出来るでしょう…が、物によっては、危険な物を入手しなければならないという事になると、今の私には荷が重いかと思うのです。」
「ふむふむ………で、この3種類の魔法を最初のギフトに選んだ理由は?」
「転身により、私の身体は強化される…とは言っても、どの程度の強化なのかがわかりません。 小説とかでの知識で大変申し訳ないのですが、レベル1の身体能力では…大して身体が強いとは思えませんので。」
「それで、この魔法を………あ、そういう事ですか。」
リーチェ様は、私の考えている事を見抜いたみたいですね。
私の身体に強化を施したとは言っても、身体能力が低い内は怪我が付き物の筈。
回復魔法は、怪我をした時の治療として。
浄化魔法は、怪我の時の消毒の役目や…食べ物関連の為に…というのも、私はちょっとした賞味期限が切れた古い物でも、嘔吐を繰り返したからなぁ。
そして清掃魔法は、掃除…みたいな物ですね。
異世界の舞台が中世辺りだと、何処に送り出されるかは分かりませんが、部屋内も清潔…とは無縁そうですし、下水道がないかも知れませんからねぇ?
「あ、その心配はありませんよ。 下水道の処理には、スライムを使って処理を行なっております。」
「スライム…ですか?」
「まぁ、地球と同等に綺麗か…と言われたら、そこまで完璧ではありませんね。 スライム浄化をするとしないとでは、全く異なりますからねぇ。」
「舞台が中世の時代だと、都会的な場所は下水道は完備されていても…田舎の様な場所では?」
「まぁ、そこは…」
やはり、田舎は都会程に整備はされていなさそうですね?
だとしますと、鑑定魔法や収納魔法よりも…私が発言した三種類の魔法が正解だったみたいですね。
ただ、この三種類に関しても聞いてみないと…?
「リーチェ様、これらの三種類の魔法ですが…いえ、例えば回復魔法ですが…物に作用とかしたり出来ますか?」
私はそう発言をしてから、頭の中で想像をしてみた。
この発想は、言葉で説明するよりも簡単に伝わると思ったからだった。
「う~ん………物にもよりますけど、作用する事は可能です。 ただ、芹亜は面白い事を考えますね?」
「物を生み出すと聞いて、私に何が出来るかと考えてみた所…薬品を生み出すという道が早い気がしましたので。 それに薬品以外にも、化粧品等も有効では無いかと思ったのです。」
転送先の舞台が中世の時代だと、女性に使われている化粧品は、水銀を使用した白粉が主に使われていると本に書いてあった。
他にも…肌を白く見せるのに、血を抜く瀉血という方法を取っていたとか…水銀にしても、瀉血にしても、どちらも命を縮めるという行為には違いない。
「ポーションですか…? この世界の薬品に関しては、薬草をそのまま使用をしたり…細かく刻んで他と混ぜ合わせて使用していますので、水の様なポーションという薬は画期的でしょうね。」
やはり…中世の時代と代わりのない異世界には、ポーションの類は無かったか。
地球の技術でも、固形物の薬品から液体に変わったのは、江戸時代の後期と言われていますからねぇ?
「さて、芹亜。 次に貴女の拠点先ですが…」
「私の拠点先には、都会からかなり離れた………ど田舎でお願いします。」
「田舎を選んだその根拠は?」
「リーチェ様の仰られた異世界の話を考えますと、物を生み出す…その場所が、王国や都会の近辺だと、真っ先に貴族に目を付けられると思うのです。 でしたら、情報の伝達があまり広まらない田舎を選んだのです。」
…と、説明をしましたが…?
小説でよくあるスローライフでは、街から離れたど田舎と定番みたいですからね。
あ、そうだ…これだけはリーチェ様に聞いておかないと…?
「リーチェ様、先程の話を纏めていましたら思ったのですが…もしかして、この世界では魔法は珍しい物とかでは無いですか?」
「⁉︎………よく分かりましたね。 この異世界では、魔法を使える者は稀有とされております。 王族や上位貴族の者であれば、その権力で護られますが…下位貴族の者や平民がこの力がバレてしまうと、貴族に売り飛ばされて飼い慣らされるという事もありますね。 この辺は残念な事ですが、管理者とはいえ…そこまで手を出す訳にはいかないのです。」
この話には、リーチェ様との会話で何となく確信していました。
リーチェ様から与えられるギフトに関して、錬金術の話を許可されても、魔法の話が一切出て来なかったからです。
…と考えれば、この異世界では魔法を使うには、相当のリスクを覚悟しなければならないと思ったのです。
だとすると私の目指す事といえば、人前では魔法は極力使用せずに、物を生み出す事に精を出す事。
まだか、前世で暇つぶしに読んでいた薬草学の知識が、異世界で役に立つ事になるとはねぇ?
「とりあえず100とは命じましたが、別に100以上の物を生み出しても構いませんよ。」
「私が前世で読んでいた薬草学の知識では、薬の開発以外に…化粧品や酒類なんかもありましたので、とりあえず…やってみない事には始まりませんが、100以上の物が作れるかも知れませんねぇ?」
まぁ、やってみない事には始まりませんね?
あの医学書の知識では、数百種類の物を作り出せるかも知れませんしね。
まぁ、全てが形になるとは限りませんが。
「では、芹亜…貴女を異世界セヴンスガルドに送り込むとします。 芹亜がこれから向かう異世界には、古の時代に…世界を滅ぼそうとする邪神を討伐する為に、地球から召喚された者達がおりました。 現在では邪神といった悪しき者はおりませんし、地球からの召喚者もおりません…が、召喚者の子孫はいるかも知れませんね。」
私は、これから送られる異世界セヴンスガルドの詳細が書かれている本を捲ってみた。
本はかなりの分厚さで、異世界に降り立った時に、右も左も分からない私にとっては良い参考書になるでしょう。
「それと芹亜には、ナビゲーターをお付けします。 ナビゲーターには、セヴンスガルドに関する知識が詰め込まれていますので…起動や設定云々は、異世界に降り立ってからお願いしますね。」
ナビゲーター………はたから見ると、銀色の球体にしか見えないんだけど?
これから向かう異世界の知識が詰め込まれているのなら、鑑定魔法の代わりとかになるかな?
「では、芹亜………いえ、セリア。 成すべき事を成し遂げた暁には、もう一度…再び会える事を楽しみにしております。」
こうして、私は異世界セヴンスガルドの山奥のど田舎に降り立ったのだった。
………なんだけど、こういう場合って…家が用意されていたりはしないんだね?
リーチェ様が管理する世界なんだから…と思いましたが、管理をしている=好き勝手に出来るわけではありませんものね?
そうなると…まずは、家をなんとかしないといけませんね。
私は周囲を見渡すと、自分の居る場所から少し降った所に無数の建物を発見した。
「さて、これから頑張るとしますか!」
こうして、私…セリアの物語が始まります。
私…セリアは、本日…私が経営している雑貨店のお店の前で…常連客のロバートから告白をされました。
私はロバートに対して、深々とお辞儀をして丁重にお断りを告げました。
するとロバートは、肩を落として、泣きながらその場を走り去って行きました。
ロバートは、良くお店を訪ねてくる常連さんの1人で、年齢も近く…気さくに会話を出来る方です。
ですが、私はロバートの事は、仲の良い友達としか思ってはおらず…特別な感情を抱いた事はありませんでした。
…というよりも、そもそも…恋愛について、全くと言って良いほどに知識はありません。
何故にそんな事になっているか…は、転身する前の世界での話をした方が良いですね。
~~~~~転身前の世界:日本~~~~~
享年15歳。
私…笹薙 芹亜は、長きにわたる闘病生活により、この世を去る事になりました。
病名は、凄く長ったらしい病名ですが、ざっくり言うと重症感染症と言う部類に入る物らしいです。
私は生まれつき身体が弱く、ちょっとした事でウィルスを移されて、昏睡状態に陥ったり…皮膚が物凄く薄くて、ちょっとぶつけただけで簡単に出血をしたりします。
その為に、殆どが寝たきりの生活を強制されていて、学校にも行けずに友達も居ない。
院内を歩き回る事ですら、看護師の付き添いで車椅子移動という感じでした。
そんな私ですが、日々の暇つぶしと言えば…姉や妹に差し入れしてくれるタブレットでの動画鑑賞や、小説やコミックス鑑賞…それ以外と言えば、病院内の図書室から借りられる医学書という感じでした。
「学校の勉強ですか? 勿論、終わらせた後にですよ。」
生まれ付き…こんな身体で生まれてしまった私には、病院以外での生活が分かりません。
家には姉と妹と同じ様に部屋が与えられているそうですが、私は家に帰った事が無い為に確認のしようがありません。
学校も同じで、病院のベッドの上でタブレットによるオンライン授業を受けていました。
受けたところで、世に出る事が出来るか分からない私にとっては、意味がある事かどうかは分かりません。
でも、最低限の知識や知識を身に付ける…という意味では、これらの勉学は役に立つ事かもしれません。
知識が広がれば、読める字や意味も分かりますからね。
…と、かっこいい事を言っておりますが、実は…そういった事をしていないと暇なのです。
私の移動範囲は極端に短いです。
主にベッドの上での生活で完結しており、近くにある棚や机から物を取るときに上半身を起こす…位しかありません。
その為に、身体が疲労するという事があまりなくて、眠気が来る事があまりありません。
そういった時の時間の潰し方としては、勉強や読書は大変有効なのです。
「まぁ、最初に医学書を読んだ所でちんぷんかんぷんでしたけど…」
私が医学書で読んでいた項目は、主に薬学に関する物でした。
だって、手術内容や手順を読んだ所で、私が執刀なんて出来るわけではないので意味が無いです。
人体設計図…なんて物は、生まれてから嫌というほどに見て来ました。
私の身体の状態や構造を、担当医に暗記出来るくらいに覚えさせられましたから。
そこで、医学書のどの項目なら面白く読む事ができるか?
そう考えてから、薬品や薬学についての項目に目が行きました。
何でそんな所に興味を持ったか?
それは、もしかしたら、私の身体を改善する薬があるかも知れない…と思ったからでした。
ううん、そんな物は存在しないことくらい分かりきっています。
私よりも長く時間を費やして、医学に携わる為に勉強をして来た方々ですら、未だにその解決法の糸口すら掴めていないのに、その半分の時間すら費やせていない小娘の私が調べた所で、解決策なんか見つかる筈がありません。
「ファンタジーの世界に存在する、万能薬と言われるエリクサーとかだったら、私の病も完治出来るのかなぁ?」
な~んて、実際にそんな薬があったとしても、私に配分される可能性は億が一にもありませんよね。
全ての人類に行き渡る程の薬の数があるとかなら可能性はありますが、希少で品数が無い薬なんて、権力者や裕福な人の手に渡ってしまい、庶民である私の手に届く事はないはずですから。
無駄かも知れませんが、薬学は暇を潰すのには持って来いな勉強になりました。
それから数日間は、暇を持て余す事はなかったのですが…?
その日…世界にとんでもない感染症が猛威を振るいました。
その病名は、「コビット19」…俗にいう、新型コ○ナウィルスという物でした。
病院内では、厳戒態勢が発動し…防護服などに身を包んだ医師や看護師が対処に当たっていました。
私のいる病室も、感染症を防ぐ為に作られた無菌室だったのですが…
そんな完全防備されている無菌室ですら、何処からか人にくっついて来た所為で私に感染し…そこで私は短過ぎる生涯の幕を閉じたのでした。
「防護服に身を包むんで、消毒を徹底している看護師さんですら感染する位なのに…免疫力の無い私だったらひとたまりもないわよねぇ?」
この…ウィルスによる感染の所為で、私の死後…身体は家族の元に変える事が出来ず、家族と会う事も許されずに火葬場に行き、私の身体は灰となりました。
これは、感染した方々は皆同じ対応をされたそうです。
私は、私の遺影を見ながら泣いて悲しんでいる家族の姿を見取ってから、私は天に引っ張られる様にこの世を去りました。
どうか…来世では、贅沢を言いませんので、まともな身体で生活を送れます様に。
私はそんな事を願いながら、深い眠りに………「………さい。」、「……なさい。」
「ん?」
「………なさい!」
私は、誰からかの声で目を開けました。
転生したにしては、随分早いですね?
……と思ったのですが、どうやら違うみたいです。
「やっと目を覚ましましたか、芹亜…」
「あれ、私は……?」
私は目を開けると、雲の上にいて…目の前には、以前に図鑑で見たパルテノン神殿の様な荘厳な佇まいの建物がありました。
その中には、沢山の人達が慌ただしく動いていました。
そして、その中の1人である…金髪のソバージュで碧眼の少女がおりました。
年齢的には、同じ歳くらいかなぁ?
「うふふ…嬉しい事を言ってくれているけど、実際の年齢は…貴女よりもずっと上よ。」
「………という事は、もしかして神様ですか?」
「もしかしなくても、神様です。 改めまして…私は管理神統括の女神リーチェと申します………と紹介をしてみましたが、芹亜…貴女は随分と冷静に対処をするのですね? 普通の人間はこの場所では、酷く取り乱すというのに…」
「あ~~~………私は、身体が非常に弱くて、いつ死んでもおかしく無いと小さい頃から言われて来ましたので、常に覚悟をしていたのです。 なので、今更取り乱すという事は…」
私に面等向かって、いつ死んでもおかしく無いと言っていたのは…意地の悪い、叔母さんとその息子かな。
母の姉なんだけど、結構仲が悪くて…「あの子に保険金を掛ければ、どうせ長くは生きられないんだから、あ…私もお金を少し出すから、あの子が死んだら分前を寄越しなさいよ!」と、私の目の前で話すとんでもない人だった。
そんな感じなので、その息子も性格は終わっていて…私を見る度に「ガリガリ!」とか、「それでも女か?」と、酷い言葉を浴びさせられました。
「酷い人間たちねぇ…」
「あれ? 記憶の中で思い出していたのに…」
「私達…神はね、相手の考えている事や記憶を覗くことが出来るの。 なので、芹亜が考えるだけで会話は可能なのよ。」
…だからか、神殿内には沢山の人々…いえ、恐らく神様達でしょうね。
その神様達が、一切言葉を発しないのは…?
「………そういえば、リーチェ様……私はどうしてこの場に?」
「えーっと………思ったよりも聞くのが遅かったわね? ここに来た人の中では、真っ先にその質問を投げかけて来る子が多かったんだけど。」
「そうだったのですねぇ? 私の身体は、いつ死んでもおかしくは無い……とは思っていても、まさか本当に死んだという実感が湧かなくて…お医者様からは、個人差があるが…人は死ぬ時に、物凄く苦しんで死ぬ場合と、眠る様に死ぬ場合があると言われていたので。 それが思ったよりも苦しまなかったので、死んだという実感がまだ湧かなくて…」
まぁ、ネットドラマの演出なのかも知れないけど…?
病院のベッドでこれから死ぬという人達が、凄まじい断末魔を上げて死んだり、口から大量の血を吐いて死んだりしている姿を見ると、絶対に楽な死に方では無いよね?
…と思えてしょうがないのです。
まぁ、死ぬという演技の演出をするには、とにかく派手な演出が必要なのでしょうけど?
私は、あの演技を見ていると…?
死ぬ時は、どうか安らかに死ねます様に…と、願わずにはいられなかった。
「雲の上の神殿に、心を読む神を目の前にしても?」
「…あ、そう言われると実感が湧きました。」
「うんうん………でね、芹亜には…私が管理する世界に行って欲しいと思っているのよ。」
「リーチェ様が管理する世界…という事は、地球では無いのですよね?」
「えぇ、そうね。 私が管理する世界は、地球と非常に良く似た世界で…その世界に行くには、私達が許可した場合でしか赴けない様になっているの。」
「………という事は、異世界転生になるのかな?」
ファンタジー小説とかにある、今流行りの異世界転生物!
まさか、私が体験するとは思わなかったわ。
「ごめん、芹亜…正確に言うと、異世界転生では無いの。」
「なら、異世界転移ですか?」
「まぁ…転移と言えば転移なんだけど。」
…何だろう、物凄く歯切れの悪い回答だわ。
異世界転生ではなく、かと言って…異世界転移という訳でも無い?
「芹亜は、転身という言葉は聞いた事がある?」
「転身……?」
転生は、生まれ変わって人生を謳歌する物。
転移は、今のままの姿で異世界に渡る事……なんだけど、物語によっては、何かのギフトを授けられると聞いたけど、転身というのは聞いた事がないなぁ?
「転身というにはね、基本的には転移とあまり変わりはないんだけど…芹亜の身体では、異世界を生き抜くには、非常に脆い身体なのよ。 なので、転身という…見た目の姿は同じだけど、身体の中を…簡単にいうと変身ね。 変身をさせて、肉体を一般人レベルに変化をさせてから、異世界で暮らして欲しいと思っているのよ。」
「なるほど、転身とはそういう意味でしたか。」
転身とは良く言ったものですね。
確かに、私の貧弱な身体では…異世界を生き抜くには、相当辛いでしょうね。
なんせ、一般の女性と比べても…かなりな虚弱体質ですからねぇ。
ただ、転身…という技術を用いても、私の身体は異世界で生き抜いていけるのでしょうか?
「勿論、芹亜には転身による身体強化以外に、幾つかのギフトを与えようと思っているの。」
「ギフト? チート的な要素の…」
「あ、爆発系の魔法で無双をする…という物ではないわ。 芹亜には、異世界で…100種類の物を生み出して欲しいのよ。」
「生み出す………ですか? そうなると、私のギフトは錬金術とかになるのかな?」
まぁ、私の様な虚弱体質が魔王を討伐する…なんていう任務を与えられる訳では無いので、爆発系の魔法で無双…という事はないでしょう。
だとすると…生み出すとなると、クラフト技術関連になるのかな?
でも、私は生まれてこのかた…工具類とかは、一切持った事がない。
ちょっと引っ掛けただけで血が止まらなくなるからなぁ、工具類は一切持たせてはくれなかった。
「芹亜が望むなら、別に錬金術でも良いけどね。」
「私が望むなら…って、リーチェ様、ギフトは幾つ下さるのですか?」
「多くを渡しても良い…と思ったのですが、芹亜のキャパシティ上の問題で…始めに渡せるのは三つとなっているの。 それから物作りを少しずつやって行って、レベルを上がる毎に増やして行っても良いと思っているの。 レベルが上がれば、芹亜のキャパシティも増える様になるシステムだからね。」
初めは三つかぁ?
異世界小説物で取得出来る数が有限の場合の定番と言えば、鑑定魔法・収納魔法・生活魔法になるんだけど、三つと決まっているという事は、仮に生活魔法を選んでも…複数の種類が一度に貰えるとは思えないね?
…となると、最初に貰えるギフトは何が良いんだろう。
私は自分の手を見た。
転身という事により、自分の身体は生まれ変わる程の肉体を得るという話だけど、それはどこまで何だろう?
アマゾネスみたいな、屈強な女戦士並み…とは、どう見ても考え難い。
だとすると…?
「リーチェ様、決まりました。 三つのギフトの始めは、回復魔法と浄化魔法と清掃魔法にして欲しいです。」
「物を創り出す…錬金術が無い理由は?」
「レベルが上がれば、いずれ取得する…というのであれば、最初から欲しいとは思いません。 確かに、やれる事は数多くの事が出来るでしょう…が、物によっては、危険な物を入手しなければならないという事になると、今の私には荷が重いかと思うのです。」
「ふむふむ………で、この3種類の魔法を最初のギフトに選んだ理由は?」
「転身により、私の身体は強化される…とは言っても、どの程度の強化なのかがわかりません。 小説とかでの知識で大変申し訳ないのですが、レベル1の身体能力では…大して身体が強いとは思えませんので。」
「それで、この魔法を………あ、そういう事ですか。」
リーチェ様は、私の考えている事を見抜いたみたいですね。
私の身体に強化を施したとは言っても、身体能力が低い内は怪我が付き物の筈。
回復魔法は、怪我をした時の治療として。
浄化魔法は、怪我の時の消毒の役目や…食べ物関連の為に…というのも、私はちょっとした賞味期限が切れた古い物でも、嘔吐を繰り返したからなぁ。
そして清掃魔法は、掃除…みたいな物ですね。
異世界の舞台が中世辺りだと、何処に送り出されるかは分かりませんが、部屋内も清潔…とは無縁そうですし、下水道がないかも知れませんからねぇ?
「あ、その心配はありませんよ。 下水道の処理には、スライムを使って処理を行なっております。」
「スライム…ですか?」
「まぁ、地球と同等に綺麗か…と言われたら、そこまで完璧ではありませんね。 スライム浄化をするとしないとでは、全く異なりますからねぇ。」
「舞台が中世の時代だと、都会的な場所は下水道は完備されていても…田舎の様な場所では?」
「まぁ、そこは…」
やはり、田舎は都会程に整備はされていなさそうですね?
だとしますと、鑑定魔法や収納魔法よりも…私が発言した三種類の魔法が正解だったみたいですね。
ただ、この三種類に関しても聞いてみないと…?
「リーチェ様、これらの三種類の魔法ですが…いえ、例えば回復魔法ですが…物に作用とかしたり出来ますか?」
私はそう発言をしてから、頭の中で想像をしてみた。
この発想は、言葉で説明するよりも簡単に伝わると思ったからだった。
「う~ん………物にもよりますけど、作用する事は可能です。 ただ、芹亜は面白い事を考えますね?」
「物を生み出すと聞いて、私に何が出来るかと考えてみた所…薬品を生み出すという道が早い気がしましたので。 それに薬品以外にも、化粧品等も有効では無いかと思ったのです。」
転送先の舞台が中世の時代だと、女性に使われている化粧品は、水銀を使用した白粉が主に使われていると本に書いてあった。
他にも…肌を白く見せるのに、血を抜く瀉血という方法を取っていたとか…水銀にしても、瀉血にしても、どちらも命を縮めるという行為には違いない。
「ポーションですか…? この世界の薬品に関しては、薬草をそのまま使用をしたり…細かく刻んで他と混ぜ合わせて使用していますので、水の様なポーションという薬は画期的でしょうね。」
やはり…中世の時代と代わりのない異世界には、ポーションの類は無かったか。
地球の技術でも、固形物の薬品から液体に変わったのは、江戸時代の後期と言われていますからねぇ?
「さて、芹亜。 次に貴女の拠点先ですが…」
「私の拠点先には、都会からかなり離れた………ど田舎でお願いします。」
「田舎を選んだその根拠は?」
「リーチェ様の仰られた異世界の話を考えますと、物を生み出す…その場所が、王国や都会の近辺だと、真っ先に貴族に目を付けられると思うのです。 でしたら、情報の伝達があまり広まらない田舎を選んだのです。」
…と、説明をしましたが…?
小説でよくあるスローライフでは、街から離れたど田舎と定番みたいですからね。
あ、そうだ…これだけはリーチェ様に聞いておかないと…?
「リーチェ様、先程の話を纏めていましたら思ったのですが…もしかして、この世界では魔法は珍しい物とかでは無いですか?」
「⁉︎………よく分かりましたね。 この異世界では、魔法を使える者は稀有とされております。 王族や上位貴族の者であれば、その権力で護られますが…下位貴族の者や平民がこの力がバレてしまうと、貴族に売り飛ばされて飼い慣らされるという事もありますね。 この辺は残念な事ですが、管理者とはいえ…そこまで手を出す訳にはいかないのです。」
この話には、リーチェ様との会話で何となく確信していました。
リーチェ様から与えられるギフトに関して、錬金術の話を許可されても、魔法の話が一切出て来なかったからです。
…と考えれば、この異世界では魔法を使うには、相当のリスクを覚悟しなければならないと思ったのです。
だとすると私の目指す事といえば、人前では魔法は極力使用せずに、物を生み出す事に精を出す事。
まだか、前世で暇つぶしに読んでいた薬草学の知識が、異世界で役に立つ事になるとはねぇ?
「とりあえず100とは命じましたが、別に100以上の物を生み出しても構いませんよ。」
「私が前世で読んでいた薬草学の知識では、薬の開発以外に…化粧品や酒類なんかもありましたので、とりあえず…やってみない事には始まりませんが、100以上の物が作れるかも知れませんねぇ?」
まぁ、やってみない事には始まりませんね?
あの医学書の知識では、数百種類の物を作り出せるかも知れませんしね。
まぁ、全てが形になるとは限りませんが。
「では、芹亜…貴女を異世界セヴンスガルドに送り込むとします。 芹亜がこれから向かう異世界には、古の時代に…世界を滅ぼそうとする邪神を討伐する為に、地球から召喚された者達がおりました。 現在では邪神といった悪しき者はおりませんし、地球からの召喚者もおりません…が、召喚者の子孫はいるかも知れませんね。」
私は、これから送られる異世界セヴンスガルドの詳細が書かれている本を捲ってみた。
本はかなりの分厚さで、異世界に降り立った時に、右も左も分からない私にとっては良い参考書になるでしょう。
「それと芹亜には、ナビゲーターをお付けします。 ナビゲーターには、セヴンスガルドに関する知識が詰め込まれていますので…起動や設定云々は、異世界に降り立ってからお願いしますね。」
ナビゲーター………はたから見ると、銀色の球体にしか見えないんだけど?
これから向かう異世界の知識が詰め込まれているのなら、鑑定魔法の代わりとかになるかな?
「では、芹亜………いえ、セリア。 成すべき事を成し遂げた暁には、もう一度…再び会える事を楽しみにしております。」
こうして、私は異世界セヴンスガルドの山奥のど田舎に降り立ったのだった。
………なんだけど、こういう場合って…家が用意されていたりはしないんだね?
リーチェ様が管理する世界なんだから…と思いましたが、管理をしている=好き勝手に出来るわけではありませんものね?
そうなると…まずは、家をなんとかしないといけませんね。
私は周囲を見渡すと、自分の居る場所から少し降った所に無数の建物を発見した。
「さて、これから頑張るとしますか!」
こうして、私…セリアの物語が始まります。
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