奇跡の少女セリア〜私は別に特別ではありませんよ〜

アノマロカリス

文字の大きさ
2 / 24
第一章 生活の予行練習の章

第一話 セリアがんばる!

しおりを挟む
 ファークラウド大陸・クラウディア王国より北西にある、ティランディス山の奥地にある村…アリカ。
 そのアリカに降り立った少女…セリアは、村人を見て固まっていた。

 《どうやって声をかけたら良いのかなぁ?》

 セリアは、別に人見知りという訳ではありません。
 ただ、見ず知らずの人との会話が緊張するのです。
 セリアの前世では、病院内に入院していたセリアは、医師や看護師、たまに見舞いに来る家族位しか顔を合わせてはおりませんでした。
 たまに来る偉い医者に関しては、その見た目の厳つさから目を逸らし、会話をせずに居ました。
 そんなセリアが、初めて出会う人物に対して消極的になるのは無理もありません。
 それに…村人の全員が人間という訳ではありませんから。

 このファークラウド大陸には、人間以外に多種多様な種族が暮らしております。
 現在のクラウディア王国の国王陛下は人間族ですが、その2代前は異種族が国を納めておりました。
 このファークラウド大陸には、他の大陸に比べ…様々ない種族が暮らしております。
 狼牙族や猫人族などの獣人族や、エルフやドワーフなどの妖精族…でもまぁ、この二種族だけだったなら他の大陸でもあまり珍しくはないのですが、ファークラウド大陸には大体積種という種族が存在しており…巨人族やラミア族といった、ある意味…異形種といった種族も存在します。
 この様にファークラウド大陸の王族は、人間族に変わる前は…巨神族という翼の生えた巨人族が国を納めていました。
 最も神に近く、自らをどの種族よりも上位な存在…という傲慢な面がありました。
 まぁ、そんな傲慢な種族が国を上手く回せられる訳もなく…種族間の抗争により、巨神族は排除されて、最も中立的な思想を持つ人間族が国を納めることになりました。
 それが今から128年前のことです。

 「えーっと………向こうから話し掛けてくれないかなぁ? 明らかにこの村にいる人の言語が聞いた事がない言葉だし…」

 リーチェ様からのギフト譲渡の中に、言語翻訳とかは無かったのかな?
 普通は、異世界人が異世界に渡る際には…異世界でも普通に会話が出来るようになっているはずなんだけど?
 …なんて感じで悩んでいると、リスの様な大きな尻尾を持つ優しそうな御婦人から声を掛けられた。

 「あんれまぁ~お嬢さんは、ここいらでは余し見た事ないね~? どがあさとこからおいでなすったぁ~ねぇ?」

 …言語に関しては、問題は無かったみたいです。
 村人同士の会話は訛りが強くて、言葉が分からないという問題だったみたいです。
 このリスの様な大きな尻尾を持つ優しそうなお婆さんは、態々言い直してくれたみたいですね。
 まぁ…地球でも、場所によっては方言を使われている地域があるし、異世界でしかも山奥の田舎なら…方言や訛りは普通にあるよね?
 …というか、標準語がこの言葉とかじゃないよね?
 まぁ、長く生活をしていれば…方言も自分の中では標準語になるかも知れないし、大丈夫かな?

 「実は、家族が流行病で亡くなってしまい…私は親戚がいるこの村に…と思いまして。」

 …しまった、咄嗟に吐いた嘘でトンデモない事を口走ってしまった。
 親戚………親戚………あぁ、咄嗟に吐いた嘘のお陰で、適当な名前が浮かんでこない。

 「一体誰だろうねぇ? この村には、そんな可愛らしい人間族のお嬢さんを身内に……」
 「あ、セツという祖母なのですが…」

 私のいた日本の年配の方の名前では、女性の名前は二文字の人が多かったという話だった。
 なので、それらしき名前を適当に言ってみたんだけど…?
 考えてみれば、ここは日本じゃないしなぁ、運良く同じ名前の人が……いるかなぁ?

 「あんれ~まぁ、お嬢さんはセツさんのお孫さんだったのかぇ~? だども~セツさんさぁ、一昨年に亡くなられたでよぉ~。」
 「そ、そんなぁ…」

 …と、悲しんだフリをする。
 まさか、適当に言った名前の人がいるとは思わなかった。
 これが別の名前の人だったら、その名前に近い人の名前を言って近付けようと思っていたんだけど。

 「あ、あの……セツの、祖母の住んでいた家は、まだありますか?」

 流石に無いかなぁ、だって一昨年でしょ?
 死んだ人の家を2年も放置しておくかなぁ?

 「セツさんの家ならまだあるぞ。 セツさんの家さ、古くなって建て替えたばかりなのに、すぐに逝ってしまったからなぁ。」
 「その家を案内して頂けませんか?」

 やった~~~!
 家がまだあった~~~‼︎
 ………だけど大丈夫かなぁ、その家……?
 何て心配をしていたんだけど、建て替えてから2年放置されていた割に、若干…見た目は悪かったけど、掃除をすれば問題が無い程度だった。
 だけど、それよりも問題は…1人暮らしの老人の住まいにしては、家が少し広すぎるという点だった。
 家の作りはログハウス型で、平屋だけどかなり広い作りになっている。
 異世界の老人の家は、この位の広さが普通なのかな?

 「セツさんの家は、雑貨屋を営んでいたんで~普通の住まいよか、若干大きくなってたんよ~。」
 
 リーチェ様の要望としては、100以上の物を作り出して世に広めて欲しいという話だったので、その為の生活としては…何か店を開いて生計を立てようかと思っていた。
 なので…雑貨屋という話と家の広さは、条件に合うと思ったのです。
 …そもそも、リーチェ様からはスキルは与えられましたが、金銭については何も受け取ってませんしねぇ?

 「雑貨屋ですか、では私が…祖母の家と雑貨屋を引き継ぎますね。 色々と準備が必要なので、オープンはかなり先になりますが…」
 「あんれまぁ~、セツさんの雑貨屋さんが復活かぇ?」
 「それはありがてぇなぁ!」

 ………うっ、なんかプレッシャーを感じた。
 だ、だ、だ、大丈夫だよねぇ?
 ちゃんと、お店って………オープン出来るよねぇ?
 その前に…私は両手を合わせてお辞儀をした。

 「セツ様…私は、セツ様の娘でも孫でもない赤の他人ですが、お家をお借り致します。 大事に使わして頂きますので…」

 そう言って私は、扉のドアノブに手を掛けて開けたのでした。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

聖女召喚に巻き込まれたけど、僕は聖者で彼女よりも優れた能力を持っていた。

アノマロカリス
恋愛
僕の名前は、凱旋寺聖(がいせんじひじり)という厳つい苗字の高校2人生だ。 名前から分かる通り、僕の家は300年続く御寺の一族だ。 その所為か、子供の頃から躾は厳しく育てられた…が、別に跡を継ぐという話は出た事がない。 それもその筈…上に、二人の兄と姉がいるからだ。 なので、兄や姉が後継を拒まない限り、跡目争いに巻き込まれるわけではないのだ。 そんなわけで、厳しく育てられては来たが…抜け道を探しては良く遊んでいた。 …という、日頃の行いが悪い事をしていた所為か… まさか、あんな事に巻き込まれるなんてなぁ? この物語はフィクションです。 実在の人物や団体とは一切関係がありません。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

三谷朱花
恋愛
 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。  ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。  伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。  そして、告げられた両親の死の真相。  家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。    絶望しかなかった。  涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。  雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。  そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。  ルーナは死を待つしか他になかった。  途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。  そして、ルーナがその温もりを感じた日。  ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。

俺は、こんな力を望んでいなかった‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
俺の名は、グレン。 転移前の名は、紅 蓮(くれない 蓮)という。 年齢は26歳……だった筈なのだが、異世界に来たら若返っていた。 魔物を倒せばレベルが上がるという話だったのだが、どうみてもこれは…オーバーキルの様な気がする。 もう…チートとか、そういうレベルでは無い。 そもそも俺は、こんな力を望んではいなかった。 何処かの田舎で、ひっそりとスローライフを送りたかった。 だけど、俺の考えとは対照的に戦いの日々に駆り出される事に。 ………で、俺はこの世界で何をすれば良いんだ?

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

処理中です...