【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス

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番外編

第八話 家族との時間・ルットとロットのデート?

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 「ルット、ロット、何処かに行きたいところはあるか?」
 「どうしたのキッド! 私達を誘うなんて珍しいね?」
 「お兄ちゃんとは呼んでくれないんだな…」
 
 リットに比べると、ルットとロットとは比較的に良く話す。
 主に前世の世界でのアクセサリーや服飾について話すのだが…
 この世界にない斬新な形が良いとかで、俺が記憶から呼び起こした物を紙に書くと、その通りに作ってから店に卸す。
 一部の年齢層からは爆発的なヒットを起こしており…現在ではかなり量産をしている。
 何故俺がそんなに詳しいかというと…?
 前世の妹達のねだられた物を買わされたり、それらを好きな女の子にプレゼントの為に知識として蓄えていたからである。
 まぁ…結局役には立たなかったがw

 「幾ら迄ならOK?」
 「ちょっと、ルット…!」
 「お前達もたかる気か?」
 「昨日お姉ちゃんには色々奢ってあげたと言う話だし…」
 「お兄ちゃんと呼んで欲しければ、私達に奢りなさい! ルットの命令です。」
 「まぁ、少し位なら無理は出来るが…何が欲しいんだ?」
 「私は虹布と虹糸を…」
 「じゃあ私は、ダイヤモンドとラピスラズリを…」
 「買えるか! 俺を破産させる気か!?」

 この世界でも、ダイヤモンドは高い。
 そしてどういう訳か…ガーネットやルビーといった赤い宝石類は値段が安いくせに、ラピスラズリやサファイア等の青い宝石類はやたら高かった。
 それに虹布と虹糸は、プリズムアラクネアという希少種が作り出す材料で、纏まった量では…白金貨でも買えるかという物らしいという、裁縫士には憧れの布材らしいのだった。
 
 「仮に買えたとして…目標だった品物がそんな簡単に手に入って嬉しいのか?」
 「自分のお財布が傷まなければ、すっごく嬉しい!」
 「いずれは稼いだお金で…と考えていたけどね。 貰えるなら嬉しいw」
 「この似た者姉妹め…」

 俺は財布を見る…が、どう見ても足りん。
 すると2人は気を遣って言った。

 「貴族様じゃないんだし、今は期待してないから別に良いよ。」
 「いずれは…という話だから、未来で稼ぎまくったらお願いね。」
 「やっぱ買わせる気か⁉︎」

 グランベリオン公爵が俺やテッドの調味料を世界に広めてくれている。
 グランベリオン公爵がマヨネーズのレシピを教えて料理人に作らせているみたいだが、俺が出した調味料のマヨネーズに比べると味が落ちるらしい。
 基盤となる卵や油が違うだけで、完成後のマヨネーズがここまで違うということは、この世界の卵も油も質は良くない事がわかった。
 ちなみに俺の生み出した油や酢や食材召喚の卵で作ったマヨネーズは、俺に出したマヨネーズと味は一緒だった。
 …となると、大量の調味料を生み出さないと行けないことになる訳なので…俺が居なくなったらテッドに頑張ってもらおう。

 「でね…」
 「ん?」
 「私もロットも…昨日お姉ちゃんが食べた甘味が食べたいんだけど、良いかな?」
 「そんな物で良いのなら別に良いが…」

 そう言いかけてふと気付いた。
 ルットもロットも魔術師系のジョブの為に、食い方が異常なくらいよく食うのだ。
 ジョブに目覚める前も良く食べていたが、当時の比ではない。
 俺は覚悟を決めて…ルットとロットに満足するまで甘味を食べさせまくった。
 リットの時もそうだが、ルットとロットの時も普通に銀貨が吹っ飛んだことは言うまでもない。
 元の甘味の調味料も俺やテッドから出した物だから、それ相応に値段が安くなっているとはいえ、高い物はやはり高かった。
 そしてテッドの料理が絶望的な特性も俺も引き継がれている為に、俺も料理の類は一切出来なかった。
 前世でも料理があまり得意ではないから、テッドの料理が絶望的な特性は俺のその部分が影響しているのだろう。

 「2人とも、満足はしたか?」
 「うん、お腹いっぱい!」
 「私も…だけど、最後にケーキを買ってくれないかな?」
 「ケーキを? まだ食うのか?」
 「食べるといえば食べるんだけど…パパとママをちゃんとお祝いしていなから、ケーキでお祝いしたいんだけど。」
 「テスタとライラの為か…」

 ちなみに、ルットとロットはテスタとライラをすぐに受け入れた。
 だけど、俺やテッドやリットは受け入れてはいるが、父親や母親と呼ぶには抵抗があった。
 徐々に慣れて行くとは思うが…
 俺たち3人は、街のケーキ屋に足を運んだ。
 この店は以前、テッドの記憶で見たケーキ屋だった。
 …が、砂糖があまり使われていなくて甘さが薄い記憶だった気がした。
 そしてやたら高い記憶も…
 俺は財布を確認すると、店のケーキの値段を見てどう見ても足りなかった。
 なので、俺は店員に交渉を持ち掛けるのだった。

 「いらっしゃいませ…って、魔王を倒した英雄様と勇者様⁉︎」
 「はいはい、そうですよ~って、まだ言われるのか、コレ。」
 「いい加減、日にちが経っているから薄れても良いのにね。」

 あれから結構な日にちが経っているにも関わらず、未だに俺たちの事を英雄や勇者と呼ぶ者がいる。
 まぁ、そのお陰で店で買い物をするときは割引とかしてもらえるので助かってはいるのだが…

 「今回はどの様な御用件でしょうか?」
 「ケーキ屋でケーキを買う以外に他にあるのか?」
 「あ…そうですよね! どの様なケーキを御所望でしょうか?」
 「一番高いケーキをホールで購入したいんだが…あいにく手持ちがなくてな。」
 「英雄様や勇者様が来てくれただけで感激に御座いますので、無料で…」
 「流石にそれは申し訳ないので、1つ取引をしたいのだが良いか?」
 「取引でございますか?」
 「材料提供とレシピを教えるので…製作費だけの支払いをお願いしたいのだが。」
 「それは私どもとしては大変有難いのですが…」

 この世界のケーキは、非常にシンプルなものが多い。
 ケーキの種類もパウンドケーキみたいな物が主で、ショートケーキに様にスポンジケーキの間にクリームやフルーツを入れるという発想が無かった。
 俺は紙に前世での様々なケーキの種類のレシピを渡し、それを作る材料を大量に生み出して行った。
 牛乳やバター、砂糖や小麦粉、チーズに卵等…
 ちなみにバターやチーズなどは、牛乳を濃度上昇や性質変化などで作り出せた…のだが、この世界ではカスタードクリームやホイップクリームという物は馴染みがない。
 なのでそれらのレシピを教えていると、ケーキ屋のパティシエからは凄く感謝されたのだった。
 …前世での知識で俺が作ったわけではないので、褒められていれも大してうれしくは無かった。

 「教えられた通りに作りましたが…これで宜しいでしょうか?」
 「一応3つ作ったな? では、1つは持ち帰り用で包んでくれ。 そしてもう1つは、グランベリオン公爵家に配達、もう1つは試食としよう。」
 
 ケーキ屋の店員にパティシエ達、俺とルットとロットはケーキを試食した。

 「ふむ…まぁまぁだな。」
 「これで…まぁまぁなんですか? 私には大変素晴らしい物だと思いますが⁉︎」
 「私もすごく美味しいよ。」
 「私も初めて食べたんだけど? キッドには物足りないの?」
 「いや、子供の味覚なら申し分はないのだが、これが大人の味覚にすると少し甘過ぎるかもな。 もう少し甘さを抑えるとウケがいいかもしれないな。」
 「成る程! 甘さを抑えるですか…確かに、貴族の中には極端に甘い物を好まない方もいますからね。」
 
 俺はマジックバックから空瓶を取り出して、その中にブランデーを入れた物を渡した。

 「これは…上等なお酒ですね?」
 「生地の中にこれを少量練り込んでから焼くと、酒飲み貴族にはウケると思うよ。 ブランデーは甘いから、砂糖の代わりに使用するというのも手だな。」
 「なるほど…勉強になります!」
 「では…約束の製作費の方だが、幾らになる?」
 「いえ、流石に100種類近くのレシピにこれだけの大量な食材や調味料を戴いてお金を要求する気にはなれません。」
 「なら、金は?」
 「勿論、受け取れません。」
 「なら、1つ頼みがあるんだが良いか?」
 「なんなりと…」

 そして俺達は、ケーキ屋を出て家に向かって帰ろうとしていた。
 だが、そこに…街のチンピラっぽい3人組が立ちはだかっていた。

 「平民ガキがその店から出るなんてな…お前ら、金持ってんだな?」
 「まぁ、それ相応には…」
 「俺たちにも恵んでくれねぇかな? 金額はお前らの持っている金の全てで良いからよ!」
 
 この馬鹿3人組は、誰に喧嘩を売っているのかわかっているのか?
 周りを見ると、住人達も呆れた表情をしていた。

 「お前らは、他所の国から来たのか?」
 「俺たちはこの島の者で、ドニー様の意志を継ぐ者だ!」

 ドニーって確か…テッドにボコボコにされて牢獄に放り込まれた奴だったよな?
 その仲間も全て入っていたと思ったが、生き残りがいたのか。

 「はぁ…見逃してやるから早く帰れ!」
 「何だと! 俺を誰だが知らねぇのか⁉︎」
 「お前こそ、俺を誰だか知っていて喧嘩を売っているのか?」

 すると、3人のうちの1人がルットの持っているケーキの箱に蹴りを入れた。
 ケーキの箱が宙を舞うと、そのまま地面に落ちた。

 「何するのよ! 私たちのケーキを⁉︎」
 「うるせぇな! さっさという事を聞かないから、こういう目に…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 ルットは怒りのあまりに電撃魔法を容赦なく喰らわせたのだった。
 そしてもう1人がルットに襲い掛かろうとすると、ロットが光の鎖で拘束したのだった。

 「ミーギ! ヒーダリ! お前ら何もんだ! 俺の部下をよくも…」
 
 俺は魔剣シーズニングのラードセイバーにトリガーを引いてフレイムソードに変化させて言った。

 「俺の名前は、キッド・リターンズだ! そしてこっちは、妹のルット・リターンズにロット・リターンズだ。 んで、お前はどこの誰だって?」
 「俺はカーラダ! キッドか…お前の名は覚えたぞ! この落とし前は…」

 カーラダはそこで言葉が止まった。
 そして青い顔をして怯えた表情で俺を見た。

 「キッド・リターンズって、魔王を倒した英雄のか? そしてルットとロットって魔王を倒した勇者の⁉︎」
 「どう落とし前を付けるのか聞きたいなぁ? 俺たちのケーキをこんなにして…」
 「え…えっと…」
 「まぁ、ケーキの事に関しては許してやっても良い。 後ろで店員が見ているから、多分同じのを作ってくれていると思うからな。 だが、タダで許してやる気はないから、これからいう事を2つの中から選べ!」
 「は…はい! 何でしょうか?」
 「これに懲りて、これからは心を入れ替えてから冒険者になって依頼をこなして真っ当に金を稼いで行くか…俺たちにもボッコボコに半殺しにされてから、ドニーと同じ牢獄に放り込まれるか…」
 「ぼ…冒険者になって真面目に生きます!」
 「もしも約束を破って悪さをしたのが耳に入ったら、次こそ命が無いと思え! この狭い街だ…逃げれるなんて希望は持つなよ?」
 「は…はい! 真面目に生きて街の為に尽くします!」

 改心したカーラダは、ミーギとヒーダリを連れてその場を去ろうとしていた。
 俺は潰れたケーキを持たせてやり、カーラダは謝罪をするとその場を急いで去っていった。
 そして一部始終を見ていたケーキ屋の店員は、ケーキを新たに作り直してくれて…それを家に持ち帰った。
 家に帰って来たテスタとライラを改めてお祝いすると、2人は感激をしていた。
 こうして、今日のルットとロットのデートは幕を閉じたのだった。

 そしてケーキ屋に頼んだ俺の案はというと…?
 平民には安く販売し、貴族には高値で売るという方法を提案して起用された。
 そのお陰で、ケーキ屋は爆発的にヒットしてその勢いは他国までに知れ渡って、他国から買い求めるまでになったという。
 そしてケーキ屋の材料を卸す役割は、俺がいなくなった後ではテッドが引き受けてやってくれている。

 そして俺たちに喧嘩を売った馬鹿な3人組は…?
 翌日に冒険者ギルドに行って冒険者になり、依頼をこなして日銭を稼ぐ生活を送っていた。
 そしてミーギが潰したケーキを持ち帰って食った3人は、その味にハマり…稼いだ金額をケーキに費やす様になったという…
 
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