聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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新天地の章

第九十話

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 テルミガンの取った策はこうだった。

 ダイオウイカのヌメヌメを取る為に、大量の粉塩を体に纏わり付かせてから、火と水の合成魔法で作り出された熱湯の水球で茹でるという物だった。

 「この方法って、イカ焼きを作る時の処理でやるやつだよね?」

 《イカ焼き……リアラ様、それはどう言った物なのですか?》

 「さぁ?」

 私はダイオウイカが粉塩を纏った姿を見て、咄嗟にそんな言葉が出た。

 イカ焼き………

 初めて言った言葉なのに、何処か懐かしさを感じる言葉だった。

 今迄に…肉は愚か、魚すら……というより、生物の肉を食べた事が無いのに…

 たこ焼きと言う……懐かしい言葉と言うだけで、生物の肉すら食べた事が無い私にわかる訳がない。

 「私は……甘醤油に胡椒派だったなぁ。」

 《リアラ様……胡椒は分かりますが、甘醤油とは?》

 私はダイオウイカを見て、また咄嗟に頭の中に言葉が浮かんで来た。

 これも、初めて発した言葉の筈なのに……

 何処か懐かしさを感じる言葉だった。

 テルミガンは、火と水の合成魔法で熱湯の水球を作り出してから、ダイオウイカを熱湯の水球の中に放り込んだ。

 テルミガンは、熱湯の水球の温度を上昇させて行くと……?

 ダイオウイカは、真っ赤に茹って湯気を出しながら絶命していた。

 《これで、ダイオウイカを仕留める事が出来ましたね。 リアラ様、この後はいかが致しましょうか?》

 「ダイオウイカはこのまま少し放置しておくとして、ダイオウイカの棲家に連れ去られたイッカクの娘を助けに……」

 そこで私は少し考えた。

 この場所は、親のイッカクは巨体過ぎて海から顔を出せるわけでは無い。

 ましてや、陸に棲家を作っているダイオウイカの所まで来れるはずもない。

 「ねぇ、テルミガン……この場所なら、イッカクにバレないように娘を殺っちゃうという事も出来たりしない? イッカクの親には、ダイオウイカを倒した時には既に間に合わなかった…と伝えてさ。」

 《リアラ様…なんと言う罰当たりな事を言うのですか! イッカクは海の聖獣と言われ、かつての聖女エルレインと共に大災害を救った三聖獣の1匹なのですよ。 一般のクジラならともかく、聖獣のイッカクの後継者を殺害するだなんて…》

 大災害を救った三聖獣……この話は、神殿にいた時に聞いた事があったわね。

 魔王を倒した後の余波で、世界が大災害になった時に……陸海空の三聖獣と共に、聖女エルレインが世界を救って見せたんだっけ?

 この話、今の今まで忘れてたわ。

 この授業の時は、丁度……デリシャスを育てていて、さっさと成長させて喰おうと考えていた時期だったっけ?

 その野望も結局は叶わなかったんだけどね。

 「な~んだ……クジラの肉は、脂乗りが最高で美味しいと聞いていたんだけどなぁ。」

 《先程もそうですが、リアラ様は誰からその話を聞いたのですか?》

 「神殿にいた時に書物を見て……」

 《生物を食す行為を禁じている神殿に、そんな書物が存在するとは思えませんが…?》

 あれ…?

 神殿の書物じゃなかったっけ?

 じゃあ、私は一体どこで見たんだろう。

 リアラの中で、何か…妙な変化が起き始めていた。

 リアラは一体………?
 

 
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