63 / 95
自由なスローライフの章
第六十二話
しおりを挟む
「ウラノスのパーティーメンバーの重症を負った怪我を治したという嬢ちゃんか!」
「ポーションで…ですけどね。」
「そのポーションはまだあるのか?」
「その前に貴方は何処の誰ですか?」
冒険者ギルドに入るなり、髭面の大きな男が私に詰め寄って来た。
「ワシはこの冒険者ギルドのカシリス支部のギルドマスターのゼーヴェンだ!」
「そうですか、私は…フォルトゥナと申します。」
フォルトゥナというのは、伝承の聖女様であるエルレインの名字なんだけど…世間では余り知られていないので名乗った。
流石に神殿関係者も私が偽名を使うにしたって、伝承の聖女様の名字を名乗るとは思うまい。
「フォルトゥナ、ポーションはあるのか?」
「あるにはありますが…私のポーションを幾らで買い取って頂けるのですか?」
「ウラノスのパーティーメンバーの怪我を治したというポーションは上級という話だったが、あの怪我の具合では上級ポーション位では治らないと思うのだが…?」
私はゼーヴェンに上級ポーションを見せた。
ゼーヴェンは鑑定魔法を使用すると、名前は確かに上級ポーションなんだけど++という補正が付いていた。
「これは…エクスポーションに近い効果を持っているな⁉︎」
「エクスポーションか何かは知りませんが、私のは上級ポーションです。幾らで?」
「流石にエクスポーションともなると値段が付けようもない。少し負けてくれるとありがたいんだがなぁ。」
「でしたら、ブルステーキを食べさせてくれる事で手を打ちましょう。」
「ブルステーキで良いのか?」
「先程食堂でブルステーキを食べようとしていたら、ウラノスさんの仲間の怪我を私のポーションで治した所を偶然見ていたCランク冒険者のリーダーに食べられちゃったんですよ。しかもそのリーダーは私の持っているポーションを1本銅貨1枚で買い取ってやるとか言われて…」
「それは気の毒だったな。多分奴のことだと思うので後で叱っておく…ギルド内にも食堂があるからブルステーキを用意するので譲ってはくれないか?」
「ブルステーキを食べさせてくれるのなら…」
ゼーヴェンは厨房にブルステーキを注文すると、数十分後に鉄板の上で美味しそうな音を鳴らしたブルステーキが運ばれて来た。
私はやっとありつけると思ってナイフとフォークを用意して肉を切っていると…
冒険者ギルドに入って来た同じ歳くらいの少年が、「腹減った~」と言って私のブルステーキを見て皿ごと奪って行き貪り食べていた。
そして食べ終わると…?
「ガキの癖にこんな上等なモンを食ってんじゃねぇよ!」
そう言って皿を私の目の前に叩きつけて来た。
私は俯いて皿を見つめていると、ゼーヴェンは少年の胸ぐらを掴んで殴り飛ばしていた。
私が肉類を食べようとすると必ず邪魔が入る。
本当に呪いじゃないのかと思えてくる。
「交渉決裂ですね。」
「いや待ってくれ!ブルステーキをもう1度焼いてくれ‼︎」
「ギルマス、今のが最後です。」
「だそうですよ、では失礼します。」
私は席を立とうとすると、ゼーヴェンは頭を下げて来た。
「まだ何か?」
「本当にすまなかった‼︎」
「謝罪は受け取りました。ですがお売りする気は失せましたので、これで…」
私はそう言ってから冒険者ギルドを出ようとすると、ゼーヴェンが肉を奪っていた少年を暴行しまくっていた。
私はいい気味だと思って冒険者ギルドを後にすると、カシリスの街を出て自宅まで移動した。
「今日は肉にはありつけなかったけど、魚があるからそっちを食べよう。」
そう思っていたのに、天日干ししていた魚は全部無くなっていた。
「結界をしてあるのにどうやって入れたの?」
「どうやらマスターの結界は魔物避けの結界で、魚を奪って行ったのは魔物ではない普通の鳥か何かだったのでしょう。」
畑を見ると少し荒らされていたので、私は動物でも入れない結界を張り巡らせた。
そして晩御飯はいつもの野菜のスープになっていた。
「もう…ブルじゃなくても良いから、ボアでも良いから食べてやる!」
リアラは数日後にカシリスの街に赴くのだった。
「ポーションで…ですけどね。」
「そのポーションはまだあるのか?」
「その前に貴方は何処の誰ですか?」
冒険者ギルドに入るなり、髭面の大きな男が私に詰め寄って来た。
「ワシはこの冒険者ギルドのカシリス支部のギルドマスターのゼーヴェンだ!」
「そうですか、私は…フォルトゥナと申します。」
フォルトゥナというのは、伝承の聖女様であるエルレインの名字なんだけど…世間では余り知られていないので名乗った。
流石に神殿関係者も私が偽名を使うにしたって、伝承の聖女様の名字を名乗るとは思うまい。
「フォルトゥナ、ポーションはあるのか?」
「あるにはありますが…私のポーションを幾らで買い取って頂けるのですか?」
「ウラノスのパーティーメンバーの怪我を治したというポーションは上級という話だったが、あの怪我の具合では上級ポーション位では治らないと思うのだが…?」
私はゼーヴェンに上級ポーションを見せた。
ゼーヴェンは鑑定魔法を使用すると、名前は確かに上級ポーションなんだけど++という補正が付いていた。
「これは…エクスポーションに近い効果を持っているな⁉︎」
「エクスポーションか何かは知りませんが、私のは上級ポーションです。幾らで?」
「流石にエクスポーションともなると値段が付けようもない。少し負けてくれるとありがたいんだがなぁ。」
「でしたら、ブルステーキを食べさせてくれる事で手を打ちましょう。」
「ブルステーキで良いのか?」
「先程食堂でブルステーキを食べようとしていたら、ウラノスさんの仲間の怪我を私のポーションで治した所を偶然見ていたCランク冒険者のリーダーに食べられちゃったんですよ。しかもそのリーダーは私の持っているポーションを1本銅貨1枚で買い取ってやるとか言われて…」
「それは気の毒だったな。多分奴のことだと思うので後で叱っておく…ギルド内にも食堂があるからブルステーキを用意するので譲ってはくれないか?」
「ブルステーキを食べさせてくれるのなら…」
ゼーヴェンは厨房にブルステーキを注文すると、数十分後に鉄板の上で美味しそうな音を鳴らしたブルステーキが運ばれて来た。
私はやっとありつけると思ってナイフとフォークを用意して肉を切っていると…
冒険者ギルドに入って来た同じ歳くらいの少年が、「腹減った~」と言って私のブルステーキを見て皿ごと奪って行き貪り食べていた。
そして食べ終わると…?
「ガキの癖にこんな上等なモンを食ってんじゃねぇよ!」
そう言って皿を私の目の前に叩きつけて来た。
私は俯いて皿を見つめていると、ゼーヴェンは少年の胸ぐらを掴んで殴り飛ばしていた。
私が肉類を食べようとすると必ず邪魔が入る。
本当に呪いじゃないのかと思えてくる。
「交渉決裂ですね。」
「いや待ってくれ!ブルステーキをもう1度焼いてくれ‼︎」
「ギルマス、今のが最後です。」
「だそうですよ、では失礼します。」
私は席を立とうとすると、ゼーヴェンは頭を下げて来た。
「まだ何か?」
「本当にすまなかった‼︎」
「謝罪は受け取りました。ですがお売りする気は失せましたので、これで…」
私はそう言ってから冒険者ギルドを出ようとすると、ゼーヴェンが肉を奪っていた少年を暴行しまくっていた。
私はいい気味だと思って冒険者ギルドを後にすると、カシリスの街を出て自宅まで移動した。
「今日は肉にはありつけなかったけど、魚があるからそっちを食べよう。」
そう思っていたのに、天日干ししていた魚は全部無くなっていた。
「結界をしてあるのにどうやって入れたの?」
「どうやらマスターの結界は魔物避けの結界で、魚を奪って行ったのは魔物ではない普通の鳥か何かだったのでしょう。」
畑を見ると少し荒らされていたので、私は動物でも入れない結界を張り巡らせた。
そして晩御飯はいつもの野菜のスープになっていた。
「もう…ブルじゃなくても良いから、ボアでも良いから食べてやる!」
リアラは数日後にカシリスの街に赴くのだった。
7
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の侯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした侯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親は必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
満場一致で削除されましたが、世界は問題なく回っております』
鷹 綾
恋愛
王太子アルベルトは、ある日、貴族全会の満場一致によって廃嫡された。
断罪もなければ、処刑もない。
血も流れず、罪状も曖昧。
ただ「順序を飛ばした」という一点だけで、彼は王位継承の座から静かに削除される。
婚約者だった公爵令嬢エリシアは、婚約破棄の時点で王都の構造から距離を取り、隣国との長期協定を進めていく。
彼女の世界は合理で動き、感情に振り回されることはない。
一方、王太子が選んだ“新たな聖女”は、どこまでも従順で、どこまでも寄り添う存在だった。
「殿下に従わない者は、私が処理しておきます」
その甘い囁きの裏で、王都では“偶然”が重なり始める。
だが真実は語られない。
急病も、辞任も、転任も、すべては記録上の出来事。
証拠はない。
ただ王太子だけが、血に濡れた笑顔の悪夢を見る。
そして気づく。
自分のざまあは、罰ではない。
「中心ではなくなること」だと。
王都は安定し、新王は即位し、歴史は何事もなかったかのように進む。
旧王太子の名は、ただ一行の記録として残るのみ。
婚約破棄のその後に始まる、静かな因果応報。
激情ではなく“構造”が裁く、最強レベルの心理ざまあ。
これは――
満場一致で削除された男と、最初から無関係な位置に立っていた令嬢の物語。
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
病弱設定されているようです
との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』
なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。
ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。
前世の記憶と共に無双します!
再開しました。完結まで続投です。
ーーーーーー
恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝)
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。
完結確定、R15は念の為・・
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる