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流れ星(shooting star)
しおりを挟むあのとき描いた想いは今もあなたの中で輝いていますか?
私たちの出会いは大学の天文サークルでした。
私たちは星がすごく好きで、すぐに意気投合しました。
「おれ、ショウヘイ。きみは?」
「私、カナコ」
ショウヘイは握手を求めた。
カナコもそれに応じた。
そして、天文サークルにとっては大事なイベントである七夕の日が近づいてきた。
織姫と彦星が出会うそんな日に、ショウヘイはカナコに告白することを決めた。
「カナコ。よかったら、おれと付き合ってくれないか?」
カナコはまさかそんなことを言われるとは思わなくてびっくりしたが、ショウヘイのことは自分の中でも気になっていた人だったのでその告白に「はい」と答えた。
ショウヘイとカナコはこうして結ばれたのだった。
そんな風に付き合い始めてもうかれこれ三年が過ぎて、ショウヘイとカナコも就職活動を始めていた。
ショウヘイは地元の企業へ就職が内定し、カナコも都会の大手デパートに就職が内定した。
しかし、一つだけ問題があった。
二人の就職先の関係で二人は離れ離れになってしまう。
二人はそれを知りながら、何も話は進展しないまま月日だけが過ぎていった。
そうしているうちに、時期は再び七夕になった。
七夕を二人して迎えるのもこれで最後になると思うと妙に寂しくなっていた。
「カナコ、おれたちもあの星のように離れ離れになるんだよな?」
ショウヘイはとうとう二人の結末について話し始めた。
「うん。でも、会えなくなるわけじゃないから」
カナコは二人の続きを話した。
「カナコ、おれたち離れ離れになってもうまくやっていけるかな?」
「当たり前だよ!」
カナコは強い口調で返した。
「なんで、居なくなろうとするの? 私のことが嫌いなの?」
カナコはその場に座り込んで泣いてしまった。
「嫌いとかじゃないよ。ただ、このまま離れたら会えないんじゃないかって思っただけで」
ショウヘイは少し困りながら、言葉を探して選んで口にした。
「会えなくたって平気だよ、とか言えないの?」
カナコはもっともなことをショウヘイにぶつける。
しかし、会えなくて不安なのはカナコもショウヘイも同じなのだ。
「それよりさ、せっかく天体観測に来てるんだ。星見ようぜ」
ショウヘイは話をそらしたが、そんな簡単にはいかなかった。
「星なんてどうでもいいよ」
カナコはまだ座り込んで涙を流している。
「そんなこと言うなって。俺が悪かったよ。星、見ようぜ。綺麗だぜ」
星に集中しようとショウヘイは繰り返した。
カナコはようやく泣きやみ、星を見上げた。
「あ、流れ星!」
ショウヘイはそう言って流れていった流れ星を指差した。
「みたか?今の」
「うん」
カナコもグスンと鼻をならしながら、答えた。
「まだ来るかもな。よく見ておかないともったいないぜ」
カナコも頷いて、空を見上げた。
すると、めったに見られない流星群が見れる場所だったのかどんどんと流れ星が流れ始めた。
「見ろよ! 流星群だ!」
「お願いしなきゃ」
カナコはショウヘイの言葉に反応する。
「ずっと、ショウヘイと一緒にいれますように」
カナコは心の中でそう願った。
「ずっと、カナコと一緒に居られますように」
一方、ショウヘイも同じようにカナコとの将来を祈りながら、流星群に見とれていた。
そんな風にして、四度目の七夕の日が終わり、ショウヘイとカナコの離れる日も迫っていった。
ショウヘイは地元に戻り、働いている。カナコも都会のデパートで正社員として働いている。
二人は今も付き合いを続けている。あの流れ星に描いた夢は今も輝き続けている。
二人は場所が離れても織姫と彦星のようにずっと一緒に居られるだろう。
‐完‐
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