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誘われて

機械娘への誘い

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 監督と名乗る男はわたしを説得していた。

 「これから、あなたが着ていただくのはそちらの俗に”機械娘”とよばれるガイノイドスーツです。これを着る女性を見て、フェチな気分になりたい方のための作品になります。
 まあ、簡単に言ってしまえば、デートで水着を着た彼女とビーチで遊んだ後で二人の世界に・・・といった内容みたいなものです。
 それに、こういった作品を見るのは極々一部ですから顔バレはありませんし、第一口にできませんから、そんなフェチがあるだなんて誰も。でも本当は誰にでも持っているものですけど、なんらかのフェチは・・・」

  監督の説明は、いまいちよくわからない話だった。わたしは。自分でいうのもなんだけどボディラインはセクシーだと言われるけど、どちらかといえば根が暗く億手で・・・ようはモテない女子だった!

  だからそんな自分が変われるかもしれないとモデルの誘いにのってしまったのだけど、ここで待っていたのは世間で話題のガイノイドのスーツだった。密かなわたしの願望は、疑似ロボット体験をしたかったのだ。

  でも、体験しようにもリース料金は高いし、諦めていた。それを着る仕事に就くことも難しそうだったので半ばあきらめていた・・・しかし目の前にはそのスーツがあるのだ!

  「わかりました! わたしにやらせてください!」

  「そうこなくちゃ! それでは説明します。まずあなたはシャワーを浴びてきてもらってからこの服を着てください。そして別の機械娘があなたを機械娘にしてあげますわ。そしてしばらく機械娘として過ごしてください」

  機械娘という言葉を聞いて私の心はゾクゾクしていた。あの憧れの機械娘になれることを! でも機械娘になりたいだなんて云った友人といえば・・・まさか?

  わたしがシャワーを浴びてから部屋に戻ると二体、いや二人の機械娘がスタッフの中に増えていた。二人はメタリックな外骨格に覆われた・・・そう機械と一体化した女性だった。
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