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機械娘にされるのよ!

手枷足枷(てかせあしかせ)

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女性を改造するシーンと聞いて、私はあることを思い出した。祖父が好きだった特撮作品に、それと似た場面があったことを。祖父が子供のころ、たぶん昭和時代の終わりごろだと思うけど、拉致してきた女性を改造し、ヒーローへの刺客にしたというものだった。

  その話を聞いてなんとなく興味を持った私は、動画投稿サイトから件の特撮作品を見つけ出して視聴したのだが、結構衝撃を受けた。

  まず手術台の上に、全裸で横たわっている若い女性が映し出されたのだ! 『これって本当に子供向きの作品なの?』と驚いたけど、どうも昭和時代のこの種の作品は、そんなものお構いなしだったらしい。

  女性の胸や腰など、性的な部分はさすがに見えなかったが、長い黒髪の頭部には、怪しげなヘッドギアが装着されていた。それから、全身にゴツゴツとした醜い衣装のようなものを着せられ、やがて、おぞましいトカゲの化け物のような姿になった。彼女は、”トカゲ女トカゲオン”と、いい加減なネーミングの怪人になった……。

  そんなどうでもいいことを思ったのは、これからやることがまさに改造手術だったからだ! 違う点といえばトカゲオンは寝かされた状態で怪人になったけど、私は吊り下げられた状態で機械娘になるということだ。

  それってどういうことなの? と思ったけど、あまり説明してはくれなかった。なぜなら、「機械娘に改造するシーンそのものが本番だから」ということだった。私の全身にジェシカが、『無色透明に近いベビーパウダー』と言うべきものを塗りたくる。後で知ったことだけど、それは機械娘化ナノマシーンの活動を促進する、消毒剤を兼ねた活性剤だったという。

  私がセーラー服を切り刻まれ、メタルショーツを装着させられた時点の姿に戻されたところで、撮影再開となった。手錠のようなもので吊り下げられた状態で。その時の私は、下剤によって体内の排泄物を全て出されたのでお腹が空っぽになり、酷い空腹感にさいなまれグッタリとしていた。だから演技ではなく、本当に拷問を受け疲労困憊したような姿になっていた。

 「さあ、これから張り切って機械娘にしてあげるわよ! 痛いけど気持ちいいわよ! 機械の内臓になるのは!」
  いささか意味不明なことを言いながら、プリスが近づいてきた。その手には膝のプロテクターのようなモノがあった。

 「それっていったい?……」

 「これ? これはね、機械娘の膝のパーツよ。これを最初にはめるの、そして肘のパーツも。そうでしょう? あなたは意識があるまま機械娘になるのだから、暴れるかもしれない。だから一時的に、固定しないといけないのよ。
  取りあえず膝と肘だけはめて、拘束具で身体を固定してから措置を行うわよ。でも心配しないで。ちゃんと看護師のジェシカもいるんだから。何かトラブルがあったら、彼女が対処してくれるからね!」

  そう言われ視線を泳がすと、ジェシカが、私が生まれ変わるキャサリンの外骨格をチェックしていた。おそらく、次に私の身体にはめるパーツを……嘗め回すかのように触っていた。

 「じゃあそのパーツって、いわゆる手枷足枷ということ?」

 「そうよ! じゃあやるわよ!」

 ジェシカは私の肘と膝にパーツをはめた。
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