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0.勇者の記憶
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俺には勇者の記憶があった。
つらい日々と毎日続く凄惨な争い。
人間と魔族の仲は最悪で、数十年ずっと争いが続いていた。俺は生まれてすぐに勇者になる適性があると判断され王国に引き取られた。親の顔は知らない。
引き取られてからは毎日訓練が続いた。休みの日などない。音を上げれば「今現在、魔物に襲われている村があるかもしれない。お前がやらなきゃ誰が奴らを助けるんだ」といわれ、暴力をふられた。逃げることもかなわずに。
そんな日々を重ね、齢を20重ねた年だったか、俺は魔王までたどり着いた。
魔王はものすごく禍々しい魔力を纏っており近くにいるだけで脂汗が出てくる。でも俺は逃げるわけにはいかなかった。民のため、王国のために。
俺は戦った。己のすべてを魔王にぶつけた。
魔王は強く、己のすべてをぶつけてやっと渡り合えるほどだった。でも負けるわけにはいかないと必死に戦った。
結果は俺の勝利。
魔王は死んだ。
そして、すべてを出し尽くした俺もそこで命絶えた。俺が救った世界を見届けることなく。俺は思った。これから平和がやってくるだろう。だがその平和は永久なものか。平和が訪れた人々の悠々とした生活を見たいと。
そう強く願った。
ゆっくりと暗転していく視界。
「あぁ、なんて最期だ。自分の救った世界を見ることもかなわずに」
ブラウン管テレビの電源を切るように俺の意識も途絶えた。
だが、しばらくすると視界に光が差した。
目の前には真っ赤な世界が広がっている。
血の海のような凄惨な赤ではなくあたたかな色。俺は何を見ているんだろうか。
どうやら目が開かないようだ。生まれたばかりの乳飲み子のようにあえぎなくことしかできない。
近くに人の気配を感じる。殺気は感じない。なにか大切なものを見守るようなあたたかな視線を感じる。
勇者だったころの名残でそういった感覚は鋭かった。
俺は勇者の記憶を持ったまま転生したようだ。
◇◆◇
俺の名前はルーナ・スルスだ。今年で15になる。
俺には勇者の記憶がある。子供のころは自分のことのように感じたが成長していくにつれ現世は現世、前世は前世と区別がつくようになった。
そして俺には勇者の力があった。
いくらか制約はあるが、それでもとても大きな力が。
また、それを俺は制御することができる。つまりは、100年前に魔王を倒した勇者(俺)が現代にまた現れたみたいな感じだ。
そのことを親や親せき、村の人には伝えていない。
その村はかつて勇者(俺)が生まれた村、スウルス村だ。
勇者自体は王国で生まれ育ったことになっているが、実際に生まれたのはこの村だ。
力の制御の実験をするときは森の中など目立たないところでやっていた。
そして齢が15に達したので騎士学園に入学することを勧められた。
なので入学することにするが、前世みたいに忙しく凄惨な戦場をめぐりたくないので目立たないように活動することにする。
なので入試は手抜きで合格者の中で最下位で通過した。
手を抜くのに相当苦労したが。
王都フォンターナにある王立リュンヌ騎士学園に通うことになった。
この学園は王立のとても大きな騎士学園で5年制だ。
ランクごとにクラスが分けられており、S,A,B,C,D,E,Fクラスがある。
S,A,B,Cクラスは上位クラスといわれ、制服は白地に金の装飾がされており、帯の色がそれぞれ決まっている。
上位クラスには貴族が多い。
D,E,Fクラスは下位クラスと呼ばれ、制服は白地に黒い装飾がされており、また帯の色がそれぞれ決まっている。
下位クラスには平民が多い。
俺はFクラスなので緑の帯だ。
そして明日からここに通うことになっている。
俺の勇者の力が露見しないように5年間頑張っていこうと思う。
つらい日々と毎日続く凄惨な争い。
人間と魔族の仲は最悪で、数十年ずっと争いが続いていた。俺は生まれてすぐに勇者になる適性があると判断され王国に引き取られた。親の顔は知らない。
引き取られてからは毎日訓練が続いた。休みの日などない。音を上げれば「今現在、魔物に襲われている村があるかもしれない。お前がやらなきゃ誰が奴らを助けるんだ」といわれ、暴力をふられた。逃げることもかなわずに。
そんな日々を重ね、齢を20重ねた年だったか、俺は魔王までたどり着いた。
魔王はものすごく禍々しい魔力を纏っており近くにいるだけで脂汗が出てくる。でも俺は逃げるわけにはいかなかった。民のため、王国のために。
俺は戦った。己のすべてを魔王にぶつけた。
魔王は強く、己のすべてをぶつけてやっと渡り合えるほどだった。でも負けるわけにはいかないと必死に戦った。
結果は俺の勝利。
魔王は死んだ。
そして、すべてを出し尽くした俺もそこで命絶えた。俺が救った世界を見届けることなく。俺は思った。これから平和がやってくるだろう。だがその平和は永久なものか。平和が訪れた人々の悠々とした生活を見たいと。
そう強く願った。
ゆっくりと暗転していく視界。
「あぁ、なんて最期だ。自分の救った世界を見ることもかなわずに」
ブラウン管テレビの電源を切るように俺の意識も途絶えた。
だが、しばらくすると視界に光が差した。
目の前には真っ赤な世界が広がっている。
血の海のような凄惨な赤ではなくあたたかな色。俺は何を見ているんだろうか。
どうやら目が開かないようだ。生まれたばかりの乳飲み子のようにあえぎなくことしかできない。
近くに人の気配を感じる。殺気は感じない。なにか大切なものを見守るようなあたたかな視線を感じる。
勇者だったころの名残でそういった感覚は鋭かった。
俺は勇者の記憶を持ったまま転生したようだ。
◇◆◇
俺の名前はルーナ・スルスだ。今年で15になる。
俺には勇者の記憶がある。子供のころは自分のことのように感じたが成長していくにつれ現世は現世、前世は前世と区別がつくようになった。
そして俺には勇者の力があった。
いくらか制約はあるが、それでもとても大きな力が。
また、それを俺は制御することができる。つまりは、100年前に魔王を倒した勇者(俺)が現代にまた現れたみたいな感じだ。
そのことを親や親せき、村の人には伝えていない。
その村はかつて勇者(俺)が生まれた村、スウルス村だ。
勇者自体は王国で生まれ育ったことになっているが、実際に生まれたのはこの村だ。
力の制御の実験をするときは森の中など目立たないところでやっていた。
そして齢が15に達したので騎士学園に入学することを勧められた。
なので入学することにするが、前世みたいに忙しく凄惨な戦場をめぐりたくないので目立たないように活動することにする。
なので入試は手抜きで合格者の中で最下位で通過した。
手を抜くのに相当苦労したが。
王都フォンターナにある王立リュンヌ騎士学園に通うことになった。
この学園は王立のとても大きな騎士学園で5年制だ。
ランクごとにクラスが分けられており、S,A,B,C,D,E,Fクラスがある。
S,A,B,Cクラスは上位クラスといわれ、制服は白地に金の装飾がされており、帯の色がそれぞれ決まっている。
上位クラスには貴族が多い。
D,E,Fクラスは下位クラスと呼ばれ、制服は白地に黒い装飾がされており、また帯の色がそれぞれ決まっている。
下位クラスには平民が多い。
俺はFクラスなので緑の帯だ。
そして明日からここに通うことになっている。
俺の勇者の力が露見しないように5年間頑張っていこうと思う。
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