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1章
2.鬼姫(改訂1/10)
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人の噂も七十五日ということわざがある。
七十五日ほどたてばどんなに出回った噂でも風化する。そんなことを言い表している。だから先日流れ始めた俺に関する噂話は絶賛校内を駆け巡る。
その噂というのもリヒト3人組を1人のエルブが圧倒したというものだ。
リヒトの間では生意気なエルブが出しゃばっていると悪いうわさが流れ、エルブの間ではリヒトをも圧倒する希望のエルブが現れたと良いうわさが流れた。
だが、この噂のおかげで正面の通りを堂々と歩いていてもリヒトに絡まれることはなくなった。だから俺は堂々と歩く。
今日も堂々と通りを歩いていると、目の前に女性がいた。帯は見えないが、白い制服には金の装飾がされているので上位生であることがわかる。
彼女は何かを探すようにあたりを見渡しているが、かがみながら探しているので制服の短いスカートの下が見えそうで仕方ない。問題になるのはいやなので目をそらしながら通過しようとする。
彼女のそばを通り過ぎようとしたときに道沿いに生えている生垣の根元に光るものを見つけた。そこに落ちていたのは丁寧な装飾が施されたクロスネックレスだった。
金属独特の眩い輝きはくすんでおらず、とても大切に扱われているのがわかる。俺はそれを拾い、先ほどの女性に話しかける。
「あの、探されているのってこちらのクロスネックレスですか?」
そういうと彼女は勢いよくこちらに振り向き、俺の持っているネックレスを確認すると口を開いた。
「感謝します!」と勢いよく頭を下げると腰まであるきれいな金髪からほのかにいい香りがする。
彼女が顔を上げると俺の制服をにらみつけるように見た。
美人がにらみつける顔はとても迫力があって怖いと聞くが、本当にその通りだと思う。
彼女の整った顔は真顔で鋭い目は俺の顔を凝視していた。そして口を開く。
「……エルブですか、これを拾っていただいたことに感謝はしますが、貴方みたいな間抜け物は見るのも嫌です」
そんなことを言われた。
彼女の帯は赤。つまりはSクラス。セレーネと呼ばれる存在だ。
その美人はしばらく俺をにらみつけた後寮の方向へ歩いていく。その後姿を俺はずっと見ていた。
彼女はそのまま歩いていくのだが、なぜか何もないところでこけた。パンツが丸見えだ。
意外にドジなんだなと思った。
彼女はすっと立ち上がると赤面しながら俺の方へ早歩きしてきた。
「見ましたね!?正直に言いなさい」
「えっあっ」
「問答無用です。私は1年Sクラス所属セラ・アルトリアは貴方に決闘を申し込みます」そういいながら腰にかかっているロングソードを抜く。
「んな理不尽な」
そうつぶやくと彼女はせかすように言う。
「はやくなさい」
「拒否はできませんよね」
「それは不許可です」
仕方ないので受けることにする。手を抜けばそこまで話題にはならないだろう。
「1年Fクラス所属ルーナ・スルスは決闘を承諾します」
俺も腰に下がっているロングソードを抜く。
すると2人の体が光り、防御膜が展開される。
校内での決闘の際に当事者へのダメージを1回に限り完全に無効化するものだ。
そうして互いに構える。
「そちらから来てください」
やれやれ、面倒くさいことになった。
そんなやり取りをしている間に周囲から人が集まってきた。
目立ちたくないのに……。
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早速お気に入り100件ありがとうございます!
今後も頑張って執筆をしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします!
七十五日ほどたてばどんなに出回った噂でも風化する。そんなことを言い表している。だから先日流れ始めた俺に関する噂話は絶賛校内を駆け巡る。
その噂というのもリヒト3人組を1人のエルブが圧倒したというものだ。
リヒトの間では生意気なエルブが出しゃばっていると悪いうわさが流れ、エルブの間ではリヒトをも圧倒する希望のエルブが現れたと良いうわさが流れた。
だが、この噂のおかげで正面の通りを堂々と歩いていてもリヒトに絡まれることはなくなった。だから俺は堂々と歩く。
今日も堂々と通りを歩いていると、目の前に女性がいた。帯は見えないが、白い制服には金の装飾がされているので上位生であることがわかる。
彼女は何かを探すようにあたりを見渡しているが、かがみながら探しているので制服の短いスカートの下が見えそうで仕方ない。問題になるのはいやなので目をそらしながら通過しようとする。
彼女のそばを通り過ぎようとしたときに道沿いに生えている生垣の根元に光るものを見つけた。そこに落ちていたのは丁寧な装飾が施されたクロスネックレスだった。
金属独特の眩い輝きはくすんでおらず、とても大切に扱われているのがわかる。俺はそれを拾い、先ほどの女性に話しかける。
「あの、探されているのってこちらのクロスネックレスですか?」
そういうと彼女は勢いよくこちらに振り向き、俺の持っているネックレスを確認すると口を開いた。
「感謝します!」と勢いよく頭を下げると腰まであるきれいな金髪からほのかにいい香りがする。
彼女が顔を上げると俺の制服をにらみつけるように見た。
美人がにらみつける顔はとても迫力があって怖いと聞くが、本当にその通りだと思う。
彼女の整った顔は真顔で鋭い目は俺の顔を凝視していた。そして口を開く。
「……エルブですか、これを拾っていただいたことに感謝はしますが、貴方みたいな間抜け物は見るのも嫌です」
そんなことを言われた。
彼女の帯は赤。つまりはSクラス。セレーネと呼ばれる存在だ。
その美人はしばらく俺をにらみつけた後寮の方向へ歩いていく。その後姿を俺はずっと見ていた。
彼女はそのまま歩いていくのだが、なぜか何もないところでこけた。パンツが丸見えだ。
意外にドジなんだなと思った。
彼女はすっと立ち上がると赤面しながら俺の方へ早歩きしてきた。
「見ましたね!?正直に言いなさい」
「えっあっ」
「問答無用です。私は1年Sクラス所属セラ・アルトリアは貴方に決闘を申し込みます」そういいながら腰にかかっているロングソードを抜く。
「んな理不尽な」
そうつぶやくと彼女はせかすように言う。
「はやくなさい」
「拒否はできませんよね」
「それは不許可です」
仕方ないので受けることにする。手を抜けばそこまで話題にはならないだろう。
「1年Fクラス所属ルーナ・スルスは決闘を承諾します」
俺も腰に下がっているロングソードを抜く。
すると2人の体が光り、防御膜が展開される。
校内での決闘の際に当事者へのダメージを1回に限り完全に無効化するものだ。
そうして互いに構える。
「そちらから来てください」
やれやれ、面倒くさいことになった。
そんなやり取りをしている間に周囲から人が集まってきた。
目立ちたくないのに……。
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早速お気に入り100件ありがとうございます!
今後も頑張って執筆をしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします!
応援ありがとうございます!
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