運命

I have no name

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思い出の中に

何気ない会話の中でバタリ

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「ただいまー」
「もう、晩御飯の準備はできてますよ」
 十月十七日、いつもより仕事が長引き、夜遅く帰ってくると、俺の妻である十倉神奈とくらかんなはいつも通りに夫である俺を迎えてくれた。

 神奈とは、高校の時からの付き合いで籍を入れたのは半年前だ。とてもきれいな顔つきで、高校のころから、男子の注目の的だった。付き合い始めてから、やけに男子との距離が遠くなる気がしたが、神奈の横にいられるだけで幸せだった。


 ふと、食卓の上で話しながら、高校時代を思い出していた。



 何気ない日常の中の会話が進んでいく。
 そんな時、いきなり頭につよい衝撃が走った。体が倒れる。その間、一瞬だけ神奈と目が合った


 その瞬間、頭の中で映像が流れた。そして、誰かがこう言った。



「『運命』には抗えない」



「そんなことない」

 俺は確かにそう言った。
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