運命

I have no name

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見えたのは

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 俺は、その光景の結末を見ることなく、学校に向け、全力で走り出していた。
 その結末は見なくともわかっていた。

「ありえない。そんなことが、、あり得ない。」

 走りながら、出雲はそんな独り言を言っていた。

 焦っていたせいか、学校に着いたのは始業時間の5分前だった。
 教室に着くと、弥生が昨日と同じように
「どうした?顔色が昨日より悪いぞ。」
と聞いてきたが、
「何でもない。」
と、本心を隠しながら言った。

 このとき、
 こんなときに、クラスの人気者なら、「俺、今日通り過ぎた人が車に轢かれる夢見てさ、そしたらほんとにそれが起きたんだよ。」
と、周りの狐達に聞かせて、驚かせていたのだろう。

 と、出雲は思っていた。
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