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第一章

担任・ガルド

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俺達は体育館で入学式を終えると、校舎に向かった。
一言で言うと校舎はとても綺麗だった。

白いペンキに剥がれている様子も無く清潔そうで、大きさは端から端まで体力強化でずっと全速力で走っていても一分は掛かりそうだ。
しかも、上から見ると正方形らしい。幼稚園から大学まであるんだと言う。

校舎の中に入り高等部の教室、一のBまで来た。

「おぉ~ここが教室かぁ~で、担任は誰だろうな?」
「さ、さぁ、でもあんまり期待しない方がいいと思うぜ」

ジルは担任の説明の時寝ていたのでガルドさんだとは知らない。
教える事はとても残酷なことだ。
やめておこう・・・
今は少しでも担任へ期待しないように言葉をかけることしか出来ない。

ちなみにここまでは学生証の一ページ目をみろとの説明があったためページを開くと地図が載っていた、なので自力で来た。これは地図を見て利用できるかを調べる為だという

教室に入ると俺達が一番乗りだった。黒板には、雑な文字でこう書いてあった

『テキトーに座って待っとけ』

「アッハッハー、何だこの文字?下手にも程があるだろ~誰が書いたんだよ~」

ジルが笑いながら言っていると扉が開きガルドが出て来た。
ジル・・・さよなら。ガルドさんを怒らせちゃった君の勇姿は忘れないよ・・・

「その下手な文字は俺が書いたんだが?」
「……え?」

聞き覚えのある声に震えながら振り向くジル。

「え!?何でガルドさんが学校に!?!?」
「担任が自分の教室に来ちゃワリイか?」
「え?ガルドさんが担任?冗談はやめてくれよ~」
「お前、入学式の挨拶聞いてなかったのか?」
「え?ガチなのクロ?」

俺は頷く、するとジルから笑顔が消え、血の気が顔から消えていった。

「これからよろしくな、ジル」

ガルドさんが口は笑顔、目が本気の顔で言った。
ジルはただ、頷くしかなかった。

「・・・はい」
「(ふふっ♪面白い学園生活になりそうだね♪)」
「そういえば、ガルドさん教員免許は?」

俺がさっきから気になっていたことを聞く

「何となく取った」

・・・王都の教員免許って条件厳しかった気が・・・

「とりあえず席座っとけ」
「ウィーっす」
「はーい」
「(あ!私窓際がいい!)」

リンがそういうので、おそらく昼寝目的だろう。
日当たりがこの教室は良いからな。

「クロ!後ろにしようぜ!」

ジルの意見とリンの意見を合わせて一番後ろの窓際に座った。
それから数十分後に三十人全員が揃った
するとガルドさんが話を始めた

「よし揃ったなじゃあ全員自己紹介をしてもらう、まず俺はガルド属性は火だ、よろしく頼む」

次々と自己紹介を行う中で気になる人物がいた

「シャル・カシエルです属性は火と水です。よろしくお願いします」

クラスがざわついた

「マジか!?属性二つ持ち!?」

「ヤベー属性二つ持ちの上に可愛いとか反則だろ・・・」

「ハァハァ、いいね~食べ頃じゃぁ~ん」

・・・一人いちゃダメな奴いた。
しかし、カシエルだと?俺に双子の兄弟はいないが?

「へぇ~カシエルっつったら魔法の名家じゃんなぁ?クロ」
「ん?あぁ」
「俺達みたいな家名無しの平民とは話す気も無いんだろうな~」

そうこう話してる内に俺の番になった

「クロです。属性は闇、よろしくお願いします」

俺は全属性を使えるのでとりあえず闇と言った。
クラスはざわついた。なぜなら闇属性はレアな属性だからだ。
これは間違えたかもしれない。
テキトーに闇と言ったが、目立ったらリンの事とかを調べるやつが出るかもしれない。
使い魔の授業とかあると思うし、フェニックスだとバレないようにしなければ・・・
しかし、二つ持ちよりは珍しく無いので先程よりはうるさくはならなかった。
そこは助かったな。

その次にジルも自己紹介を始めた

「ジルです、属性は光、まぁよろしく」

光属性も珍しく、闇属性と同じぐらいのレア度だ。
しかし、二つ持ちと闇属性の後だとあまり驚かれなかった。
別に俺が闇って言ったの心配する必要無かったな。
そして、後の数人も自己紹介をして全員の自己紹介は終わった。

それで1時間目は終了、入学式の後にやったのでもう昼ぐらいになっていた。
今日はは初日なので解散した。

予想通り、俺とジル以外のほとんどがシャル・カシエルを名乗った少女の周りにいた。
属性が二つ持ちだと才能も凄いはずだ。
容姿も俺から見たらクズ共の仲間でその辺りのハエぐらいの価値しか感じないが、普通の人から見たら【可愛い】らしい。

「いや~すげぇ人気だな、クロ」

遠目から見ている俺達。

俺はカシエルの家と言うだけで自然に殺気が出ていた。殺気を感じ取れない周りと違いシャル・カシエルとガルドさんは気付いていたようだ。

ジルも分かっているようだが気付いていない振りをしていた。

「ジル、気付いてるんだろ?」
「・・・・・・じゃあ聞くが何をそこまで殺気だっているんだ?」

近寄ってきたガルドさんがジルを止めた

「ジル、多分何かの事情があるんだ。聞くな」
「ガルドさん、事情って?」
「馬鹿やろう、先生と呼べ、・・・クロ、何かあるのは分かるが今は抑えろ」

ガルドさ・・・先生に言われ落ち着いた。
やっぱり殺気を止めるのは難しいが、止めないと色々面倒ごとに巻き込まれそうだから頑張って止めなければ・・・

「・・・はい」

◆◇◆◇◆放課後・帰宅途中◆◇◆◇◆

「広い・・・何で校舎の門から学校の門までこんなに距離があるんだ・・・」
「(クロ!気持ちはわかるけど頑張ろ!)」
「じゃあ、気持ちがわかるなら出て来てその気持ちを感じてくれよ」
「(えぇ~やだ~)」

俺がリンと話してるとジルが心配そうな目で聞いてきた

「おい、幻覚でもみえんのか?」
「いや。リンと話してたんだ」
「あぁ~あの子か~そういえば、その子は何の種族何だ?」

……言えない……この国の象徴不死鳥・フェニックス何て言えない……

「いや、言ったら腰が抜けると思うから言えない」
「なるほど~メッチャ気になるな」
「いつか分かるから今は謎って事で」
「へいへい、じゃあ属性は何で嘘をついたんだ?」

やはり気付かれていたか……光属性は探知が上手いと聞く、しかし俺の属性まではわからないはずだ。
けれどそれも時間の問題だろう。
今だけ隠して意味が無いな。

「ジルには敵わないな、じゃあ言うよ」

俺はジルに全魔法適性者と言った。
もちろん、カシエル家のことは言わない。

「あ!なるほど!だからこんなに探知が曖昧な答しか出てこないのか」

普通に信じるのに俺は驚いた。その顔を見たジルは何かを納得した様子だった。

「なるほど、クロお前、信じる奴がいないと思ってあえて闇って言ったんだな?」
「それもあるけど、知られても国に仕えろとか何か面倒なことが起きそうでならないんだよ、あとは・・・目立ちたくないだけだな」

「オーケー、俺もこの話は誰にも言わないでおこう」
「俺は良いルームメイトを持ったな、ありがとな」
「・・・クロ、お前男色家なのか?」
「・・・殴るぞ?」

そんな話をしてるともう少しで寮に着きそうな所まで来た。
そこで後ろから声をかけられた。

「待って!」

後ろを振り返ると、そこにはシャル・カシエルの姿があった・・・
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