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――18日目

135.『夜の時間(1)』

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 ――――PM20:55、会議室

間宮 果帆
「き、きゃああああああ!!」

千景 勝平
「く…………くぅぅ…………」

竜崎 圭吾
「ううううう、なんなんだよぉおおお!
 なんでこんなことになっちまったんだよぉおぉおお…………」

本堂 空太
(…………絶命した和歌野は、血塗れだった。
 ちょうど背中を斜め切りにされ、鮮血が吹き出した。
 ……勝平と、竜崎と、果帆は、返り血を浴びていた。
 …………果帆が、こんな女の子みたいな悲鳴をあげるなんて……。
 余程、ショックだったんだろう)

白百合 美海
「う、うぅぅぅ…………果帆…………」

間宮 果帆
「美海…………み、み…………、
 あた、し…………サキ……サキを…………」

白百合 美海
「うん…………うんっ、あたしも、
 許せな、かった…………。
 花菜があんなに大切にしてた、サキちゃんを…………」

間宮 果帆
「くふっ……ううぅ…………くっ……」

本堂 空太
(白百合が果帆を抱き締めようとした。
 …………が、果帆は、拒絶するような素振りを見せた)

間宮 果帆
「ダメだ…………服が、汚れるだろ…………」

白百合 美海
「そんなのいいっ、いいのっ」

本堂 空太
(白百合は果帆を抱き締めた。
 ……俺も、すぐにでも果帆のそばに寄って、そうしてやるべきなんだろう。
 …………でも、今回の処刑はあまりに凄惨すぎた。
 今までは、スタンバトンで気絶させた後の首吊りだった。
 それはそれで、色々出ちゃったり、ひどい有り様だったけど、ここまでショッキングではなかった。
 …………血。鮮血が、脳裏にこびりついた)

千景 勝平
「はあ…………はあ…………はあ…………」

本堂 空太
(勝平は…………刀を降り下ろしたまま、荒い呼吸を繰り返していた。呆然と、和歌野を見下ろしていた。
 竜崎は、転がり回って嘆き喚いていた)

乃木坂 朔也
「…………勝平」

本堂 空太
(朔也が勝平に駆け寄った。
 …………硬く、硬く握り締めていた血塗れの日本刀を、すこしずつ指から引き離してやった)

千景 勝平
「乃木坂…………俺、俺…………女の子を……こんな殺し方しちまった……」

乃木坂 朔也
「……………………」

千景 勝平
「ちくしょう…………犯人、誰なんだよぉ…………」

本堂 空太
(勝平は崩れ落ちた。
 その勝平の背中を、朔也は無言で何度も擦ってやっていた…………)





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