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第六章

スライムが服の中に侵入してエロい事に

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「えい!」「えい!」「えい!」
 地下道の前方で、ミールの分身たちミールズが黄色い声を張り上げながら、巨大スライムめがけて塩を投げつけていた。
 スライムも、たまらず後退していく。
 時折、触手を延ばして分身をからめ取ろうとするが、分身達の着ている服にも塩を塗りたくってあったので、服に触れた瞬間、熱湯にでも触れたかのにように触手を引っ込ませていた。
「こいつを作る必要は、無かったかな?」
 液体窒素噴霧器を手に取ってみた。
 塩だけでは不安なので、念のためプリンターで作っておいたのだ。
「カイトさん。右からスライムが!」
 右の岩壁の隙間からスライムが染み出してくるところだった。
「うおお!」
 咄嗟に噴霧器を岩壁に向けてトリガーを引く。
 噴霧器から、液体窒素が霧状に吹き出して、スライムに降り注いだ。
 たちまちの内に、スライムは凍り付いていく。
 やはり作っておいてよかったか。
「こんな狭い隙間からも出てくるのか? 油断も隙もないな」
 ミール(本体)の方を見ると、床から忍び寄ってきたスライムに液体窒素を吹き付けていた。

 前回の偵察から、再び地下道に入るまで二日かかってしまった。
 地下道の入り口から、タンクの場所までたどり着いて戻ってくるのに必要な塩の量を計算したところ、五十キロ近く必要と分かったのだ。
 塩湖から持ってきた塩は、もうほとんど残っていない。
 近くにある岩塩鉱山まで行って調達してくるのに、それだけ時間がかかってしまったのだ。

 岩塩鉱山から戻ってくる車の中で、ミールはアンダーの分身を操って城内に送り込んでいた。内部の様子が少しでも分かればと思ったのだが、あまり成果を上げられないうちに分身を見破られてしまった。まあ、それはたいしたことではない。これは今回の計画の複線だったのだから……

『ご主人様、電波が弱くなってきました』
 通信機から聞こえるPちゃんの声には、多少ノイズが混じっていた。
 ディスプレーに表示されている電波状態を見るとアンテナが二本になっている。
 この表示は僕が日本にいた頃の携帯の表示と変わらない。
「分かった」
 ミールの方を向いた。
「ミール。ちょっとだけ、ここで待っていてくれ」
「はーい」
 僕は、電波状態を見ながら地下道を引き返す。
 アンテナが三本になったところで、ショルダーバックから電波中継器を取り出して地下道の壁に設置した。
 ミールの待っているところへ戻ってみると……
「はううう!」
 妙な声を上げてミールが蹲っている。
「ミール! どうした!? 」
「カイトさん……スライムが……」
「なに?」
 噴霧器を構えて、周囲を見回した。
 しかし、スライムは何処にもいない。
「ああん……ダメ! そんなところに……ああ!」
 ミールがいっそう苦しみ……いや、なんかちょっと違うような……
「ミール……スライムは何処?」
「ふ……服の中に……」
「なにい!」
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