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13.アラム
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騎士団長と、そう紹介された少年は決して筋肉隆々の大男でもなく、寧ろ痩せ気味の線の細い身体つきだった。
そしてその顔は精悍と言うよりも可愛らしい、そう表現した方が良いような作りで、腰につけられた業物と一目でわかるふた振りの剣も、そして魔導服さえも明らかに彼から浮いている。
しかし私とメルは彼から発せられる威圧感に、そのふた振りの剣は決して見掛け倒して無いことを悟る。
「初めまして、騎士団長様。本日付けで副騎士団長に任命されたアンネ・ハートフルです」
そして私は少年に頭を下げ、ややオーバーな挨拶をしながら考える。
この少年があの時、つまり冒険者らしき男との戦いの時隠れていたとしたら私は分かっただろうか如何かと言うことを。
それは未だ出会ってすぐの今ではまだ分からない。
確かに少年はかなりの実力を持っているだろう。
だが、私が気づかない程かはまだ一切分からない。
この短時間ではどうやったてそんなこと分かるはずが無いのだ。
ーーーしかし私は今から短時間で目の前の少年から真実を書き出さなければならない。
「よろしくお願いします」
そして私は内心、そう必死にこの少年からどうやって真実を聞き出すか、そう考えながらもそれを表には出さず少年に笑いかける。
メルも私の考えを悟り、邪魔にならないようにと気を使って口を閉じる。
その瞬間、私とメルの間に緊張感が漂う。
それは決して目の前の少年に気づかれないような、だが私とメルだけにははっきりと分かる緊張。
「あぁ、よろしく。アンネだっけ?確かに女が騎士団に入ることは初めてらしいし、その他にも色々と心配なことはあるだろう。だが気にせずこの俺、アラムについて来い。
ーーーそう、この天才に」
「はっ?」
だが次の瞬間その私達の緊張は、目の前の少年の突拍子のない言葉により霧散することとなった………
少年、アラムの天才宣言に一瞬私は呆気に取られたが、すぐにまた情報を聞き出すためにアラムへと丁寧な態度を続けていた。
「お前の親父失脚したんだって?情けねぇなぁ。俺だったらもっと上手くやれたぜ!」
「っ!は、はぁ」
ーーーだがもうそろそろ私の堪忍袋の限界だった。
アラムは苗字を持っていない、つまり平民だった。
そしてアラムは平民でありながら騎士団長に成り上がった正に天才とそう呼んでも良い才能を有していた。
確かにそれ自体は素直に誇って良いことなのだろう。
だが、アラムは余りにも大きな才能を持ったせいか、それとも成り上がった平民として貴族に目の敵にされたせいか、余りにも人の心情を測るのが苦手だった。
「お前の親父もせめて俺の半分の才能があればな!」
「ぐっ!あ、あはは……」
ーーー具体的には父親の話が始まってから私の顔が明らかに引き攣っているのに全く気づかないほど。
私は今すぐにアラムを殴り飛ばしてこの場を後にしたい衝動に駆られる。
だが、そんなことが今出来るはずもなく私は拳を強く握りしめて何とか耐える。
今までアラムと話していた私は、
「アンネはかなり大柄な男を倒したんだって?かなり強いんだな!」
と言う明らかに周りから聞きましたと言外に表しているアラムの一言に、アラムが決闘の時に隠れていたいたわけでは無いことに気づいている。
だが、アラムが決闘の時に張り込んでいた人間でないのならば私はアラムが何処から私が決闘を勝利したと言うことを聞いたのか知らなくてはならない。
しかし、もうそろそろアランの話を聞く苦痛に私が限界を感じ始めていた。
何せアラムが今までしてきた話の殆どは自分の自慢話なのだ。
しかも、私の身内をディスりながらの。
恐らくアラムには悪気はない。
だが、それでも私のうちには苛立ちが溜まって来ている。
「そうだ何か俺に言いたいこととかない?」
そしてその時だった。
奇跡的にアラムがそう私に問いかけたのは。
「あ、あります!少し騎士団長に聞きたいことが!」
私は少しアラムのことを見直しながら、そう身を乗り出して、
「ごめん、やっぱ無理」
「はっ?」
そのアラムの言葉に動きを止めた。
そしてその顔は精悍と言うよりも可愛らしい、そう表現した方が良いような作りで、腰につけられた業物と一目でわかるふた振りの剣も、そして魔導服さえも明らかに彼から浮いている。
しかし私とメルは彼から発せられる威圧感に、そのふた振りの剣は決して見掛け倒して無いことを悟る。
「初めまして、騎士団長様。本日付けで副騎士団長に任命されたアンネ・ハートフルです」
そして私は少年に頭を下げ、ややオーバーな挨拶をしながら考える。
この少年があの時、つまり冒険者らしき男との戦いの時隠れていたとしたら私は分かっただろうか如何かと言うことを。
それは未だ出会ってすぐの今ではまだ分からない。
確かに少年はかなりの実力を持っているだろう。
だが、私が気づかない程かはまだ一切分からない。
この短時間ではどうやったてそんなこと分かるはずが無いのだ。
ーーーしかし私は今から短時間で目の前の少年から真実を書き出さなければならない。
「よろしくお願いします」
そして私は内心、そう必死にこの少年からどうやって真実を聞き出すか、そう考えながらもそれを表には出さず少年に笑いかける。
メルも私の考えを悟り、邪魔にならないようにと気を使って口を閉じる。
その瞬間、私とメルの間に緊張感が漂う。
それは決して目の前の少年に気づかれないような、だが私とメルだけにははっきりと分かる緊張。
「あぁ、よろしく。アンネだっけ?確かに女が騎士団に入ることは初めてらしいし、その他にも色々と心配なことはあるだろう。だが気にせずこの俺、アラムについて来い。
ーーーそう、この天才に」
「はっ?」
だが次の瞬間その私達の緊張は、目の前の少年の突拍子のない言葉により霧散することとなった………
少年、アラムの天才宣言に一瞬私は呆気に取られたが、すぐにまた情報を聞き出すためにアラムへと丁寧な態度を続けていた。
「お前の親父失脚したんだって?情けねぇなぁ。俺だったらもっと上手くやれたぜ!」
「っ!は、はぁ」
ーーーだがもうそろそろ私の堪忍袋の限界だった。
アラムは苗字を持っていない、つまり平民だった。
そしてアラムは平民でありながら騎士団長に成り上がった正に天才とそう呼んでも良い才能を有していた。
確かにそれ自体は素直に誇って良いことなのだろう。
だが、アラムは余りにも大きな才能を持ったせいか、それとも成り上がった平民として貴族に目の敵にされたせいか、余りにも人の心情を測るのが苦手だった。
「お前の親父もせめて俺の半分の才能があればな!」
「ぐっ!あ、あはは……」
ーーー具体的には父親の話が始まってから私の顔が明らかに引き攣っているのに全く気づかないほど。
私は今すぐにアラムを殴り飛ばしてこの場を後にしたい衝動に駆られる。
だが、そんなことが今出来るはずもなく私は拳を強く握りしめて何とか耐える。
今までアラムと話していた私は、
「アンネはかなり大柄な男を倒したんだって?かなり強いんだな!」
と言う明らかに周りから聞きましたと言外に表しているアラムの一言に、アラムが決闘の時に隠れていたいたわけでは無いことに気づいている。
だが、アラムが決闘の時に張り込んでいた人間でないのならば私はアラムが何処から私が決闘を勝利したと言うことを聞いたのか知らなくてはならない。
しかし、もうそろそろアランの話を聞く苦痛に私が限界を感じ始めていた。
何せアラムが今までしてきた話の殆どは自分の自慢話なのだ。
しかも、私の身内をディスりながらの。
恐らくアラムには悪気はない。
だが、それでも私のうちには苛立ちが溜まって来ている。
「そうだ何か俺に言いたいこととかない?」
そしてその時だった。
奇跡的にアラムがそう私に問いかけたのは。
「あ、あります!少し騎士団長に聞きたいことが!」
私は少しアラムのことを見直しながら、そう身を乗り出して、
「ごめん、やっぱ無理」
「はっ?」
そのアラムの言葉に動きを止めた。
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