夢=無王吽

夢=無王吽

『むもん』と読みます。

空っぽの主張。

ひとはなにかを誰かに伝えるとき、
「本当に」
という言葉をつい挟みたくなります。

本当に、ありがとうございました。

本当に、幸せです。

本当に、楽しかったです。

本当に、本当に、本当に。

でもなぜかこれ、
言えば言うほど嘘くさくないですか?
いやたぶん、
ぼくも言っちゃってると思いますが、
あ、言っちゃったと後で罪悪感を覚えます。

なんでしょう、この感じ?
ずっと長いこと、解けない謎でした。

言うのも、言われるのも、
言っているのを見るのも、
なんか気持ち悪い。嘘に思える。

たぶん、一回に凝縮した「本当に」は、
「心より」の意味だと思います。
重要性の強調といいますか。
念押しといいますか。

で、「本当に」が、
「そして」とか「また」のように、
すごくたくさん挟まるひとが、
言うほど信用できないのはたぶん、
意味が薄まるだけでなく、
もしかして別の意味が、
含まれてしまうのではないか。

映画の舞台挨拶とか、ライブMC。
謝罪会見や選挙の勝利宣言
結婚式のスピーチも多いですよね。
「本当に」が挟まる数。

緊張するほど本心が表出するのか、
逆に本心が口だけになっていくのか。
もし本心のままなのだとしても、
こうまで嘘臭く感じるからには、
意味が少しずつ変わっていくのではないか。

「そうあってほしい」
みたいな意味がまず足され、
つかえばつかうほど、
「あなた次第だけど」
がさらに足されるのではないかと。

「重要なこととして」
から、「本当に」が増えるほどに、
「そうあってほしい」になり、
「そう思ってほしい」になり、
言葉の責任の所在が自分から離れていき、
何度も言い過ぎでは? と誰もが思うとき、
「あなたしだいで」まで、
責任の重心が移るのではないか。

〈私→私だけど貴方も→私と貴方→貴方〉
って感じで。

楽しいけど、嬉しいけど、
また会いたいけど、
感謝してるけど、結婚したいけど、
尊敬してるけど、本当だけど、
その気持ちがずっと同じかは、
〇〇次第です。
〇〇に入るのは、〈〉の順で変化する。

「私はそう思うし、
そう思う責任は当然私にある」
から、「あなた次第ですが」
へ向けてグラデーションする。

という説を、
たった今思いついたので書いてみました。

本当に本当に本当に本当に本当に、
本当ぉーに!!
この説は本当だと思います笑。
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登録日 2022.09.26 20:12

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