「僕のΩ~」ホワイトデーSS その1
前にアップしたバレンタイン小ネタのアンサー的なお話しです。
~~ホワイトデーの攻防~~
「お疲れ様です~」
その日、事務所のアルバイトである前島が妙に大きな紙袋を持って出勤してきた。
「これ、ホワイトデーです。みなさんどうぞ」
紙袋の中身を事務所内の男性も女性も全員にサクサクと配っていく。いかにも手作りっぽいラッピングに入っているのはクッキーとマシュマロだ。そこそこの規模の税理士事務所なので、その数もかなりのものになっている。
「貰ったものに不義理をするなって、僕のパートナーに言われて。あと日ごろの感謝も込めてって、用意してくれたんです」
「へぇ、気の利いたツレだなぁ。お、美味い」
事務所の所長の男性が受け取ったクッキーを嬉しそうに頬張っているのを横目に、前島の先輩であり、彼をこのバイトに引っ張って来た女性社員は「おお怖」と呟いていた。
本人はαであることを隠したがっていたようだが、αにはαがわかる。αである彼女は教授に呼ばれて母校に顔を出した際に、この前島を見つけて唾をつけたというわけだ。我ながらいい仕事をしたと思っている。早期の独立を目指しているらしいが、独立しても横のつながりを持っていることは、いざという時に備えて大事である。
その前島であるが、一か月前のバレンタインに、αに憧れる新人女子とその仲間たちが彼を囲んでチョコレートを押し付けたのを知っている。明らかに義理ではないレベルのチョコレートだったので、彼のパートナーは心中穏やかではなかっただろう。新人女子は略奪愛を企てたようだが、その逆襲が今である。
顔を引きつらせている新人女子と仲間たちをチラ見しつつ、女性社員も貰い物のラッピングを開けて、パクリと食べる。
「ウマっ!」
クッキーはサクサクのホロホロで、マシュマロも程よい弾力で美味しい。味的にはなかなかのクオリティの高さの中に、時々歪な形のものがある。それにラッピングが見るからに手作りなのは、わざと「素人の手作り」感を出しているのかもしれない。
「反撃が決まったな」
というか、怖い相手に喧嘩を売ったもんだ。
~~ホワイトデーの攻防~~
「お疲れ様です~」
その日、事務所のアルバイトである前島が妙に大きな紙袋を持って出勤してきた。
「これ、ホワイトデーです。みなさんどうぞ」
紙袋の中身を事務所内の男性も女性も全員にサクサクと配っていく。いかにも手作りっぽいラッピングに入っているのはクッキーとマシュマロだ。そこそこの規模の税理士事務所なので、その数もかなりのものになっている。
「貰ったものに不義理をするなって、僕のパートナーに言われて。あと日ごろの感謝も込めてって、用意してくれたんです」
「へぇ、気の利いたツレだなぁ。お、美味い」
事務所の所長の男性が受け取ったクッキーを嬉しそうに頬張っているのを横目に、前島の先輩であり、彼をこのバイトに引っ張って来た女性社員は「おお怖」と呟いていた。
本人はαであることを隠したがっていたようだが、αにはαがわかる。αである彼女は教授に呼ばれて母校に顔を出した際に、この前島を見つけて唾をつけたというわけだ。我ながらいい仕事をしたと思っている。早期の独立を目指しているらしいが、独立しても横のつながりを持っていることは、いざという時に備えて大事である。
その前島であるが、一か月前のバレンタインに、αに憧れる新人女子とその仲間たちが彼を囲んでチョコレートを押し付けたのを知っている。明らかに義理ではないレベルのチョコレートだったので、彼のパートナーは心中穏やかではなかっただろう。新人女子は略奪愛を企てたようだが、その逆襲が今である。
顔を引きつらせている新人女子と仲間たちをチラ見しつつ、女性社員も貰い物のラッピングを開けて、パクリと食べる。
「ウマっ!」
クッキーはサクサクのホロホロで、マシュマロも程よい弾力で美味しい。味的にはなかなかのクオリティの高さの中に、時々歪な形のものがある。それにラッピングが見るからに手作りなのは、わざと「素人の手作り」感を出しているのかもしれない。
「反撃が決まったな」
というか、怖い相手に喧嘩を売ったもんだ。
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登録日 2025.03.14 09:17
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