縫

 読んでいただく、楽しんでいただく、評価していただく。  文章書きは戴いてばかりです。  古の角川学園小説大賞最終選考候補者の亡霊。学園小説大賞応募者は全員戦友だと思ってる。普段新人賞応募してます。

蟹座が可哀想だった話

 聖闘士星矢の話ではない。
 蟹座のデスマスクは一切関係ないのだ。

 巨蟹宮(きょかいぐう)というなかなか強そうな正式名だが、そのルーツを知っているだろうか?

 実はかのヘラクレス12の試練に由来する。 

 え? カニなんて出たっけ?
 という人は正しい。
 ヘラクレス12の試練に蟹の化け物退治などは存在しない。

 ではどういうことかといえば、第二の試練であるレルネのヒドラ退治に蟹が登場するのだ。


 私は星座にまつわる本が好きで、よく小学校の図書室に通い、繰り返し星座の物語を読んでいたが、そのなかでもヒドラ退治を何度も読んだ。

 蟹が可哀想でなんとかならないのか、という一念である。

 話の経緯はこうだ──

 ヒドラ退治の最中に、ゼウスの妻ヘラはヘラクレスの暗殺を目論む。
 ヘラクレスはゼウスが浮気してできた子だから、ヘラは隙あらば殺したくて仕方がない。
 体よく沼には巨大な蟹が住んでいた。ヘラはその蟹にヘラクレス暗殺を命じる。

 タイミングよく襲いかかり、気を散らせばヒドラの毒でイチコロ作戦を計画したのだ。

 来るヘラクレスとヒドラの死闘の最中、ヘラは蟹にいざ行けと号を発し、ヘラ様のためならばと巨大蟹はヘラクレスに襲いかかるが、なんと横目で見たヘラクレスから踏まれて巨大蟹は呆気なく逝った。

 登場から死まで一秒くらい。
 蟹、お前何で出てきたんか、という気持ちが苦しかった。

 幸いヘラ様は忠義を尽くした巨大蟹を憐れんで星座にしてくれたという。

 ヘラ様優しい。


 しかしどう考えても無駄死にである。
 ヘラ様が命じたんだからヘラ様のせいだということもあるが、巨大蟹の忠義は別問題で誉められるべきだろう。

 私は無駄死は嫌だが。

 この蟹が可哀想で、読む度になんとかならんのかなと思っていた私なのだった。

 因みにワクワクして魚座の話を読んだ時の複雑な心境は、聖闘士星矢のテレビ再放送で魚座のアフロディーテを観た時と同等だった。

 なぜ魚座と蟹座はこうも不遇なんだろうか? 水宮に恨みでもあるのかよ……。

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登録日 2026.08.11 22:52

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