2
件
広域暴力団若頭補佐、大友実高(オオトモ・サネタカ)。
「理詰めの極道」と恐れられた男は、信頼していた身内の裏切りにより、その生涯を閉じた――はずだった。
目覚めれば、見知らぬ大草原。若返った肉体。
だが、背中に背負った「代紋(ケジメ)」は消え失せていた。
地位も、名誉も、看板もない。あるのは、染み付いた「暴力の作法」と、脳内に響く無機質なシステム音だけ。
『条件達成。対象を【外道】と認定します』
親殺し、身内殺し、仁義外れ。
人の道から外れた「外道」を狩るたび、男は強くなる。
そこは、魔法が「戦略兵器」として厳重に管理され、魔物が「害獣」として駆除される、乾いたリアリズムの異世界。
便利な冒険者ギルドもなければ、甘い英雄譚もない。
あるのは、金と暴力、そして商機(シノギ)だけ。
「なら、やることは変わらねぇ」
胡散臭い商人・アンドリオと共に、元・極道は異世界の闇を闊歩する。
これは、淡い昭和の匂いを纏った男が、異世界に「スジ」を通す物語。
文字数 7,774
最終更新日 2025.12.11
登録日 2025.12.06
おや、これは珍しい。
また一人、迷い人……いえ、閲覧希望のお客様ですか。
ようこそ、**『御伽憎紙百鬼夜香(おとぎぞうしひゃっきやこう)』**へ。
私は当店の主であり、しがない執事でございます。
当店では、皆様の心に巣食う「晴らせぬ怨み」「許せぬ理不尽」……いわゆる**『憎紙(ぞうし)』**を買い取らせていただいております。
法で裁けぬ悪党、理不尽な暴力、言葉の刃。
それら全て、私が一本のタバコとして巻き上げ、紫煙と共に空へ還しましょう。
代償として彼らに与えるのは、死刑よりも残酷な**『禁止』**の刑。
「死ぬこと」を禁じ、「五感」を禁じ、「嘘」を禁ずる――。
罪の重さが天秤を揺らす時、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の法廷が開かれます。
……おや? 私が何者か、気になりますか?
フフ。私もまた、かつて電子の海に捨てられた**「未完の物語」の成れの果て**。
忘れ去られる痛みを知る私だからこそ、貴方の怨みの香りが、よく分かるのです。
さあ、どうぞ中へ。
扉は既に、開いておりますよ。
文字数 5,160
最終更新日 2025.12.09
登録日 2025.12.07
2
件