八木山

八木山

運命

私の携帯は、多分かなり古い機種のものだ
学生時代から買い換えた記憶がないのだから

片手にすっぽり収まるサイズで、嫌なところと言えばいつのまにかイヤホンジャックが死んでいるくらいのもので、画面の傷を防止するシートも、ケースもつけずにここまでやってきたが、目立った傷もない
(これが密かな私の自慢である)

電車で座っていたら、目の前に立った人が、同じ機種の色違いのスマホを持っていた

ぎょっとした
悪いと思ったが、まじまじと見てしまった

ケースをつけていない、むき出しのままで、見たところ傷もない

見た目も同じくらいの年齢のその人は、やはり私と同じような丸フレームのメガネをかけている


運命という単語が頭をよぎった



...そのすぐ後に、隣に立っていた無愛想な男が、その手を引いて席に座るまでは

人生そんなもんだよな


ここまで書いていて思うのは、やっぱり嘘松みたいだよなぁ
コメント 0
登録日 2025.02.08 12:55

コメントを投稿する

1,000文字以内
この記事に関するコメントは承認制です

ログインするとコメントの投稿ができます。
ログイン   新規ユーザ登録

0

処理中です...

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。