悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ

春ことのは

文字の大きさ
10 / 34

10.

しおりを挟む
「今朝は公爵閣下はご一緒ではないの?」

「ああ、父は昨夜は王宮泊まりでね。せっかく慌てて来たのに、残念だったな」

「…何だかあまり心がこもって無さそうだけど?閣下には改めてご挨拶に伺うよ」

お兄様とオリバー様の会話を、淑女の微笑みで聞くとはなしに聞く。

(お父様にご用だったのかしら。それにしても、婚約者探しについては、お父様に直接お話ししたほうが良さそうね…)

「それはそうと、今朝のエリザベス嬢はまるで月の女神の化身のようだね。淡くて触れたら消えてしまいそうだ」

「ふふふ、お口がお上手ですのね」

(分かるわ!全身黄色で薄ぼんやりしているものね)

「宵闇の君」がその美しい紺碧の瞳を艶めかせながら語る社交辞令を、適当に流しながら、ミモザソースのかかった前菜を一口食べた。 

(「お母様のお告げ」の副作用で食卓まで公爵家カラーだわ…)

「社交辞令じゃないんだけどな。ねぇ、さっきは二人で何の話をしていたの?」

「あら、何だったかしら?」

「嫁ぐのどうのと言っていたようだけど」

「…そうだったかしら」

お兄様の顔色を窺うが、黙々と食事を進めていて、助け船は出して下さらないようだ。

「王太子殿下との婚約が取り止めになったとの噂を聞いたよ、まさかもう他の誰かと、なんてことは無いよね?」

「どうなのかしら。…そういったことはお父様とお兄様にお任せしていますわ」

(いずれ王太子妃になる者として、籠の中の鳥だったわたくしに、どんな出会いがあるというのかしら…。だからこそ急いで次を探さなきゃいけないのに!)

前世の記憶を思い出して、ここが「うる薔薇」の世界だと知った時に、決めたことは2つ。

王太子殿下との婚約を阻止すること。

新しい婚約者を探すこと。

単純だけれど、別の誰かと婚姻してしまえば、物語は大きく改変されることになる。

(お兄様のお陰であっさり婚約破棄はできたものの、毒殺なんて未来はこれでもかと踏み潰して、早く安心したいわ…)

心の中でそっと作者様に手を合わせる。

(ごめんなさい、勝手に変えて…。でもそもそも第1幕ってエリザベスにひどい結末すぎるわよ!)

「色んな噂が飛び交ってるけど、理由はなに?」

「王家に関わる事ですので…」

「殿下のことが嫌いになったの?」

「まさかそんな…。殿下は素晴らしい方ですわ。(ハニトラに引っかかるけど)」

「想い人が出来ちゃった?」

「………」

高位貴族とは思えない率直な質問の嵐に絶句する。

(えーと、アプロウズ家のオリバー様ってこんな方だったかしら!?以前はお兄様のご友人として、もっと節度のある態度だったような)

「ふーん、どうやら相手はいなそうだね、もしそうならジョージも呑気に朝食の席にいないだろうし…」

オリバー様がチラッとお兄様を伺い、何やらブツブツ呟いているが、よく聞こえない。

「じゃあ、僕もエリーと呼んでいいよね?」

「は?」

「僕のことはオーリと」

「…はい?」

「じゃあ決まりね」

にっこりと蠱惑的な微笑みをするオリバー様を見て、公爵令嬢として不用意に返してしまったことに気付く。

「いいえ、あの、今のは返答ではなく…!」

「オリバー!さすがに距離をつめ過ぎだ!馴れ馴れしすぎるぞ」

(なんの冗談?…殿下との婚約がなくなったから、気軽な態度ってことかしら?早く解放されて図書室で貴族名鑑を再チェックしたいのに…) 

ようやくお兄様がオリバー様を止めてくれたのでホッとしていると、爆弾は落とされたのだった。

「だってエリーは「王家の鳥籠」から外へ出るんだろう?
なら僕のところへおいで」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが

夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。 ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。 「婚約破棄上等!」 エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました! 殿下は一体どこに?! ・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。なぜか二歳児の姿で。 王宮の権力争いに巻き込まれ、謎の薬を飲まされてしまい、幼児になってしまったレオナルドを、既に他人になったはずのエリーゼが保護する羽目になってしまった。 殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか? 本当に迷惑なんですけど。 拗らせ王子と毒舌令嬢のお話です。 ※世界観は非常×2にゆるいです。     文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。  カクヨム様にも投稿しております。 レオナルド目線の回は*を付けました。

婚約破棄、承りました!悪役令嬢は面倒なので認めます。

パリパリかぷちーの
恋愛
「ミイーシヤ! 貴様との婚約を破棄する!」 王城の夜会で、バカ王子アレクセイから婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢ミイーシヤ。 周囲は彼女が泣き崩れると思ったが――彼女は「承知いたしました(ガッツポーズ)」と即答!

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

ループした悪役令嬢は王子からの溺愛に気付かない

咲桜りおな
恋愛
 愛する夫(王太子)から愛される事もなく結婚間もなく悲運の死を迎える元公爵令嬢のモデリーン。 自分が何度も同じ人生をやり直している事に気付くも、やり直す度に上手くいかない人生にうんざりしてしまう。 どうせなら王太子と出会わない人生を送りたい……そう願って眠りに就くと、王太子との婚約前に時は巻き戻った。 それと同時にこの世界が乙女ゲームの中で、自分が悪役令嬢へ転生していた事も知る。 嫌われる運命なら王太子と婚約せず、ヒロインである自分の妹が結婚して幸せになればいい。 悪役令嬢として生きるなんてまっぴら。自分は自分の道を行く!  そう決めて五度目の人生をやり直し始めるモデリーンの物語。

婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。

久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」  煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。  その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。  だったら良いでしょう。  私が綺麗に断罪して魅せますわ!  令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?

処理中です...