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第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!
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しおりを挟む陛下のおじいちゃん達は夕食を食べて満足した後にすぐ王宮に帰って行った。
ママにもぎゅーってされた。
柔らかさも、温もりも、匂いも、やっぱり1番大好きで、いちばん安心できる。
頭に落とされたママからのキスはボクの心を落ち着かせてくれた。
ママに抱きつくと、しっかりと抱きしめてくれる。
「カイくん、おかえり。大好きよ」
その一言がすっごく嬉しい。
「ただいま、ボクもママが大好き」
そんなやり取りに、何故かアリも加わってママは右側にアリ、左にボク。
ママに抱きしめられたボクたちは、お互いに顔を見合わせてニッコニコだ。
今日は絶対にボクと一緒に寝るのっていうアリ。ボクはアリを連れてマールと一緒にボクの部屋へ。
二人でベッドに潜り込み、ちょっとだけ話をしたらいつの間にかアリはスヤスヤ寝ていて、ボクもアリの温もりに包まれていつの間にか深い眠りに落ちていった。
いちばん安心できる場所。
翌日パバに呼ばれ、ボクはパパの部屋にいる。
「バパ、ボクを呼んだでしょ、何かな?」
「ああ、呼んだのはカイトにお願いがあってな」
「なあに?」
シャツの腕をめくるパパ。
え?どうしたの?パパいつ怪我したの?
大丈夫なの?ボクが治すよ。すぐ!
「このキズを直して貰えないか?」
「どうしたの?パパ。怪我してる。いつ?なんで?大丈夫なの?」
「ああ、痛いけどな」
「もっと早く言ってよ。そうしたらすぐペットボトルの聖水で治してあげられたよ。」
「そうだな。ただ、聖水を掛けたらかなり痛いし、何日か寝込むんだろ?それは出来ないから、まずは安心できる場所に戻ってからカイトに治してもらおうと思ってな。やっと我が家に戻ったから、だから今からお願いできるか?」
「うん、すぐペットボトル持ってくるね、だから待ってて」
走っていこうとするカイト。
「カイト、慌てるな。歩いていきなさい」
「でも…いいの?」
不安そうな息子を安心させるのも親の務め。
「ああ、大丈夫だ。」
小さな後ろ姿が頼もしく感じる。
腕に巻いた布を外すと傷は生々しさを露わにする。
痛みに耐えながらも安心できる場所へ帰るまでは絶対に倒れてはダメだと私自身の感情を奮い立たせてきたのだ。
傷は赤黒く腫れ上がり、膿がでていた。
見てるだけで熱を持っているのがわかる。
私は義姉上の魅了にかからない為に、自らの腕をナイフで刺した。
その痛みは何とか理性を保ち、間違わずに済んだのだ。
私は痛みに耐え、惑わされずに済んだことに、改めて安堵する。
と、同時に義姉上の事を思案する。
あの魅了の薬は一体どこで手に入れたんだ?
これまで我が国では使われていなかった。
あるのは知っていたが、我が国では無い。
誰が?どうやって?
何かが引っかかるのだ。
兄上を懸想していたはずの義姉上が何故あんな大それたことをしでかしたんだ?
今、義姉上がもう生きていない以上、問いただすことはできない。
もしかすると、協力者がいるのか?
義姉上にはハーレンと不貞。
ハーレンはルドン公爵の嫡男。
ルドン公爵は欲が深い。
「パパ?」
いつの間にか戻ってきたカイトが私を不思議そうに見ている。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
うあー、パパの腕痛そう。
傷口は広くないけど周りが赤くなって腫れてる。熱もっていそう。
「じゃ、今から掛けるね」
「たのむ」
ベッドに横になってもらいパパの腕に聖水をかける。
「グッ、ァァァァァ……。」
ガタガタと全身を痙攣させていくパパ。
なんだか様子がおかしい。
傷口から黄緑色の液体がドクドク出てきてる。
えー、なに?なに?どうしたの。
いつもなら傷口がどんどん塞がって行くはずなのに。
緑色の液体なんてこれまで出たこと無かったよ、え?え?
冷や汗が背筋を覆う。いつもと違う傷の様子に戸惑って焦ってしまう。
どうしよ、どうしよ、だれか?だれか?
「パーパーッ」
「だれか!だれか!グロー先生を呼んで。パパが!パパが!」
「カイト坊ちゃんどうなさいましたか?」
「セバス、パパがおかしいの。ね、助けて、グロー先生を早く呼んで」
「分かりました、すぐ呼んでまいります」
一瞬で見えなくなったセバスと入れ替わりに、マールもやってくる。
「マールッ」
怖くなってボクはマールにしがみついた。
ボクを抱きしめながらマールも僅かに震えている。
「だっ、旦那様…」
パパはあれからずっともがき苦しんでいる。あの腕の傷からは緑の液体がまだ流れてる。さっきよりは少ないけどまだ止まる様子がない。
どうしよう、どうしよう!
ボクがパパを殺しちゃうの?
これは聖水じゃなかったの?
いやだ、パパ、死んじゃやだよ。
はぁ…はぁ……はぁ…息が…苦しいよ。
―――ボクも死んじゃうのかな?
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