バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美

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オタクくんさぁ笑

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「や、やっほー……有馬っち」

 どこか気まずそうな顔で僕に手を振る白瀬さん。
 一方で僕は、そんな彼女から逃げるように身を翻した。

「ちょ!? 有馬っち!? ま、待ってよ!」

 背後から聞こえる白瀬さんの声。
 何やってるんだよ僕!? 誤解を解かないと! 解かなきゃ気まずいままだ!
 体が勝手に――止まれよ!

「待っててってば、有馬っち!」

 ふと、白瀬さんの声と共に彼女の手が僕の腕を掴んだ。

「なんで逃げるの? 私、何かしたなら謝るよ」

「い、いや……あの、それは……その……」

 誤解を解かないと……解かないと僕はきっと変われない!
 喉まで出かかっているのに、口が動かない。
 しかし、白瀬さんは真剣な顔で僕を見つめていた。

「し、白瀬さん!」

 僕が重い口を開いた、その時――

「蓮~? 似合いそうな服持ってきたから試着してみ――って!?」

 最悪のタイミングで姉さんが数着の服を持って現れた。
 そして、自然と白瀬さんの視線は姉さんの方へ向かう。

「え……えっと、有馬っちの彼女? 私はただの友達で!」

 ぎこちない表情と口調で話す白瀬さん。
 そんな彼女を見て、姉さんは僕の顔を見た瞬間、ニヤけた。
 あ、これダメなやつだ。

「いや~、私、有馬蓮くんの彼女じゃなくて~、蓮のお姉ちゃんなんだよね~!」

 姉さんはわざとらしさ全開でそう言うと、曇っていた白瀬さんの顔が一気に晴れた。

「え? 彼女じゃないの?! え、どういうこと!? お姉さんなの?!」

「はーい、有馬蓮のお姉ちゃんでーす!」

「で、でも今日、有馬っち彼女と遊ぶんじゃ……」

 その瞬間、姉さんのニヤついたジト目と、白瀬さんの困惑した視線が僕に突き刺さる。




「アハハハ! 蓮、アンタ嘘ついてたのー?」

「有馬っち! この超可愛い人、お姉ちゃんだったの!?」

「……すみません」

 白瀬さんは驚き、姉さんは笑いが止まらない。
 ああもう! めちゃくちゃ恥ずかしい! いっそこの場で消えたい!!
 顔を手で覆って悶絶していると、白瀬さんが僕の肩に手を置いた。

「オタクくんさぁ~、私に変な見栄張っちゃったのかなぁ?」

「すみません……しばらくこのままにしておいてください……」

「蓮~? 謝るなら私じゃなくて白瀬ちゃんにしな~?」

「白瀬さん! 本当にすみませんでした! 見栄を張った嘘ついて……」

「――いいよ! 別に気にしてたわけじゃないし! それに、嘘をつくことって悪いことじゃないよ。誰だって嘘をつきたくなる時あるし! 人間、真っ白で潔白な方が不自然だもん。嘘の一つや二つついてる方が自然だよ!」

 白瀬さんがそう言うと、姉さんがニヤニヤ顔で白瀬さんを見る。
 白瀬さんも気づいたのか、逆に同じようにニヤニヤし返した。

「ねぇ白瀬ちゃん! 蓮とはどうやって出会ったの~?」

「あー、それは~! 有馬っちとはバイト先で会って~! 色々話してたらめちゃくちゃ気が合う感じで! もうマジでマブ友的な!?」

「ひゅー! それって運命じゃん!? 蓮も良かったねー! こんな可愛い子と友達になれて!」

「もう帰っていいかな!?」

「「アハハハ!」」




 その後、白瀬さんと姉さんは意気投合して、僕を置いて仲良く話し続けた。
 ……でも、聞こえてくる話題は全部「有馬蓮」という僕のことばかり。なんでだよ。

 色々な店を回って、ショッピングモールを出る頃には外は夕焼けになっていた。

「今日、超楽しかったです! 有馬っちの姉貴!」

「姉貴!?」

 僕が驚いて声を上げると、隣の姉さんは可愛い小動物を見るような目で白瀬さんを見つめ、抱きつこうとする。

「私、白瀬ちゃんのお姉ちゃんになるー!!」

「姉さん!?」

「マジで! 有馬っち! ちょっと姉貴、持って帰るわ!」

「ダメだよ!?」

 こうして僕の「女」という嘘から生まれた誤解は完全に解け、白瀬さんとのわだかまりも晴れた。
 ――はずなのに、なんだこの変な気持ちは!?

「有馬っち! また明日! 学校でね!」


あとがき♪̊̈♪̆̈
こんちわ!
白瀬さんの誤解が解けてよかったね!有馬くん!
私はね!? 君が羨ましいよ! 美人な姉もいて可愛い白瀬さんもいる! なんだねこの状況は!?
次回は有馬がとうとうアレを自覚する!?
今日の夜にも投稿するので、よろしくお願いします!
あと面白いと思っていただけたらブクマ、評価のほうよろしくお願いします!
それでは*˙︶˙*)ノ"
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