【完結】 1年であなたを落としたいと婚約式で告げた結果

紬あおい

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7.建国祭のパーティ ②

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会場内はかなりの人で溢れていた。
そろそろ皇帝陛下の登場らしい。
ラグレシアス帝国のソビエシュ皇帝は、他国からは暴君と呼ばれているが、それは戦争時に限ったことであり、帝国民から見れば慈愛に満ちた統治者である。
我が家のアルベール公爵家も、代々皇帝支持派である。

「今日は皆と建国を祝う席だ。堅苦しい話は抜きにして存分に楽しんでいくがよい。」

陛下の短い挨拶が終わると、会場内に拍手と歓声が起こった。

「陛下はお優しい方なのかしら?お顔立ちや表情が穏やかね。」

「ベルにはそう見えるよね。まぁ人はいろんな顔を持つから。」

「ルディも?」

「それはどうかな?ベルが見極めて?」

仕事モードを崩さないルディガーは、ちょっと掴みにくい。
不敵に微笑む顔が謎めいていて、それもいい。

「これはこれは、ルディガーと婚約者殿ではないか!楽しんでいるか?」

急に話し掛けてきた方は、皇太子殿下だった。

「帝国の小太陽、ファビアン皇太子殿下にご挨拶申し上げます。こちらは婚約者のベルナ・アルベールにございます。」

ルディガーに続き、私も頭を下げる。

「ベルナ嬢というのか。ルディからは少し聞いていたが、美しい令嬢だな。しかしルディは女嫌いで有名なのだが、そなたには優しいか?」

「はい、大変良くしてくださいます。お優しくて、素直でかわ、、」

「ベルナ?」

ルディガーが制する。

「ん?素直で、かわ、可愛い??ルディが?この冷たい男が??」

殿下が食い付いてくる。

「殿下!!!おやめください!」

殿下は、真っ赤になって慌てるルディガーにツボってしまったようで笑っている。

「くくっ、ルディにこんな顔をさせる女が居たとはな!ベルナ嬢、こいつを頼むよ。」

「はい、殿下!今落としにかかっている真っ最中です。」

「落としに?もう落、、」

「殿下!!!だーかーらーもうやめてくださいって!!!」

「ルディ、後日、ベルナ嬢と遊びに来てくれ。聞きたい話がたくさんある。くくっ。」

ファビアン殿下はヒラヒラと手を振りつつ、笑いを堪えながら去って行った。

殿下が去ると同時に、真っ赤なドレスに派手な化粧の女性が近付いて来た。

「ルディガー様ではないですか!ご機嫌麗しゅうございます。」

「どうも。」

「宜しければ、この後ダンスをご一緒に、、」

「いえ、今日は婚約者と来ておりますので。それに結婚式まで、まだまだ彼女を夢中にさせたいので、他の女性に割く時間が無いのです。さぁ、ベル行くよ!」

私の手を取り、さっさと歩き出してしまう。
振り返ると、令嬢はわなわな体を震わせて怒りを耐えていた。

「ルディ、さっきのはどなた?」

「知らん。どこかで会ったかもしれないが覚えてない。」

殿下の言っていた女嫌いは本当かもしれない。
女は一目惚れした想い人と風変わりな婚約者の私だけか。

「婚約者の立場からすると、他の女性に冷たくて、曖昧な態度を取らないとこ、大好きです。」

ルディガーは背が高いので、私が下から覗き込んでにっこり微笑むと、また片手で顔を覆ってテレる。

「ほんと隙を突くのが上手いよな。勘弁してくれ…」

「ルディ、そろそろダンスは如何?ここに可愛い子が居るんだけど?」

ふざけて誘うと、手を取りフロアに移動する。

ルディガーはモテるようで、注目を集めている。
私は緊張して手に汗をかいてきた。

「大丈夫、俺に任せて?」

ルディガーが小さく言った。

そして、指先にちゅっとキスをして、ダンスが始まる。

「足を踏んだ回数だけキスをすること!」

耳元で囁かれ、早速踏んでしまった。

「はい、1回目。」

笑うルディガーは、いつものようないたずらっ子だった。
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