38 / 50
38.妻は小悪魔 *
しおりを挟む「気を付けて行くのだぞ。」
「後から行くから、クロムウェルで会いましょう。」
翌朝、まだ陽が昇る前に、レナリアとジークフリードは、ウィルヘルムとヘライザに見送られ、セルフォート公爵家から旅立った。
一見大きいだけで地味な馬車だが、十日以上の日数を掛けて行くので、キャビンの中は豪華な客室のように改造されていた。
ウィルヘルムからのプレゼントである。
「お父様、この仕様の馬車を二台作ったらしいわ。私達とお母様の為に。普段ケチなんだけど、こういうところに意外と散財するのよねぇ…」
「それだけ義母上とレナリアを大切に思っているのだよ。有り難いな。素敵な方だと思うよ。」
レナリアは優しい大好きな父を褒められて、少し照れる。
両親のような夫婦に憧れているからだ。
「お父様やお母様のように、ずっと仲の良い夫婦になりたいな。」
「なれるだろ。未だに喧嘩らしい喧嘩もしてないしな。それに、今凄くいちゃいちゃしたいんだが?」
ひょいと持ち上げられ、ジークフリードの膝に乗せられる。
向かい合ったジークフリードは、レナリアと額をくっ付けて微笑む。
「私もです。」
レナリアが、はにかみながらジークフリードの頬に手を添え、口付けを交わすとジークフリードもそれに応える。
角度を変えながら、深くなる口付けに体が昂る。
ジークフリードの手がドレスの下から入ってきて、レナリアの太腿を撫でると、甘い溜め息が漏れる。
そのままジークフリードの指先は太腿を伝い秘所へと進むと、レナリアの体がビクッと震える。
「ジーク、ここでは…」
その声をジークフリードは口付けで塞ぎ、レナリアの下着の上から陰核を摘む。
「ぅんんっ、んふっ、んんん…」
爪で陰核をカリカリと嬲ると、レナリアは唇を塞がれたまま達した。
「レナリア、脱ごうか。」
ドレスの胸元は寛げられ、下着は抜き取られた。
ジークフリードも質量を増した陰茎を取り出し、滴りそうなレナリアの隘路に埋め込む。
「ジーク、おっきい…」
「我が妻は煽りの天才だな…」
しがみ付いて耳元で囁くレナリアと、はぁはぁと熱い吐息で腰を迫り上げるジークフリードは、静かに熱く交わる。
レナリアの中の収縮が頻繁になり、達する気配を感じたジークフリードは、一際レナリアの腰を高く持ち上げて、手を緩めて最奥に陰茎をぶつけるように深く繋がる。
「んあっ、ジ、ジーク!深いっ、やだ、グリグリしないでっ!!」
ジークフリードも我慢の限界を迎え、最奥を抉るように腰を回しながら擦り付ける。
「レナリア、一緒に!」
「ジーク、イくっ、もう、イ、くっ!」
「出すぞ、レナリア、あぁ、イく!!」
同時に達した二人は、しばらく抱き合って、お互いの息遣いに耳を澄ましていた。
「やっちゃったな…すまない…我慢が足りない…」
体を拭きながら反省するジークフリードに、レナリアは囁く。
「良かったですよ?」
ジークフリードは、無自覚で小悪魔なレナリアに、十日以上の旅路は、きっと理性は消え失せると感じた。
770
あなたにおすすめの小説
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精
紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。
誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。
普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。
心のバランスを保つ為に必要だった。
唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。
リアンの白い雪
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。
いつもの日常の、些細な出来事。
仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。
だがその後、二人の関係は一変してしまう。
辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。
記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。
二人の未来は?
※全15話
※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。
(全話投稿完了後、開ける予定です)
※1/29 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
愛しているのは王女でなくて幼馴染
岡暁舟
恋愛
下級貴族出身のロビンソンは国境の治安維持・警備を仕事としていた。そんなロビンソンの幼馴染であるメリーはロビンソンに淡い恋心を抱いていた。ある日、視察に訪れていた王女アンナが盗賊に襲われる事件が発生、駆け付けたロビンソンによって事件はすぐに解決した。アンナは命を救ってくれたロビンソンを婚約者と宣言して…メリーは突如として行方不明になってしまい…。
貴方の✕✕、やめます
戒月冷音
恋愛
私は貴方の傍に居る為、沢山努力した。
貴方が家に帰ってこなくても、私は帰ってきた時の為、色々準備した。
・・・・・・・・
しかし、ある事をきっかけに全てが必要なくなった。
それなら私は…
すれ違いのその先に
ごろごろみかん。
恋愛
転がり込んできた政略結婚ではあるが初恋の人と結婚することができたリーフェリアはとても幸せだった。
彼の、血を吐くような本音を聞くまでは。
ほかの女を愛しているーーーそれを聞いたリーフェリアは、彼のために身を引く決意をする。
*愛が重すぎるためそれを隠そうとする王太子と愛されていないと勘違いしてしまった王太子妃のお話
【完結】 心だけが手に入らない 〜想い人がいるあなたは、いつか私を見てくれますか?〜
紬あおい
恋愛
完璧な夫には愛する人がいる。
心は手に入らないと分かっていても、愛することをやめられない妻。
そんな二人がいつしか心を通わせ、家族となっていくお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる