13 / 19
隣の席のイケメンに懐かれた
隣の席のイケメンに懐かれた
しおりを挟む高峰と話すことなく文化祭が終わってしまった。
俺はと言うと、早川と矢沢と一緒に高峰の家の前に立っていた。
矢沢考案の「文化祭の打ち上げ」を俺、高峰、早川、矢沢で高峰の家でやることになったのだ。
というのは建前で、本当の目的は俺と高峰が仲直りすることである。
俺は矢沢の腕を引いて言う。
「待って矢沢、やっぱ無理……」
「ちゃんと話さないと高峰といつまでもこのままだよ。いいの?」
矢沢にそう言われて言葉に詰まる。
早川が俺の肩をポンと叩いた。
「大丈夫だよ、柴野。俺たちもいるしさ」
涙目になりながらも頷いた。ここまで協力してもらってるんだ、ここで引くわけにはいかない。
そう自分に喝を入れて、高峰の家に入った。
階段を上り、高峰の部屋のドアの前に立つ。
「柴野が開けて」
「え!?いや、でも……」
「ほら、早く」
早川と矢沢に急かされ、ドアを開く。
高峰こちらを向いて目を見開く。
久しぶりに目を合わせたような気がして、どうすればいいかわからない。
助けを求めようと早川と矢沢を見ると。
今にもドアを閉めようとしていた。
「ちょっと早川!」
「俺たちができるのはここまでだから。頑張って、柴野」
「柴ちゃんなら大丈夫だよ」
俺の制止も聞かず、2人はドアを閉めた。
こんな状況で2人きりにされても、なに話していいかわからない。
部屋に沈黙が流れる。
何か言ってよ、高峰。
耐えられなくなって、部屋を出ようとドアノブに手をかけたそのときだった。
「待って柴野!」
高峰に手を掴まれる。俺はその手を振り解こうと力を込めた。
「離してよ……高峰」
久しぶりに、高峰にふれた気がして嬉しいのに、口から出る言葉はそれに逆らうように冷たかった。
「ごめん。俺思い出したんだよ、夏祭りの日のこと」
「……えっ」
驚いて高峰の目を見る。その目はいつになく真剣だった。
「俺、柴野にキスした。ごめん、ほんと。あの時、頭が回ってなくて、理性が効かなかった」
その言葉に固まる。自分なりにその言葉を咀嚼する。
「理性が効かなかった、って事は、いつも俺にキスしたいって思ってたってこと……?」
俺がそう聞くと、高峰は顔を真っ赤にして頷いた。
「ほんとはもっとちゃんと言いたかったんだけど、俺……」
「柴野のこと、好きなんだ」
赤い顔が、
真剣で潤んだ瞳が、
丁寧に紡がれたその言葉が、
俺に向けられたものとは思えなくて。
呆然として高峰を見つめた。
「ごめん、こんなこと言って。混乱するし、キモいと思う。柴野の気持ち考えずにキスなんかして。でも、我慢するから。もう2度と、あんなことしないって約束するから。だからっ……」
「友達として、俺と一緒にいてほしい……」
泣きそうな顔で、縋っているような声で、俺に言う。
グッと拳を握りしめる。
「なんでいつも俺の気持ち無視するんだよ……」
混乱してる頭で、かろうじて言葉を紡ぐ。
「俺はっ……高峰にキスされて、嬉しかった」
高峰が目を見開いた。
「なのに、高峰覚えてないし……」
「思い出したと思ったら、『ごめん、もうしない』って……ふざけんなっ!」
頭の中がキャパオーバーして、涙がこぼれ出す。
「高峰、好きな人いるくせに、いつも俺と一緒にいるし、甘やかしてくれるし、助けてくれるし……俺っ、高峰がいないとダメになりそうで」
「高峰が笑ったら、胸がキュってなって、どうしたらいいのかわかんなくなるし、高峰がだれかと話してるのとか見ると苦しくなる。もっと俺を見てほしいって思う」
「もっと俺に触ってほしいって思う」
今まで胸の奥につっかえていた言葉が驚くほどすらすら出てきた。
結局、自分がなにが言いたいのかは明白だった。
「俺も、高峰のこと、好きだよ」
「『友達として』なんて言わないで」と言う間もなく、唇を塞がれた。
高峰の手が頬に添えられて、俺の涙をソッと拭う。
高峰は泣きそうな顔で微笑んだ。
近づいてくる高峰の顔を目を閉じて受け入れる。
角度を変えて、何度も合わせられる唇に溺れそうになる。
柔らかい感触にとろけそうになる。
「柴野、泣かせてごめん」
高峰が腫れた俺の目の下を優しく撫でた。
高峰の言葉に頷こうとして、やめた。
「許さないから」
いたずらにそう言うと、高峰は驚いた顔をした後、フッと笑った。
「お詫びになにすれば良い?」
「……わかってるくせに」
2人で笑い合い、もう一度、唇を重ね合わせた。
おわり
1
あなたにおすすめの小説
才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?
綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。
湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。
そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。
その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる