将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら

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 聖騎士を志してから早3年、オリヴィエは16歳の可憐な乙女へと成長した。

 3日かけて行われる、過酷な入団試験に合格したとは思えないほどに、しなやかな肢体。

 銀色の髪は艶やかに長く、緩くウェーブを描き波打つ。

 瞳は瑞々しく潤んでおり、唇は花弁のように可憐で清楚な桃色。肌は白くきめ細かく、頬にはバラ色の血色感がある。

 容姿だけ見れば、誰が見ても愛くるしさに目を奪われる美少女だ。

 試験の時も、周囲の受験者からは、好奇の目を注がれた。

 中にはちらりちらりと熱い視線を送る者もあった。

 ただ、オリヴィエが可憐な容姿に見合わず、非常に好戦的な性格をしていたことが幸いした。

 試験官である聖騎士相手に見事な剣戟を披露した為に、周囲はようやく一目置くようになっていた。

(いよいよ、私の第二の人生が始まる。これでようやく、ルーカスに会える……!)

 オリヴィエが聖騎士の道へ向けて鍛錬に明け暮れるうちに、ルーカスは騎士団長へと昇格していた。

 この後入団式のを経て、騎士団長から直々に配属の辞令を授かる予定だ。

 ルーカスはオリヴィエの顔を、覚えているだろうか? それとも、もう忘れてしまっただろうか。

(いや、覚えていなくても構わない……、私が、憶えていればいいんだから)

 記憶の中にいるルーカスを思い浮かべると、胸がきゅうっと締め付けられる心地がした。

 あの、陽の光を宿したような琥珀色の瞳。

 涼やかな目元。亜麻色の髪……。その全てがオリヴィエの心を鷲掴みにして離さない。

「おい、そこの新入り。列を乱すな」

「はいっ、申し訳ございません」

 訓練場での入団式が終わって寮へ移動する際中だった。

 ルーカスの妄想で一杯だった頭を、ぺしっと小さな棒で叩かれて、オリヴィエは反射的に声を上げた。

「なんだ、そのバンビちゃんみたいにふざけた声は。……うぉっ!?」

 頭を叩いたのはペン先で、叩いた人物は無精髭面の大男だった。

「お前、女か? どうしてこんなところに??」

「静かにしろ。ヴィクター、お前、聞いていなかったのか? 今年度アルディア王国初の女騎士が合格を果たしたと報告があったばかりなのに」

「あー、そういやアルディアの国王夫妻も大喜びしてるって風の噂で聞いたなぁ。そうか、それがこいつか」

 無精髭の男がじろじろと不躾にオリヴィエを眺める。

(な、何この人……)

 オリヴィエは思わずたじろいだ。しかも妙に馴れ馴れしい。

「オリヴィエ・シルバーモント、だっけ? 何不自由ない伯爵令嬢が入団したって、俺はてっきり嫁の引き取り手がない熊のような女かと思ってたよ。こんな、とびきりのべっぴんだとは」

(べ、べっぴん? 私が??)

 オリヴィエは耳を疑った。一体全体これは何の冗談か……と。
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