みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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Girls☆Side Story ~大神士狼と彼女たちの日常~

第3話 『恋愛は変態への第1歩』らしいよ♪

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「ハァ、ハァ……ッ♪」
「フーッ、フーッ♪」
「あ、あの? 2人とも? 目が怖いんですけど?」



 なんとか古羊姉妹がバベルの塔を落ち着かせるコトに成功した、20分後の帰り道にて。

 芽衣と洋子は、士狼の背後をトボトボと無言でついて行っていた。

 いや、訂正。

 鼻息を荒くしながら、士狼のあとを ピッタリくっついて帰っていた。

 その視線は、女体を前にした男子高校生のソレであり……。

 士狼はぶるりっ!? と身体を震わせた。



「というか、なんで今日は俺の後ろにピッタリついて来るの? いつも通り、横にくればいいじゃん?」

「ハァ、ハァ……♪ だ、ダメですよ士狼? 道路を横一杯に広がって歩いては?」

「フーッ、フーッ♪ そ、そうだよっ! 他の通行人の邪魔になっちゃうからね! 仕方ないよ!」

「えぇ~……? おまえらは2人、一緒に歩いてんじゃん?」

「わたし達は双子ですから。2人で1人みたいなモノですから。ねっ、洋子?」

「うん。そうだね、メイちゃん」

「2人で1人って……」



 プリ●キュアかな? と、ツッコむ士狼を無視して、芽衣と洋子の血走った視線は、彼のハリのあるお尻へと注がれていた。

 くぅっ!? こ、この男……お尻もスケベ過ぎる!?

 なんだコイツは!?

 全身スケベのドスケベ人間かっ!?

 と、そこまで考えて、芽衣は思考がヤバい方向に引っ張られてる事に気づき、ハッ!? とした。



(マズいわ、洋子。なんだかアタシ、ちょっとおかしいわ)
(どうしよう、メイちゃん。実はボクもだよ……)



 2人は前を歩く士狼に聞かれないように、小声で相談し始めた。



(なんだかボク、身体が火照ほてって、しょうがないよ……)
(分かる。多分、コレが宇佐美さんの言っていた『男の子の気持ち』なんでしょうね)



 だとしたら、末恐ろしい。

 男の子って、いつもこんなにムラムラしてるのっ?

 芽衣と洋子が2人、インスタントな性欲に翻弄ほんろうされている間に、士狼は1人、混乱の極致に立たされていた。



(な、なんでこの2人から、あのハードゲイ鷹野と同じ視線の圧力を感じるんだ!?)



 ねっとりと、熱っぽい視線を背後から感じつつ、士狼は恐怖に震えた。

 このケツに注がれる、ねちっこい舐めるような視線は、間違いなく森実が誇るハードゲイのソレだ。

 だが今、俺の尻にその情熱を注いでいるので、我が校きっての美人姉妹、双子姫さまだ。

 なぜ彼女たちが、あのハードゲイと同質の視線を……?

 バグりそうになる頭で必死に考えるが、分からない。

 いったい俺は、今、どういう状況に立たされているんだ!?

 正直、もうかき氷とかどうでもいいから、一刻も早く家に帰りたかった。

 怖い。

 そう怖いのだ。

 まるで超至近距離で肉食獣に舌舐めずりをされている小動物のような気分と言えば、分かって貰えるだろうか?

 とくに何が1番怖いって、



「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ♪」
「フーッ! フーッ! フーッ! フーッ♪」



 これだ。

 この変態じみた、熱っぽい呼吸音だ。

 士狼はチラッ、と背後へ振り返った。

 そこには、狂気すら感じる瞳で、一心不乱に士狼の尻を凝視しながら、ゆっくりと身体の『く』の字に曲げていく、古羊姉妹の姿があった。



「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ❤」
「フーッ! フーッ! フーッ! んふっ❤」
「ひぃぃっ!?」



 にっちゃり♪ と粘着質に微笑む、古羊姉妹。

 美少女がしていい笑顔じゃなかった。



「あの、芽衣ちゃん? よこたん? 悪いんだけどさ、俺の前を歩いてくんね?」
「ハァ、ハァ❤ な、何故ですか士狼?」
「フーっ! フーッ❤ べ、別に今のままでも良いと思うけど?」



 身体中から『嫌だ!』というオーラをぷんぷん発しながら、士狼の後ろから離れようとしない、芽衣と洋子。


 そんな双子姫を前に、士狼は恐怖で足が震えていた。



「んっ? ……ゲッ!?」



 ふと、士狼は鼻先に違和感を覚え、空を見上げると、あんなにカラッ! と晴れていた青空は、いまや分厚い雲に覆われていた。

 そこからポツポツと、雨粒が身体を叩き始め。



「ヤベッ! こりゃ一雨ひとあめ来るぞ!? 2人とも、傘持ってるか?」
「ハァ、ハァ❤ も、持ってないです。洋子は?」
「フーッ! フーッ❤ きょ、今日は降る予定じゃなかったから、持って来てないよ」



 相変わらず肉食獣を彷彿とさせる吐息を繰り返す姉妹が、揃って首を横に振った。

 むぅ……仕方ない。



「しゃあねぇ。雨が止むまで2人とも、一旦俺ん家に寄って避難するぞっ!」
「「えっ!?」」



 素っ頓狂な声をあげる古羊姉妹の前で、士狼は苦汁の決断を下した。

 正直、今のこの2人を家にあげるのは、恐怖以外の何物でもないが、女の子を雨に濡らすワケにはいかない。

 しかし、そうなってくると、今度困るのは古羊姉妹の方である。



(ど、どうしようメイちゃん!?)
(どうもこうも、これは流石に、マズイでしょ?)



 双子ならではの素早いアイコンタクト。



(この状況で士狼の家に行くのは、リスキーが過ぎるわ)
(だ、だよね。薬が抜けるまで、あと2時間くらいあるし……)



 芽衣と洋子は士狼の申し出を断ろうと、2人して彼の方へと視線を移し。



「うわっ!? いきなり降ってきやがった!?」



 雨に濡れて、透けた制服のシャツが肌に張り付く、セクシーな士狼を目撃した。



「「……(ご、ごくりっ!)」」



 気がつくと、2人は大神家へと足を踏み入れていた。
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