みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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Girls☆Side Story ~大神士狼と彼女たちの日常~

第4話 ヤバイと思ったが、性欲を抑えきれなかった

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「し、しろぉ~? 先、お風呂いただいたわよぉ~?」
「あ、ありがとうね、ししょー?」
「んっ? おうっ! 気にすんな。女の子が身体を冷やしちゃ、一大事だからな!」



 突然の土砂降りにより、芽衣と洋子が大神家に避難して、20分後のリビングにて。

 大神家に常備されている自分用の寝巻きに着替えた、お風呂あがりの古羊姉妹が、リビングでくつろいでいた士狼のもとへと戻ってきた。

 相変わらず、へっぴり腰で、股のアレを気にした歩き方だったが、士狼は特に気にした風もなく、スクッ! と椅子から立ち上がった。



「うぅ~、寒々さぶさぶッ!? そんじゃ、俺は現役女子校生のダシが染み出たお風呂に行ってきますわ!」

「言い方だよぉ……」
「シャワーしか浴びてないから、そんなの出てないわよ」



 士狼の物言いにあきれつつ、身体を震わせ脱衣所へと駆けて行く彼の姿を見送る、古羊姉妹。

 バタンッ! と脱衣所の扉が閉まったのを確認し終えた2人は「ほっ……」と、安堵の吐息を溢しながら、2人同時に顔を見合わせた。

 もちろん議題は『今後のこと』についてである。



「こ、これからどうしよう、メイちゃん?」

「ここまで来たら、もう腹をくくるしかないわ。薬が抜けるまで、残り2時間弱。士狼にバレないように、この家で過ごすわよ」

「やっぱり、ソレしかないよね……」



 外はいまだ土砂降りで、傘を借りても帰れそうにない。

 なら、2人に残された道はただ1つだ。

 薬が抜けるまで、大神家に滞在する。

 それしかない。



「とりあえず、士狼の部屋に上がりましょ。ここじゃいつ、士狼に話を聞かれるか、分かったモノじゃないもの」

「あっ、じゃあ先に上がっててよ、メイちゃん。ボク、ちょっとトイレに行ってくるから」

「……大丈夫? その状態で、ちゃんと出来る?」

「で、出来るよっ! ……たぶん」



 なんとも不安気な顔を浮かべる洋子。

 手伝ってあげたい気持ちは山々だが、流石に姉妹と言えど、いや姉妹だからこそ、そういう事をするのは、抵抗があった。

 故に芽衣は薄情かとも思ったが、あえてソレ以上は深掘りせず、洋子を置いて、2階の士狼の部屋へと上がった。



「さて。士狼がお風呂から上がる前に、この2時間、どうやって誤魔化すか考えないとね」



 そんな独り言をつぶやきつつ、士狼の自室の扉を開け、部屋の中へと足を踏み入れた。

 芽衣はこの段階に入ってもなお、まだ甘く見ていたのだ。

 思春期男子の性欲の強さを。

 脳よりも、下半身に思考が引っ張られる、バカ野郎たちの気持ちを。



「洋子が帰って来るまで1人だし、大まかな方針だけでも固め――」



 瞬間、芽衣は気づいた。

 気づいてしまった。





 今、この部屋には自分1人しか居ないことにっ!





「……い、いやいやっ! だ、だからナニっ!? って話よ、こんなのっ! むしろアタシは、全然気にしませんけどぉ~っ!?」



 誰に言い訳するでもなく、芽衣は1人そう口にしながら、士狼の使っているベッドへと腰を下ろした。

 そのまま、ぽすんっ! と身体を横にして、顔を布団にうずめながら、大きく深呼吸をし――



「――ないっ! しないから、そんなことっ!?」



 バッ! と慌てた様子で身を起こした。



「お、おかしい、おかしいわ。普段のアタシなら、絶対にしない変態チックなコトをしようとしている……。もしかして、コレも薬の影響なの?」



 芽衣は、この状況にこうふ……困惑していた。

 思考回路がどことなく、士狼と同じになりつつあることにだ。

 家主の居ない状況を利用して、家探しをしようとしている。

 そんなの変態じゃないっ!

 もうすぐ洋子がトイレから帰ってくるかもしれない。

 こんな場面を妹に見られたら最後、お姉ちゃんとしての尊厳が、木端微塵になってしまうわよ!

 ソレは絶対にダメよっ!

 バレたらアタシの人生、おしまいだわっ!

 ……そう、バレたらね?



「あぁもうっ!?『犯罪は、バレなければ犯罪じゃない』っていう悪人御用達ごようたしの台詞を思い出しちゃったじゃない!?」



 そう言って、芽衣はらしくもなく、頭を抱えて悶え始めた。

 彼女の苦しみが分からない諸兄しょけいが、この場に居るかもしれないので、こう想像してみて欲しい。

 片思い中の女の子の部屋に、自分1人しか居ない状況を。

 分かって貰えただろうか?

 そう、芽衣は今、この場において、神にも等しい存在になっているのだ!



「あ、アタシはどうしたらいいの!?」



 彼女の理性と煩悩が、さしずめ天使と悪魔のように、芽衣の中で激しくバトルをしていた。



『さ、流石に士狼の、男の子の部屋を勝手に家探しするのはダメだと思うの! 人として。なにより女の子としてっ!』

『バカ、アタシっ!? こんな時にまでイイ子ちゃんしなくてもいいのよっ! 考えてみなさい? こんなチャンス、もう2度と無いわよ? 大丈夫、バレないって! 最悪バレても、普段の【おかえし】ってコトで、何とかなるわよ!』



 ……悪魔が優勢であった。

 さて、そんな芽衣を尻目に、トイレに行った洋子は今、一体ナニをしているのかと言えば。



「こ、コレがししょーの……(ごくりっ)」



 脱衣所の洗濯機の中から、士狼の脱ぎ捨てたパンツを取り上げ、生唾を飲みこんでいた。

 姉よりもヤバい変態行動に、片足を突っ込んでいる所だった。
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