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第18話 パジャマパーティー夜空編
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私たちは、広いテラスの長椅子で夜空の流星郡を見て語り合っていた─
「星空、ドット柄……」ウトウトとしていた小池は、その一言を言った後静かになった。
「妖精さん、寝ちゃいましたね……だけど、もう少しこのままで居たいです…」
林はちゃっかり半袖短パンの肌触りの良いルームウェアに着替え直してきた。そのモコモコとした触り心地に虜になった小池を膝枕していたのだった。
「こいつ本当に無防備…色々心配だわ…」
「本当に…」
林は思い出した。アキヨシ館長に初期化された自作のキーホルダーを渡された時の事を─
「この子は割りと何でも受け入れてしまう処があってね。それは、環境に適用しやすいっていう長所でもあるんだけど…そこにあまり付け入らないで欲しいなあ。それに、目先の欲に飛び付きやすいのも心配だし…」
《…だから、見逃してあげる代わりに、僕の手の届かないときはこの子の事、守ってあげてね─。》
(そんなこと、言われなくたって…)林はムッとした顔をした。
(人一倍純粋で不思議な妖精さん……)
「どうした?」
「いえ…流星が綺麗ですね…」
「そうだな…」
ミトは自分自身が擬人化する前夜も流星を見ていたなと、その光景を思い出していた─
「なぁ…擬人化した奴の"加護"って知ってるか…?」
「…"流星の加護"ってやつでしょうか?」
今では季節問わず、夜には流星郡が見られる様になっていた。宇宙はそういう周期に入ったということだった。
それと同時期、擬人化した動物が出現する様になった。相互関係はないとされているけれど…
(何も関係が無いとは思えないんだよな…)ミトはそう感じていた。
「確か…擬人化の方たちが、人間と同等の能力を持ったことが、流星の加護と呼ばれてるんでしたっけ。」
「そうそう、それでお陰様で期末試験も平均点以上はとれたかんね。」
「そうですよね…妖精さんも悪くない成績でしたし…加護とは不思議なものですね…(人間社会に適応する能力といったところでしょうか…)」
「なあ林…恋バナついでに聞いて良いか?私ばっか喋ってるから、林のも聞かせろよ…」
「いきなり何ですか?」
「なぁ…何でこいつじゃなきゃ駄目なんだ?人間同士じゃ駄目なのか?」
「私は─」
「あー好きだから好きとか、研究の為ーとかいう誤魔化したのは無しな。もっと具体的な─」
「それの何処が駄目ですか!?好きだから好きなんです!知らず知らずにどんどん好きになっていって、好きな人の事は何でも知っていたいし…妖精さんの居ない世界なんて考えられません……」
少しの沈黙の後、ミトは笑った。
「お前って意外と単純だったんだな!」
「うるさいネコですね…。」林は顔が熱くなるのを感じた。
「だったら尚更知っといて欲しいんだけど…流星の加護が"届かなかった"とこの話…」
「…それは、さっきの子孫を残せないという話に関係ありますか?」
「まあ、そうだな…。うちらは完全に人間化が出来た奴はいないから。それは…動物だった部分を引き継いでいる処があるせいでもあるんだよ。…だから─」
◇
「…私寝ちゃっててびっくり。林さんのモコモコ半端ない寝心地の良さ!」と、体を起こした直ぐのことだった─
「妖精さん!……私を下の名前で読んで下さいませんか?」流星群が映る彼女の眼鏡越しの瞳は、キラキラと輝いていた。
「ネコの人は下の名前で呼ばれてるのにフェアじゃないです!」
「…林さんは林さんじゃなく?」
「聡見と!」
「サト、ミ…?」
「はい!」と、林さんは私を抱きしめた。
「…………林さん、モコモコ。」
「やっぱり林は林って感じだよなー。」と、ミトさんがからかう様に笑った。
「林さん…暑い…」
「ごめんなさい…だけどもう少し、このまま…」
林さんは、なんだか寂しそうで、何でか悲しそうで…力強く私を抱きしめた─
◇
「林の部屋に突撃だーー!!」
ミトは、勢いよく部屋の中へと入ったものの、ピタッとドアの前で立ち止まり息を飲んだ。
(ちょっとまて私…マッドサイエンティスト林の部屋だぞ。壁一面に小池の写真やら、情報やら張ってあったらどうするんだよ…………)
「そこは寝室ではないですよ?」
「そーだよなー。ここは見せられない部屋だよなー…」
「見せられないことはないですが…」ガチャっとドアを開ける。
硬直するも、怖いもの見たさで目が離せないネコの人。
そこには─
「ここは、主にデスクと勉強用具しか無くって面白味はありませんよ?」
三面に広がる液晶モニターや本棚などが置かれていた。
「アキヨシの部屋っぽい!……そっかだから林さん、アキヨシに似てるんだね!」
「えっ、妖精さん!?だからって何ですか?………似てません!!断じて!!」
(あんな、生け簀かない大人とは似てません!!)アキヨシは、知らないところで林さんに苦手意識を持たれていた。
「あ、これあの時の写真じゃん!」
「ええ、この日はとっても楽しかったです…」
そこには、ガラスで出来た写真立てが置かれていた。それは、自然体験をした日の一枚だった。
《奥には先導する振り返った時のアキヨシ館長。妖精さんに手を差しのべているミミズク先輩。透けて撮れてる妖精さん。カメラ目線のミトさんに、わざと顔を見切れて写した─》
「林、撮ってあげるって言われても拒否ってたから、何気にこの一枚だけだよな。全員写ってんの。」
「…撮るのはいいですけど、撮られるのは慣れてないんですよ!」
「今日は、林の弱点オンパレードだな!」
「うるさいです…………。」
(ふぅ、剥がせる壁紙を急きょ取り付けて正解でした。辺り一面に好きの数だけの妖精さんデータと写真を貼ってるなんて知られたら、幾らなんでも引かれちゃいますからね…。)
あながち、ミトさんの想像は間違っていなかったのだった─。
「星空、ドット柄……」ウトウトとしていた小池は、その一言を言った後静かになった。
「妖精さん、寝ちゃいましたね……だけど、もう少しこのままで居たいです…」
林はちゃっかり半袖短パンの肌触りの良いルームウェアに着替え直してきた。そのモコモコとした触り心地に虜になった小池を膝枕していたのだった。
「こいつ本当に無防備…色々心配だわ…」
「本当に…」
林は思い出した。アキヨシ館長に初期化された自作のキーホルダーを渡された時の事を─
「この子は割りと何でも受け入れてしまう処があってね。それは、環境に適用しやすいっていう長所でもあるんだけど…そこにあまり付け入らないで欲しいなあ。それに、目先の欲に飛び付きやすいのも心配だし…」
《…だから、見逃してあげる代わりに、僕の手の届かないときはこの子の事、守ってあげてね─。》
(そんなこと、言われなくたって…)林はムッとした顔をした。
(人一倍純粋で不思議な妖精さん……)
「どうした?」
「いえ…流星が綺麗ですね…」
「そうだな…」
ミトは自分自身が擬人化する前夜も流星を見ていたなと、その光景を思い出していた─
「なぁ…擬人化した奴の"加護"って知ってるか…?」
「…"流星の加護"ってやつでしょうか?」
今では季節問わず、夜には流星郡が見られる様になっていた。宇宙はそういう周期に入ったということだった。
それと同時期、擬人化した動物が出現する様になった。相互関係はないとされているけれど…
(何も関係が無いとは思えないんだよな…)ミトはそう感じていた。
「確か…擬人化の方たちが、人間と同等の能力を持ったことが、流星の加護と呼ばれてるんでしたっけ。」
「そうそう、それでお陰様で期末試験も平均点以上はとれたかんね。」
「そうですよね…妖精さんも悪くない成績でしたし…加護とは不思議なものですね…(人間社会に適応する能力といったところでしょうか…)」
「なあ林…恋バナついでに聞いて良いか?私ばっか喋ってるから、林のも聞かせろよ…」
「いきなり何ですか?」
「なぁ…何でこいつじゃなきゃ駄目なんだ?人間同士じゃ駄目なのか?」
「私は─」
「あー好きだから好きとか、研究の為ーとかいう誤魔化したのは無しな。もっと具体的な─」
「それの何処が駄目ですか!?好きだから好きなんです!知らず知らずにどんどん好きになっていって、好きな人の事は何でも知っていたいし…妖精さんの居ない世界なんて考えられません……」
少しの沈黙の後、ミトは笑った。
「お前って意外と単純だったんだな!」
「うるさいネコですね…。」林は顔が熱くなるのを感じた。
「だったら尚更知っといて欲しいんだけど…流星の加護が"届かなかった"とこの話…」
「…それは、さっきの子孫を残せないという話に関係ありますか?」
「まあ、そうだな…。うちらは完全に人間化が出来た奴はいないから。それは…動物だった部分を引き継いでいる処があるせいでもあるんだよ。…だから─」
◇
「…私寝ちゃっててびっくり。林さんのモコモコ半端ない寝心地の良さ!」と、体を起こした直ぐのことだった─
「妖精さん!……私を下の名前で読んで下さいませんか?」流星群が映る彼女の眼鏡越しの瞳は、キラキラと輝いていた。
「ネコの人は下の名前で呼ばれてるのにフェアじゃないです!」
「…林さんは林さんじゃなく?」
「聡見と!」
「サト、ミ…?」
「はい!」と、林さんは私を抱きしめた。
「…………林さん、モコモコ。」
「やっぱり林は林って感じだよなー。」と、ミトさんがからかう様に笑った。
「林さん…暑い…」
「ごめんなさい…だけどもう少し、このまま…」
林さんは、なんだか寂しそうで、何でか悲しそうで…力強く私を抱きしめた─
◇
「林の部屋に突撃だーー!!」
ミトは、勢いよく部屋の中へと入ったものの、ピタッとドアの前で立ち止まり息を飲んだ。
(ちょっとまて私…マッドサイエンティスト林の部屋だぞ。壁一面に小池の写真やら、情報やら張ってあったらどうするんだよ…………)
「そこは寝室ではないですよ?」
「そーだよなー。ここは見せられない部屋だよなー…」
「見せられないことはないですが…」ガチャっとドアを開ける。
硬直するも、怖いもの見たさで目が離せないネコの人。
そこには─
「ここは、主にデスクと勉強用具しか無くって面白味はありませんよ?」
三面に広がる液晶モニターや本棚などが置かれていた。
「アキヨシの部屋っぽい!……そっかだから林さん、アキヨシに似てるんだね!」
「えっ、妖精さん!?だからって何ですか?………似てません!!断じて!!」
(あんな、生け簀かない大人とは似てません!!)アキヨシは、知らないところで林さんに苦手意識を持たれていた。
「あ、これあの時の写真じゃん!」
「ええ、この日はとっても楽しかったです…」
そこには、ガラスで出来た写真立てが置かれていた。それは、自然体験をした日の一枚だった。
《奥には先導する振り返った時のアキヨシ館長。妖精さんに手を差しのべているミミズク先輩。透けて撮れてる妖精さん。カメラ目線のミトさんに、わざと顔を見切れて写した─》
「林、撮ってあげるって言われても拒否ってたから、何気にこの一枚だけだよな。全員写ってんの。」
「…撮るのはいいですけど、撮られるのは慣れてないんですよ!」
「今日は、林の弱点オンパレードだな!」
「うるさいです…………。」
(ふぅ、剥がせる壁紙を急きょ取り付けて正解でした。辺り一面に好きの数だけの妖精さんデータと写真を貼ってるなんて知られたら、幾らなんでも引かれちゃいますからね…。)
あながち、ミトさんの想像は間違っていなかったのだった─。
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