11 / 139
11.
しおりを挟む
魔の森の禍々しい雰囲気とは違いなんとも清々しい感じがするのは今が早朝だからだろうか。しかし木の周りを探索してもなにもなかった。大きな立派な木である事以外は誰もいないし休める場所もない。なんとなく誰かの家とかに案内をされているのかと思ったがそうではなかったようだ。
その大きな木は太い幹からたくさんの枝が分かれており、たくさんの青い葉が生い茂っていた。風に揺れサワサワと葉が音色のようになっていた。アリアナはぼんやりと考えながら、これならツリーハウスとか作れそうと思い幹に手が触れた。
その瞬間、木から静電気みたいのものがバチバチとなり大きな青い光に包まれた。木の幹の上の方で何かが燃えた気がした。
驚いて木から離れるとバチバチと木が何やら変化しているのがわかった。そして先ほどまで枝や葉などに覆われていた所に家が建っていた。まさにツリーハウスだ。
願いが叶う魔法なんてあったけかな…?
そんな魔法はもちろんない。しかしご都合過ぎて騙されている気分になる。これは王子による盛大なドッキリかもしれない。などと思ったがドッキリにしてはアリアナは今にも死にそうな目に合っている。しかも誰もタネバレに来ない。やはりドッキリではないのか。
しかし、やっと念願の家が現れた。きっとこのツリーハウスが目的の場所に違いないと思った。思いたい。もう休みたい。
アリアナの体力は限界を過ぎていた。今にも寝てしまいそうになるのを必死に堪えているのだ。
が、このツリーハウスに入ろうにも梯子も階段もない。7・8mくらいの場所にツリーハウスがある。ちょっと登れない。
「どうやって登るのよ。空中遊泳の魔法円はとかあるけど、今はないし…しかも結構値段がするのに、毎回使えないわ。騎士とか風属性専用の休憩所なのかしら」
アリアナは誰に聞かせるわけもなくそんな事をぼやいていた。そして地面からゴゴっと地響きのような音がした。そしてまた森に静寂が戻った。
「なんだ?」
と、まだ独り言を言い何気なく木に目線を戻した。そこには大きな目玉が二つ、そして人のような形をした鼻と口があった。
『お主か?今度の住まい人は。あのばあさんは近いうちに住民がやってくると言うていたがずいぶんと時間が経過したようだの』
「…」
『どうしたのだ?』
「…っと、ばあさんとは…」
聞きたいのはそこじゃないが、思考が追い付かない。
『アルディというばあさんだ。死ぬ前にはヨボヨボのばあさんになっとたな。ばあさんと言ったらお前のばあ様でないといつも怒っておったの。今ではわしの養分になっているがの』
「え!!」
私も殺されて養分にされてしまう。逃げなければと思うが疲れもあり後ずさりした拍子にしりもちを付いてしまった。
『おいおい、気を付けることじゃ、なにか勘違いをしているようだがの。人は皆死ぬであろう。死んで土に帰る。そういうことじゃ』
殺されない?しかし腰が抜けて起き上がれない。アリアナはそこで意識を手放してしまった。
気が付いた時には知らない部屋のベッドに寝かされていた。どのくらい寝ていたかはさだかではないがずいぶん寝ていたように思う。
アリアナは少々寝起きが悪く、いつも起きた時はぼうやりとしている。そして今もまさにぼんやりと鳥や葉の囀りを聞いていた。
そして少しずつ覚醒して行く内に自分の置かれていた状況を思い出してきた。魔の森に置いて行かれ、真っ暗な森の中を歩き、目的地に着いた事、そして大きな木とツリーハウスと木の顔面を一気に思い出し飛び起きた。
部屋の中を見渡しても誰もいない。「目が覚めた?」というテンプレのセリフもない。ここはあのツリーハウスの中なのだろうか、そして誰がここまで運んでくれたのだろうか。あのイケメン兵士かな。
お姫様だっこしてここまで運んでくれたのかな、と呑気な想像をしていた。
その大きな木は太い幹からたくさんの枝が分かれており、たくさんの青い葉が生い茂っていた。風に揺れサワサワと葉が音色のようになっていた。アリアナはぼんやりと考えながら、これならツリーハウスとか作れそうと思い幹に手が触れた。
その瞬間、木から静電気みたいのものがバチバチとなり大きな青い光に包まれた。木の幹の上の方で何かが燃えた気がした。
驚いて木から離れるとバチバチと木が何やら変化しているのがわかった。そして先ほどまで枝や葉などに覆われていた所に家が建っていた。まさにツリーハウスだ。
願いが叶う魔法なんてあったけかな…?
そんな魔法はもちろんない。しかしご都合過ぎて騙されている気分になる。これは王子による盛大なドッキリかもしれない。などと思ったがドッキリにしてはアリアナは今にも死にそうな目に合っている。しかも誰もタネバレに来ない。やはりドッキリではないのか。
しかし、やっと念願の家が現れた。きっとこのツリーハウスが目的の場所に違いないと思った。思いたい。もう休みたい。
アリアナの体力は限界を過ぎていた。今にも寝てしまいそうになるのを必死に堪えているのだ。
が、このツリーハウスに入ろうにも梯子も階段もない。7・8mくらいの場所にツリーハウスがある。ちょっと登れない。
「どうやって登るのよ。空中遊泳の魔法円はとかあるけど、今はないし…しかも結構値段がするのに、毎回使えないわ。騎士とか風属性専用の休憩所なのかしら」
アリアナは誰に聞かせるわけもなくそんな事をぼやいていた。そして地面からゴゴっと地響きのような音がした。そしてまた森に静寂が戻った。
「なんだ?」
と、まだ独り言を言い何気なく木に目線を戻した。そこには大きな目玉が二つ、そして人のような形をした鼻と口があった。
『お主か?今度の住まい人は。あのばあさんは近いうちに住民がやってくると言うていたがずいぶんと時間が経過したようだの』
「…」
『どうしたのだ?』
「…っと、ばあさんとは…」
聞きたいのはそこじゃないが、思考が追い付かない。
『アルディというばあさんだ。死ぬ前にはヨボヨボのばあさんになっとたな。ばあさんと言ったらお前のばあ様でないといつも怒っておったの。今ではわしの養分になっているがの』
「え!!」
私も殺されて養分にされてしまう。逃げなければと思うが疲れもあり後ずさりした拍子にしりもちを付いてしまった。
『おいおい、気を付けることじゃ、なにか勘違いをしているようだがの。人は皆死ぬであろう。死んで土に帰る。そういうことじゃ』
殺されない?しかし腰が抜けて起き上がれない。アリアナはそこで意識を手放してしまった。
気が付いた時には知らない部屋のベッドに寝かされていた。どのくらい寝ていたかはさだかではないがずいぶん寝ていたように思う。
アリアナは少々寝起きが悪く、いつも起きた時はぼうやりとしている。そして今もまさにぼんやりと鳥や葉の囀りを聞いていた。
そして少しずつ覚醒して行く内に自分の置かれていた状況を思い出してきた。魔の森に置いて行かれ、真っ暗な森の中を歩き、目的地に着いた事、そして大きな木とツリーハウスと木の顔面を一気に思い出し飛び起きた。
部屋の中を見渡しても誰もいない。「目が覚めた?」というテンプレのセリフもない。ここはあのツリーハウスの中なのだろうか、そして誰がここまで運んでくれたのだろうか。あのイケメン兵士かな。
お姫様だっこしてここまで運んでくれたのかな、と呑気な想像をしていた。
54
あなたにおすすめの小説
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる